まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『<Infinite Dendrogram> -インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾』感想

<Infinite Dendrogram>-インフィニット・デンドログラム- 7.奇跡の盾 (HJ文庫)

ストーリー
リューイを送り届けたトルネ村で、風星祭が始まる。しかしその時、過去に封じられたと言われる怪物・コクテン様の封印が解ける。その正体とは、古代伝説級のUBM【黒天空亡モノクローム】だった。そのモンスターに対抗しようとしたレイやビースリーだったが、混乱に乗じたPKもレイたちに襲いかかる。ティアンの村人たちの安否は、そしてかつて村を救った英雄であるリューイの義父の行方は――。「『来るがいいモンスター。奇跡の盾は、ここに在る』」

第三形態が発現したネメシスとともに伝説のUBMと死闘を繰り広げる、シリーズ第7弾。
剣、斧槍ときて、次の形態は盾! 超高度・超遠距離から地上を狙い撃ってくるかつてないタイプの強敵を前に、新たな力を全力で振り絞って立ち向かう「不屈」の姿が相変わらず熱い。
ビースリーの本気の姿も見られてホクホクでした。いい先輩キャラですわ。


ティアンの村の伝説にも残るUBM・モノクローム。空を飛んでも届かず、地上からの遠距離攻撃は撃ち落とされ、向こうのビームだけが地上を焼き尽くす。
マスターたちの戦力も限られる中、希望はネメシスに新たに発現した第三形態のみ! ビースリー先輩にモロ影響されたかのような巨大盾となったネメシスを手に、空の向こうのモンスターを撃破できるのか……一発まともに食らえばアウト、新しい力のお試しとしては少々ハードすぎる決死の戦いぶりに今回も燃えました。
しかし、ネメシスの特性上仕方ないとはいえ、ほんと毎回ボロボロになるよねレイ君……。ワンパンもらってからが本番って、今更だけど主人公としてはめちゃくちゃピーキーな戦い方ですわ。
それから、混乱に乗じて襲ってきたPKクランにはビースリー先輩が本気モードで対峙。素の姿とのギャップがまたいいですね。魅力的な女性は裏の顔を持っているものよ。今回さりげなくも重要な働きを見せてくれた月夜様ともども、今後もぜひ活躍してもらいたいキャラクターです。


……と、300ページ弱でテンポよく本編が終わったと思ったらまたも100ページ程度の外伝が。いやまあ、外伝のエピソードが本編のために必要という理屈は分かるけれども、やっぱり物語の勢いが削がれちゃう気がするよなあ。外伝は外伝で読みたいんじゃー!
今回はルークが主人公となり、クマニーサンの冤罪を晴らすためにとある殺人事件を調査するお話。ミステリーかと思ったら別にそうでもなかったですね。ルークの有能ぶり、クマニーサンの相変わらずの最強ぶり、あとは【犯罪王】の初登場が見どころですか。本編への登場にも期待です。


某秘書さんの言い方はさすがにミスリードが過ぎるような……。

『賢者タイムが終わらない。』感想

賢者タイムが終わらない。 (電撃文庫)

ストーリー
みんなは『賢者タイム』って知ってるかな? そうだね、一人でアレコレ楽しんだ後の、あの至福の一時だね。俺は性欲が無限に湧いてくるので、すぐに復活しちゃうけどね! ……って思ってたんですけど、禁忌としていたアレをオカズにしたら、賢者タイムが終わらなくなったんです! えっちな小説も全然書けなくなって、夢だった作家デビューもなくなりそうだし、一体どーすればいいんだぁああ! でも、性欲がなくなったら書く小説が爽やか青春小説になり、女子にも意識せずに話しかけられるようになって、まさかのモテ期が到来!? でも、こんな状態でモテてもしょうがねーんだよぉおお!

賢者タイムが終わらなくなってしまったエロ高校生がなぜかモテモテになっていく学園エロコメディ。
魅力的なヒロイン陣とのエロイベントが次々にやってくるのに全く反応できない主人公! なぜならずっと賢者タイムだから! というくだらなすぎるギャグの連続がくだらなすぎて笑える。
ダメすぎる主人公のことを一途に想う幼馴染ヒロインがとても可愛かったです。


エロの申し子にしてエロ小説家デビューも間近に控えた高校生・賢太。しかし自らに禁断と課していたものを「オカズ」にしてしまって以来、賢者タイムが終わらなくなってしまった!
以来、ラッキースケベイベントが起こっても反応せず優しく微笑むばかり、学校では哲学書片手に物思いに耽り、自宅では家庭菜園を始め、グリーンスムージーを手作りしてはSNSに上げる……そんな日々。賢者タイムってそういうもんだったっけ……?
元々エロにしか興味がなく、幼馴染の双葉を除けば女子とはロクに話もできなかったのに、賢者になった途端身だしなみは完璧、コミュ力も完璧、なぜか顔つきもイケメンに、学校中の女子から憧れられる理想の男に。もう一度言うけれども、賢者タイムってそういうもんだったっけ……!? こんな賢者ならば僕もなりたいわ。いややっぱり全然なりたくないわごめん。
ツッコミどころ満載すぎる謎の賢者タイム現象が楽しすぎて、なんだかんだであっという間に読み終わってしまってました。


メインヒロインの双葉は賢太が賢者になる前のどうしようもないダメ人間だった頃から彼のことを気にかけてくれている幼馴染の女の子。
明らかに賢太のことが好きで、でも全く賢太の方は気付いてなくて、いつもあと一歩が踏み出せない恋する乙女っぷりが実に可愛い! なんでこんな残念エロ魔人職業ド変態にこんな素敵可憐な幼馴染が宛てがわれたのか……神様って不公平だ……。
賢太が賢者タイムになっていきなり人が変わってしまい、周囲の女の子から一気にモテるようになって焦る彼女の姿にまたぐっときちゃいます。いいなあ幼馴染。
他、賢者になった賢太との「アオハル」を求める青春ガチ勢な図書委員や、エロ小説の書き方を教わりたいファザコン女子、エロ小説家の卵にして賢太のライバル(自称)のお嬢様など、なかなかにカオスなヒロイン陣。でもみんな美少女だからね。美少女ならどんなにアレでも許容できる。可愛いって偉大だ。
一押しはファザコン女子のうたちゃんですが……でもやっぱりヒロインとして賢太とゴールインしてほしいのは双葉。今回はドタバタのうちに、恋愛方面はうやむやになって終わってしまいましたが……。これはぜひ続刊が出てほしいですね! 次はさらにエロマシマシでお願いします!


イラストは牡丹もちとさん。カラーもいいんだけれどそれ以上にモノクロイラストの肉感的なエロスが素晴らしかったです……!
うたちゃん(全裸)の背中がたまらん。


賢太の小説は外伝で出そう(提案)。

『魔王をプロデュース! ドルヲタの俺が異世界で亜人種アイドルユニットのPになるまで』感想

魔王をプロデュース!  ドルヲタの俺が異世界で亜人種アイドルユニットのPになるまで (ダッシュエックス文庫)

ストーリー
俺はただ、アイドル好きなだけだった。ドルヲタの俺は暴漢に襲われたアイドルを助けた時に死亡し、異世界に転生した。そこで出会ったのは、鎧姿で密かにダンスの練習をしていた少女・ベル。その才能と情熱に惚れ、彼女をアイドルの道へ誘った俺を、ベルの付き人キュリアが慌てて引き止める。「ベル様には、魔王という立場がおありなのです!」え、魔王って、世界征服しがちとかいう、あの魔王? これは、アイドルの概念などない異世界で、転生特典を駆使して、魔王を命がけでアイドルにしなければならなくなったプロデューサーこと俺の物語。魔王なデュラハン、露出魔の霊少女、超絶音痴なローレライ、皆まとめて俺のアイドルに……できるのか!?

ファンタジー異世界に転生したアイドルオタクが歌とダンス好きな大魔王の娘と出会い、彼女をアイドルデビューさせるべくプロデューサーとして奮戦する異世界アイドルストーリー。
デュラハン、レイス、ローレライといった魔物美少女たちによるアイドル活動! 好きに向かってまっしぐらな女の子が魅力的なのは人間だろうが魔物だろうが同じなのである。
しかしこのドルオタ、童貞で変態でストーカー気質の癖にやたら有能だな……。


アイドルをファンの凶刃から守って命を失った結果魂ごと異世界に召喚された主人公。これだけ見るとかっこいい字面だけど本人もアイドルのストーカーやってたんだからサラリと業が深すぎる。
そんな闇のドルオタがこの世界の亜人族の頂点たる大魔王の娘・ベルと出会い、亜人の国にアイドルの伝説を打ち立ててゆく! そんなお話です。
異世界なのに魔王が地球の楽曲を知っていて、しかも「踊ってみた」してるとか、異世界に渡ってきたときに主人公が得た魔法が完全にアイドルステージのための演出魔法だったりとか、地球の文化がめっちゃ入ってきてるのに逆にアイドルだけは存在しないんかいとか、ツッコミどころは多々あるにせよそれは脇に置いといて、アイドルですよアイドル! 異世界でアイドル!
歌とダンスが好きな女の子がキラキラ輝く夢のステージに立つこと。それはたとえ女の子が魔王でデュラハンで首から上が取れようとも、自然の摂理なのである。


ベルを筆頭に、露出癖のある半霊(レイス)の少女・ダロンシェ、致死性の歌声を持つローレライの少女・エーデルワイスが揃い、スターダムへと駆け上っていく3人。
世間から隠れた才能や個性が集まって羽ばたいていく姿というのはいいものです……。多少個性にクセがありすぎるけどな! みんな基本は魔物だからな!
推しは断然ダロンシェちゃん! すぐに脱ぎたがる変態美少女とか最高すぎる。もう霊でもなんでもいいです。次第に主人公に惹かれていくベルやエーデルワイスを横から冷静に見ているそのスタンスも好き。アイドルたるもの安易にプロデューサーに恋などしてはいかんのだ! でも後々ダロンシェちゃんルートに入るのは大いに歓迎します!
全体的にかなりトントン拍子だったように思いますが、それでもいくつかあった困難を乗り越え、アイドルとなった彼女たち。すでにアイドルとしてはわりと本懐を遂げてしまったような気もするけれど、次は何を目標にしていくのかな。


イラストは白狼さん。可愛いが前面に出たイラストで良かったです。
特にカラーのダロンシェちゃん! この笑顔永久に守りたい。


あ、キュリアちゃんも推せる(浮気)。