まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

神様のメモ帳6

神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

ラーメンはなまるに、ミンさんの親戚だというチャイナマフィアの後継者兄妹がやってきた。
用心棒として雇われていたミンさんの父・花田勝がある事件を起こし、そのまま姿をくらましたのだという。
事件をきっかけになぜか持ち上がるミンさんの縁談、それに憤然と立ち上がったのはヒロさんだった……。


電撃文庫MAGAZINEで連載された長編に、書き下ろしの短編を加えた1冊。
連載でも読んでいたのですけれど、イラストが入るとまた印象が違ってくるものですね。


長編の方は、ミンさんに突如舞い込んだ婚約をぶっ潰すべく、ひとりのヒモが頑張るお話。
いつもフラフラしてつかみどころがなかったヒロさんが、惚れた女(!)のために一生懸命になっていたのには驚きました。
本当にどうしようもない人だけど、今回は少し格好良いと思ってしまった。やるなあ、ジゴロ。
本職の、それも中国のマフィアを相手取るということで、今までよりさらに危険が増して、緊張感が漂っています。
もうさすがに一介の高校生が立ち入っていい領域ではないと思いますが、ナルミは相変わらずの大立ち回り。慣れって怖いですね。
いつものように、悩んで焦って無茶して失敗もしましたけど、それでも必至であがき続けて、みんなの大事な居場所である「はなまる」を守るために、物語を描いていく姿はやはり格好良い。
ほとんど口先だけしか使っていないのにどうしてこんなに魅力的な主人公でいられるのか。なんとも不思議なことです。
アリスとの関係も、ゆっくりとではあるものの、着実に近づいてきているようで。
探偵であるアリスは、いつも孤独でいることしか知らなかったけれど、作家であるナルミがそばにいることで、少しずつ変わってきたのだろうと思います。
ほんと、アリスはナルミが大好きなんだなあ、もう!
いちいちナルミのことばに反応するアリスと、鈍感極まるナルミのやりとりに、頬の緩みが止まりません。
ナルミはさんざん殺し文句を放ちながら、これで無意識なんだから手に負えない。天性の才能というやつなのか。


短編「ジゴロ先生、最後の授業」は、ヒロさんのジゴロ師匠が登場するお話。
切ない長編から打って変わって楽しいギャグが散りばめられていました。
ナルミのジゴロの才能がここにきて遂に明らかに。この男、やはりとんでもなかった。
ジゴロ師匠はなんとアリスの大叔父ということで、アリスの実家である紫苑寺家の話もちらりと登場しました。
もしかしたらこの先の展開につながる重要な短編なのかもしれませんね。
アリスの赤面も頂いて、大満足の一編でした。ごちそうさまです。


毎回そうだけれど、表紙のアリスはいつまで見ていても飽きることがない。思わず溜息。
男キャラが素敵に決まっているのも岸田メルさんのイラストの素晴らしいところですよね。ヒロさんも黄紅雷も格好良すぎる。


なんとも嬉しいことに、アニメ化が決まったようです。動くアリスに会えるよ!