まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

バカとテストと召喚獣9

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)

  • ストーリー

Cクラスとの試召戦争初日をなんとかタイムアップで切り抜けたFクラス。
しかし同士討ちのせいで消耗が激しく人数が減っている上、明久が風邪で不在という大ピンチ。
妙なやる気を見せる姫路を軸に、勝利への作戦を練っていく雄二だったが……。


1冊丸ごと試召戦争っていうのはずいぶん久しぶりのような気がします。
ギャグも大好きだけれど、Fクラスが情熱と工夫で上位クラスに打ち勝っていくのを見るのも同じくらい好きなので、やっぱり試召戦争はテンションが上がりますね。
今回はなんと明久がFクラスと離ればなれに。Cクラスに包囲されているため教室にも近寄ることができず、ひとり走りまわる明久の前に現れたのがAクラスの面々。
困っている明久のために、Aクラスとは直接関係がないにも関わらず、協力してくれる4人がめちゃくちゃ格好良かったです。
雄二を引き合いに出すまでもなく助けを申し出る翔子なんて1巻の頃には考えられませんでした。
あの優子でさえ、ぶつぶつ言いながらも、一度決めたら潔く明久を手伝ってくれています。本当にいい人ばかり。
今までは主に恋愛方面でのつながりが強かったAクラスですけど、恋愛だけじゃなくて、クラスの差を超えた友情がしっかりと存在するのを改めて確かめることができました(ただし久保君は除く)。
これも明久の人の良さと、不思議な人望のなせる技なのかもしれませんね(くれぐれも久保君は除く)。
4人と明久とのやりとりはとても楽しかったです。Fクラスがずっと戦争中でギャグが少ない分こっちに回ってきたということなんでしょうけど、下手したらこの人たち、Fクラスより面白いよ。
工藤さんの思わぬ可愛らしさが見られたのは収穫でしたね。くっ、一体何人可愛い子を輩出すれば気が済むというんだ!


試召戦争はますます複雑化の一途を辿っているようで、計略や罠が入り乱れています。
一度ならず混乱してしまいましたけど、途中でちょいちょい挟まれる図つきの解説のおかげで理解がしやすくなっていました。ありがたい配慮ですね。
Fクラスのメンバーは今回本当によく頑張っていて、その他大勢の脇役たちでさえ、雄二を信じ、作戦のため身を惜しまずに敵に立ち向かっていく。
勝利のために決して諦めず心をひとつにする彼らは、誰もが輝きを放っていました。
特に明久がいない中、雄二が驚くほどの奮戦を見せる姫路さんはなんとも健気で素敵でしたね。
そして何より、離れていてもお互いを信じ合っている明久と雄二の関係が最高。
ラスト付近の某シーンはあまりの格好良さに鳥肌が立ちました。これだからこの作品はやめられない。熱い、熱すぎる。


怒涛の展開の中でも新キャラが登場したり黒幕が見え隠れしたりと、まだまだ勢いは衰えないようで。
最後も不思議な終わり方だったし、明久と姫路さんのこともあるし、ああ、続きが気になります。
首を長くして次巻が出るのを待つことにしましょう。


毎度のことながら葉賀ユイさんのイラストが神がかっていました。
文章の魅力をイラストで倍増させるっていうのはなかなか出来ることではないと思います。全く、素晴らしいのひと言です。


そしてまたあとがきにやられた……!