まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『察知されない最強職2』感想

察知されない最強職(ルール・ブレイカー) 2 (ヒーロー文庫)

ストーリー
王都に戻ってきたヒカルとラヴィアはアリバイを作り、「伯爵令嬢の失踪事件」への関与の疑いを逃れていた。これまで閉じ込められていたラヴィアは見るものすべてに感動して街を観光し、二人の時間をゆったりと過ごす。そんな折、一人の男が大慌てで冒険者ギルドに駆け込んできた。「惑わせの森」と呼ばれるダンジョンが暴走し、大量の魔物があふれだして村が壊滅の危機にあるという。一刻も早く兵を派遣してほしいと訴えるが、そこは辺境の小さな村。国が取った対応は「放置」という残酷なものだった。奇しくもその村・メンエルカは駆け出し冒険者ポーラたちの故郷。国の対応に憤ったポーラたちは、救援のために故郷へ向かうのだが――。

前回救った少女・ラヴィアとともに、人の目を避けつつも、魔物に滅ぼされそうな村を救おうと奮戦する隠密バトルファンジー第2弾。
できるだけ目立たないよう、最大の戦果を上げながらも周囲にはそれを隠すヒカルの暗躍ぶり。闇の仕事人のようで格好良くもあり、一方で主人公が評価されてほしいという一読者の思いからすると少しもどかしくもあり。
新登場のソリューズたちのパーティは、なかなか魅力的なメンバーが揃っていましたね。セリカちゃん推しです。


官憲の手からラヴィアを助け出したはいいものの、未だ公式には追われる身の彼女を匿うため、いっそう人から目立たないような生活を送るヒカル。
ラヴィアの位階上げも行って彼女自身の隠密スキルも無事に上昇。ソウルボードってほんと便利だな……。
せっかく自由になったのに身を隠すスキルばかり上がって、大手を振って街を歩くことができないラヴィアはちょっと可哀想かなとも思いましたが、どうやらこの子はヒカルとイチャイチャしてるだけで十分幸せそうですねちくしょう。なーにが「購入初日から役に立った」じゃこら。爆発しろ。


ダンジョンの暴走によって魔物の脅威に晒されたポーラたちの故郷の村を(陰ながら)救うべく出立するヒカルとラヴィア。
前巻で名前だけ出てきたBクラス冒険者パーティ「東方四星」が満を持して登場してきました。4人のパーティメンバーはそれぞれが押しも押されぬ一流冒険者で、特にやはりリーダーのソリューズはヒカルよりもよほど主人公らしい、正統派な格好良さを見せてくれる剣士でした。今回はヒカルたちとはニアミス程度でしかありませんでしたが、今後何かと関わってきそうですね。黒髪の魔術師・セリカが大いに気になります。
冒険者たちが村を守っている間、単独でダンジョンに潜っちゃうヒカルさん。ラスボスはあのファンタジーの王。
いやいや、「隠密」すごすぎである。前回はまあ、いくら高ランクとはいえ人間が相手だったわけだけど、今回の敵はアレやで……? いくらなんでも無茶が過ぎると思いましたが、戦いようでなんとかなっちゃうもんですなあ。一発もらったら終わりというピーキーすぎる戦いなのは相変わらずですが……。
このままいつも上手くいくとも思えないので、どこかで痛い目を見そうで怖いんだけれど、そこは新しい仲間がフォローしてくれるかな。この子はキャラクターとして大きく羽ばたいてくれると思ってました! なんならラヴィアよりも好きなんで、今後の活躍に(色々な方面で)期待してます。


ピアの株だけやたら下がった気がする(苦笑)。

『魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女』感想

魔法使い黎明期 劣等生と杖の魔女 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
五百年に及ぶ教会と魔女の対立と、数年前に成立した和平。だがその陰で、対立の残滓は、まだ世界の各地に色濃く残っていた――。ウェニアス王国王立魔法学校に通う、落ちこぼれの生徒セービルは、学校入学以前の記憶を失っていた。そんな彼は、アルバス学長の命で、反魔女派の勢力が強いウェニアス王国南部に特別実習として向かうことになる。同行するのは、魔法の始まりを告げる禁書【ゼロの書】の閲覧を求める黎明の魔女ロー・クリスタスや、秀才少女のホルト、それに学校唯一の獣堕ちクドーといった、いずれも個性の強い面々だ。そして、彼らが南で出会うことになる真実とは――。『ゼロから始める魔法の書』の虎走かけるが贈る本格ファンタジー

ゼロから始める魔法の書』と共通の世界で繰り広げられる、新たな魔女と魔法使いたちの物語。
実は前作を3巻くらいまでしか読めていないので、前作のキャラクターも登場してくるらしいし、読んでも大丈夫かなと思っていたんですが、特に大きな疑問もなく読めました。こっちを先に読んでも全然問題なさそうですよ、ご新規さん!
個性バラバラで未熟な魔法使いの卵たちと、頼りになるんだかならないんだか分からない不思議な魔女との旅路は、それだけでもう楽しい。1冊の中で登場人物それぞれの成長をきちんと見せてくれる、しっかりとした読み応えのお話に仕上がっていたと思います。


成績が悪すぎて魔法学校からの退学の危機に迫られた主人公・セービルは、学長からの指示で王国南部の村での特別実習に赴くことに。そんな彼の付き添い役を買って出たのは、見た目幼女ながら300年を生きる伝説の魔女ロー・クリスタスだった……。
おっ、まさかの魔法学校ものか!? と期待していたらあっさり旅に出てしまってちょっと残念……(笑)というのはいいとして、伝説の魔女と魔法使いの卵(たち)との旅ですよ! あーもうワクワクしてきちゃう!
もっとも、もう少し平穏な旅路を予想していたのですけどね。結局最後までピンチ続きでしたね。この世界での魔法使いの立場の難しさを思わされます。


メインとなる魔女・ロスは小さな体に叡智をたくわえた老獪な幼女。作者も言及しているように「のじゃロリ」。みんな大好き「のじゃロリ」である。ベタな設定ながら、長命であるからこその道楽主義であっけらかんとした表面的な顔と、一歩踏み込んだところにある経験豊かな魔女としての顔とを使い分けており、底知れぬ奥深さを感じさせるキャラクターでした。強い幼女に守ってもらうってなんだか燃えるよね……。
魔法の才能に恵まれず、自信を持てないセービル。成績優秀、でもとある重大な秘密を打ち明けられずにいるホルト。トカゲの獣堕ちで周囲から嫌われているクドー。問題だらけのパーティメンバーが、ロスの意外とまっすぐな指導のもとで少しずつ自分の生き方を見出していく。時に無茶もしでかすし危なっかしくてたまらないけれども、自分の殻を破ろうとする魔法使いの卵たちの姿は眩しく輝いて見えました。
そして終盤! まさか1巻目で普通に、前作の主人公コンビが登場するとはねえ。思いっきり悪役だったのが違和感バリバリだったのでこの展開はある程度読めましたけど、それでもドキドキさせられましたわ。ロスとゼロの魔女同士の対話とか最高に熱かったです。
魔法使いとして新たな一歩を踏み出した一同が、次はどんな冒険に巻き込まれるのか。続きが楽しみですね。あ、もちろんラブロマンスにも期待してますよ! メインヒロインはホルトちゃんなんだよね、そうだよね? ホルトちゃんかわいいんじゃー!


イラストはいわさきたかしさん。前作コミカライズから続編のイラストへというパターンですな。表情豊かなロスのイラストがどれも素敵です。
でもやっぱりホルトちゃんだな! 頬染め美少女は正義なのじゃ。


Wikipediaを見て)結構前作のキャラクターだらけなんだな……ちゃんと読みたくなってきたな……。

『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術3』感想

異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術3 (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
MMORPGクロスレヴェリに似た異世界へ召喚されたディアヴロは、手違いで奴隷としてしまった豹人族のレムと、エルフのシェラを従え、異世界ライフを過ごしていた。そこへ魔族エデルガルトが現れて『レムの中に封じられている魔王クレブスクルムを復活させるのに協力しないか?』と持ちかけてくる。以前、レムの中の魔王を取り除く、と約束していたディアヴロは――内心は怯えつつも、いつもの魔王ロールプレイを発揮して、魔族の提案に乗ってしまう!「魔王クレブスクルムを復活させ、この俺が倒す!」ロールプレイVS本物!? いずれ世界を震撼させる魔王(演技)が絶対的な強さで突き進む異世界冒険譚、第三幕!

アニメ化記念に、となんとなく読みはじめたんだけれども、なんだかんだで続きが読みたくなっちゃう面白さ&圧倒的な読みやすさ。
3巻目にして早くも魔王復活! でもそんな魔王すらファンタジー世界での楽しい日常の中に組み込んじゃうのが素晴らしい。
復活した魔王ことクルム(かわいい)と、因縁の深いレムとが、複雑な思いを乗り越えて親交を温めていく展開が熱かったです。


個人的一押し魔族・エデルガルトちゃん再登場! 魔王を復活させたい彼女と、レムを魔王の魂から開放したいディアブロとの間で利害が一致。ともに魔王クレブスクルムの復活の儀式を行うことに。
しかし復活したクレブスクルムは人族に対する悪意を持たないビスケット好きの幼女だった! またヒロインが増えるよ、やったね。
秘めたる力は確かに魔王のものなんだけれど、ビスケットをくれたシェラに無邪気に懐く様子はお子ちゃまそのもので、見ていて微笑ましいです。もちろん正真正銘の魔王だから、本当ならば簡単に仲良くしようなんて思わないかもしれないけれども、こういうときにはシェラの天真爛漫さが救いになりますね。魔王でもなんでもいいじゃん。かわいいんだもん!


ただ、当人がどれだけ平和的な存在であっても、魔王というだけで争いの火種になることは避けられず。
アリシア……やってくれたなあ。遂に本性を表した彼女に比べればオスカーなんてただの噛ませ犬ですよ噛ませ犬。いやまあレムをこんな風に痛めつけやがったことは許さないけど。
レムとクルムの間には浅からぬ因縁があって、その心の距離をやっと近づけることができたのに、だからこそ起きてしまった悲劇。人の思いをなんだと思っているのか……アリシアのヤロー……。
本格的に復活してしまった魔王クレブスクルムに対するのは、もちろん我らが魔王ディアブロ。よっ、待ってました、という感じなんですが、いやあ正直ディアブロの力量ってどんなもんなんでしょうね。なんだか本当の魔王が敵でも負けるビジョンが見えないというか、やっぱり世界最強なんじゃないかと思えてしまうんですけど。
一件落着したものの、新たな爆弾を抱えることになったディアブロパーティ。次もエデルガルトちゃんが出てくるのかな。楽しみです。アリシアは、まあ、わりとどうでもいいです。


存外に直球のエロシーンだったな……(嬉しい)。