まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

竜と勇者と可愛げのない私2

竜と勇者と可愛げのない私〈2〉 (電撃文庫)

竜と勇者と可愛げのない私〈2〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

四天竜の手がかりを探るため、学術都市フルブライトにやってきたアンジュたち。
そこで出会ったのは、レックスの婚約者だと名乗るエルフ族の美しい少女・ウェルチだった。
やたらと対抗心を燃やす彼女にあおられ、レックスの同行者の座を賭けて勝負することになったアンジュだが……。


ああ、これは参った。
レックスにベタ惚れな新ヒロインの登場と、レックスの相棒の座を賭けての、少女と少女の対決。
ドタバタとニヤニヤがあって、なんだかんだでラブコメ展開に突入していくんだとばかり思っていたのに。
まさかこんなに切ない展開が待ち受けているなんて思ってもみませんでした。
どうしよう、不意打ち気味だったせいか胸がいっぱいいっぱいです。
公式あらすじもなんなんですか。「これは泣けます」じゃないですよ全く。本当に目頭が熱いじゃないか……。


ウェルチは貴族の養子で導師候補生、プライドが高く嫌味で高飛車という、第一印象は実によろしくないキャラでした。
でも実は彼女も、アンジュと同じで、目標のために一生懸命に頑張る健気な女の子です。
初めはいがみ合っていたけれど、勝負の中でお互いのことを認め合い、心を通わせていく2人がとても素敵でした。
不器用すぎて友だちを作ることもできなかったアンジュとウェルチ。そんな2人にようやく訪れたこの出逢い。
きっと似たもの同士、いいお喋り相手として、もしかしたら恋のライバルとして、ずっと仲良くやっていけたことでしょう。
そんな未来が見えていただけに、この結末はあまりに辛く、胸を突き刺しました。
ラストのやりとりは苦しいほどに切ない。イラストも卑怯です。こんなの、うるっときても仕方がない。
でも、願いを叶えることができて、友だちを作ることもできて、きっと、彼女は。


しんみりしたストーリーの一方で、気になるキャラが登場しました。
カガクの国フェブロニアの大佐であり、強力な魔法使いでもある『予言者』ソーマ。そして従者ヒナギク
何やら怪しい実験をおこなっていたらしいフェブロニア。裏でうごめいていた敵対国家が、いよいよ本格的に牙をむいてきたという印象です。
今回で因縁がついたことだし、これからこの2人には付け狙われていくことになるのかもしれません。
アイカやトモエとの関係など、まだまだ謎は深まるばかり。次の巻も楽しみです。


エルフにミスリルときてもしやと思ったけれど、まさかバルログまで出てくるとはね。