まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき

  • ストーリー

生徒からの信頼度が急上昇中の「迷わない子ひつじの会」。
今度やってきた依頼人は、告白した相手から出された国語のテストが解けなくて困っているという。
全問正解すれば付き合ってもらえるのだが、そのテストはとても解けるようには見えなくて……。


今回もよくできた短編集でした。
工夫を凝らした演出やミステリ部分はもちろんですが、人の気持ちを丁寧に描いているのがいいですよね。


第一話「VSかぐやテスト」は国語のテストを解くお話。
一見して解けなさそうな問題が、仙波の手によってあっという間に解かれてしまう様子に惚れ惚れします。
これは国語のテストだという先入観があるから解けないんですね。うまいことできているものだなあ。問六だけはなんとなく解けたけれど。
仙波から明かされた答えを元にして真一郎が取った行動がまた素晴らしい。これは一本取られました。
ただ謎を解くだけではなくて、そこから「もう一ひねり」してくるところがまたうまい。
そして問題作成者の羽賀さん、ゲストキャラにしておくにはもったいない可愛さだと思います。
なんだよこのイチャイチャ。これはいいニヤニヤです。再登場を強く希望したい。


第二話「VSゴールドバーグ」はとある喫茶店で起きたオムライスにまつわる事件のお話。
ついに学校外から依頼されちゃったよ。自由だな!
わりと本格的な謎解き風で、バラバラに思えた手がかりが次々に仙波の論理にはまっていくのを楽しめます。
実際にはこんなにうまくいくはずがないと思いつつも、なんとなく許せてしまうのは、この作品がミステリよりもパズルに近い雰囲気だからでしょうか。
妹ちゃんがとてもいいキャラしてました。元気な子は好きです。


第三話「VS洞庭真君」はソフトボール部のお話。
今までとは毛色が違って、謎解きよりもソフトボールの試合がメインにきています。また新たな可能性を見せてくれたなあという印象ですね。
なんとも不器用な佐々原が健気で可愛らしい。もっと自分に自信を持つことができればいいのだけれど。
しかし真一郎も罪な男です。本命は誰なのやら。
あと会長さんの無茶苦茶っぷりはなんなんですか。カリスマは違うな。


また新たなヒロイン登場のフリがあって終わり。
この作品の場合は、あまり次を待ち遠しく思わず、時々出たらまったり楽しむのが合っているような気がします。
とりあえず、今度は仙波からどんな毒舌が飛び出すのかを楽しみにしておきましょう。


あらすじの☆ω☆にイラッとしたのは私だけでしょうか?