まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ……』感想

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ…… (ファンタジア文庫)

陰キャラな俺とイチャつきたいってマジかよ…… (ファンタジア文庫)

ストーリー
俺は九条静紀。休み時間は机で寝たふり、昼は常にボッチ飯。友人いない歴=人生。要は陰キャラだ。俺の名誉のために言っておくが、この状態は嫌いじゃない、いやマジで。……が「あたしは――春日陽奈は、ずっと前から静紀くんのことが好きでした!」学校一の陽キャラ女に告白された!? でもアレだ、陽キャって怖い。願わくば恋人も静かな女子を、などと考え丁重に断ったら……「な、ならっあたしを静紀くんの理想の女の子に変えて!」と食い下がる春日に根負けして、俺の陰キャ生活を教えることに。「ねぇ、一緒にボッチ飯しよ!」おい、なんだその不思議状況は。あぁ……俺の静かな青春、どこいった?

陰キャラぼっちな主人公に学校一の陽キャラヒロインがガンガン迫ってくるイチャイチャ学園ラブコメディ。
佐倉先生、オタサーの姫の次は陰キャラ×陽キャラネタですか。世間の流れにガッチリ乗っかっていくこの感じ、嫌いじゃないよ!
初っ端から好感度メーター振り切れてるヒロインとそんな彼女になんだかんだで絆されていく主人公に存分にニヤニヤできる楽しいラブコメでした。


一人でいることが楽だから、あえて友人も作らず陰キャラでいることを選んでいる高校生・九条。しかしある日突然、学校一の美少女と名高い陽キャラ中の陽キャラ・春日から告白されてしまう!
うむうむ、いいですね。昨今のギャルヒロインにも通じるところがありますが、主人公が勝手に作っている壁をガン無視してグイグイ押せ押せで来るヒロインっていいですよねー。男の側に都合が良すぎる風に見えるかもしれないけど、都合の良い女が嫌いな男なんていないんじゃー!(語弊がある発言)
そういえば久しぶりに、出会って早々キスシーンのあるラブコメを読んだ気がします。大好きなんだけどなあ、キスから始まるラブコメディ。お互いの関係性も定まっていない状態でいきなり距離がグイッと縮まってドギマギして意識しだしちゃう……みたいなのが好きなんじゃよ……。
多少気になったのは、陰キャラと銘打っているわりには、九条がただ目立ちたくないだけの普通のやつだったってところですかね。まあ、「陰キャラを名乗る主人公」にはわりとあるあるなんですけどね。本当の陰キャラってのはこんなもんじゃない、もっと恐ろしいなにかなんだ……。


陽キャラすぎる春日を一度は拒絶する九条だけれど、九条の理想の女の子になるとまで言い張る春日に、陰キャラの生き方を教えていくことに。
そしたらいつの間にか仮恋人関係みたくなっちゃっていて、気づけば学校でも周知の仲になっていて……と、どんどん外堀を埋められていくこの感じがとてもいい。
なんてったって春日がめっちゃ可愛いんだ! 平然と「結婚したい」とか言ってくるんだもん、そりゃ好きになっちゃうよなあ!
春日のことを想うようになったからこそ、陰キャラである自分との差異に戸惑い、自分と一緒にいて彼女は幸せなのかと悩む九条。ああ、こうして自分の中だけで勝手に悩んで勝手に結論を出しちゃうところは確かに陰キャラっぽいわ……。相手に聞けばそれで済むのに、そうしないんだもんな! これだからラブコメの主人公ってやつは!(笑)
結局、陽キャラの女の子を変えようと思ったら、変わっていたのは自分の方でしたー、というお話で。やはり美少女には勝てなかったよ。
秋月、新宮、千坂とサブヒロイン陣もそれぞれ魅力的ですが、このまま春日とのイチャラブルートを全力で突っ走ってもらいたいですね。続きが楽しみです。


イラストは桝石きのとさん。表紙の春日の表情が絶妙に可愛くて好きじゃー!
ビジュアル的には新宮がすっごい好きです。えろいです。


TE●GAを抱える千坂先輩の絵面の背徳感やばい。

『死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱くI』感想

死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く I (オーバーラップ文庫)

死神に育てられた少女は漆黒の剣を胸に抱く I (オーバーラップ文庫)

ストーリー
銀の髪をなびかせ、漆黒の瞳を宿した少女は戦場を疾駆する。漆黒の剣を携え、無邪気な笑みを湛えながら数多の敵を屠る少女の名はオリビア。幅広い知識と戦闘技術を、自らを死神と称する存在に叩き込まれた少女であった。オリビアが15歳を迎える日、死神は忽然と姿を消す。手掛かりを求め、オリビアは王国軍の志願兵として戦火へと身を投じていくことを決意したのだった。
時は光陰歴九九八年。王国は大陸に覇を唱える帝国に対し、苦戦を余儀なくされていた。次第に苛烈さを増す戦場で、常識知らずの無垢な少女は“最強の駒”として、英雄の道を歩み出す――!

第4回オーバーラップWEB小説大賞<銀賞>受賞作品。死神に育てられた世間知らずの少女が誰も敵わぬ最強の剣技を武器に戦場を荒らし回る痛快戦記ファンタジー
これは楽しかったー! 人の営みや常識を知らない無垢で無邪気な少女、でもひとたび剣を握れば誰もが一瞬で斬り捨てられる戦場の支配者と化す……もうこの主人公の設定がすっごい好き。性癖ぶっ刺さりまくり。
強大な帝国に対して為す術もなかった王国の運命が少女の出現によって変わっていく物語展開は燃えるし、敵味方問わず魅力的な登場人物も揃っており、戦記ものとしても楽しい作品でした。ほんと楽しすぎて一気に読んでしまった。


生まれてすぐに死神に拾われ、他の人間との接点を全く持たずに森の中で育て上げられた少女オリビア
ずっと森の中にいたために、人間に関する知識はあっても人の常識や世間というものを全く知らない彼女。そんなオリビアが森を出てたまたま出会ってしまったのは、帝国の兵士たちと、帝国でも有名な武人の隊長。彼女はその隊長の「首」を手土産に王国の志願兵となる……。
いやあ、サイコーですね。いつも言ってるような気がしますけど、美少女が剣を振り回して無双するのが本当に好きなんですよ。リアリティがないってのはわかる。わかるけどやっぱりロマン優先というか、中二心が抜群にくすぐられちゃうんだよなあ。
リビアは本当にバグみたいな強さの少女です。彼女の存在を抜かせば世界設定はかなりきちんとしており、将軍が武を示せば参謀は策を巡らし、と、帝国の勢いに打ち負けそうな斜陽の王国を描く戦記ものとしても十二分に楽しめるのですが、そんな武や策を一蹴してしまうほどの圧倒的な駒がオリビアなのです。
笑いながら戦場を駆け抜け、誰も彼もを一振りの下に沈めてしまう狂気の存在。敵も味方も驚き畏怖するその最強ぶりがただただ気持ちいい。


イレギュラーな待遇で王国軍に入ったオリビアは、次々に破格の戦果を打ち立てていきます。
でも当然彼女には、名誉欲とか金銭欲とかいうものは存在しません。欲しいのはおいしいパン、ケーキ、それから本。戦場での戦いぶりからはかけ離れた無垢な愛らしさについ頬が緩んでしまいますね。パウルおじいちゃん(※中将である)の気持ちもわかるわー。
人を寄せ付けないのかなと思いきや別にそういうこともなく、むしろ人懐っこいところがあってそこがまた可愛いんですね。アシュトンやクラウディアとの友人のようなやりとりにはほっこりしちゃいます。常識はずれなオリビアに付き合わされるアシュトンたちにしてみれば大変でしょうが……。
ただ、根っこのところではまだ、人間をただの生き物としてしか見ていないような部分もあるんですよね。アシュトンたちとの日々の中でそれに変化が訪れるのかどうかは、今後の注目ポイントでしょうか。
いっそ最後まで誰にも理解できない最強の剣士として行ってほしいような気もしつつ、一方で人の心を知ったオリビアの姿も見たいし、悩ましいね! ともあれ続巻が楽しみです!


イラストはシエラさん。いやーオリビアさんめっちゃカッコいいですわー。
血まみれの姿で冷たく笑うオリビア、最高です。


先をWeb版で読んでしまおうか本気で悩んでいる。

『百錬の覇王と聖約の戦乙女』感想

百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)

百錬の覇王と聖約の戦乙女 (HJ文庫)

ストーリー
戦乱の黎明世界「ユグドラシル」に迷い込んだ現代の少年、周防勇斗。弱肉強食、幾多の氏族が覇権を争うこの世界で、勇斗は現代知識を武器にわずか十六歳にして数千もの軍勢を率いる宗主にまで昇り詰めていた! 異世界で王になった少年と、盃の契りを結び彼に絶対の忠誠を誓う麗しき戦乙女たちが織りなす、痛快無双ファンタジー戦記、ここに開幕!!

TVアニメ放送中のライトノベルを読んでいこうキャンペーン。戦記ものスキーとしてずっと気になりつつも読めていなかった今作、いつの間にやらロングシリーズになってしまってこういう機会でもなければ手を出せなかったのでアニメに感謝(見てないけど)。
謎のファンタジー世界に飛ばされた少年が、なぜか繋がるスマホから得た現代知識を頼りに、氏族の長として戦乱の世を生きていく戦記ストーリー。
多少のツッコミどころもありつつ、数々のオーバーテクノロジーを用いて強大な敵を打ち破っていくのが気持ちの良い1冊でした。


主人公・勇斗が不思議なファンタジー世界に転移してから2年後。スマホの知識を頼りに生き抜いてきた勇斗は《狼》の氏族の宗主までのし上がっていた!
異世界転移なのにスマホが使えて知識で「チート」しちゃうとか、転移後から宗主になるまでの2年間を全部すっ飛ばしてるところとか、やたらWeb小説っぽいなと思いながら読みました。2013年の作品なのに今アニメ化している理由がわかるというか、最前線を走ってる感じがするぜ(とかいいつつ今の流行は知らないのだけど)。
個人的には、スマホ以外何もない状態から王になってしまった経緯を詳しく見たいと思うのだけれど、最初から大規模な戦をやってくれた方が派手だしね。戦記ものの新シリーズにありがちな「本格的な戦いが始まる前に打ち切られちゃう問題」を考えると、これも生存戦略なのかもしれませんな。
スマホが繋がるのはそういうもんだからいいとして、調べただけで製鉄までできるもんかなともちょっと思いますが……まあ《狼》の人々が優秀だったということで。


孫子を読んで戦に臨み、マキャベリを読んで王として動く。戦力で勝る敵に対して相手が知らない戦術や道具を用いて華麗に勝利する。いやーズルいね! ズルいけどやっぱり痛快なんですわ、知識チート。
それに勇斗はただズルいだけではありません。自分がチートをしていることをきちんと分かっていて、内省するだけの思慮深さがある。そして土壇場では16歳の少年とは思えないほどの威厳を発揮したりもする。こういうところを見ると、彼が単純にスマホの知識だけでのし上がってきたのではないということが察せられます。
宗主たる勇斗の脇を固めるキャラクター陣も魅力的ですね。文武ともに満遍なく優秀な副官のフェリシア(美少女)に、《狼》でも最強を誇る武人のジークルーネ(美少女)。そして《狼》と争って新たな「妹」となった《角》の宗主リネーア(美少女)。美少女ばっかりやんけ! 知ってた!
年若い女の子が敵陣に突っ込んで無双するの大好きマンとしてはやはりジークルーネを推したいところです。敵味方共に恐れられる将でありながら「父」たる勇斗の前ではワンコみたいな可愛らしさを見せてくれるのがいい。
しかし勇斗には元の世界に想い人がいる。それでも普通なら異世界の美少女たちに落とされてしまいそうなところですが、勇斗の場合は夜な夜なその相手と電話ができちゃうというのがデカいですよね。どうするんだろ。
恋愛方面もそうですが、戦記ものの常で続きがとても気になります。頑張って追いかけようかな。


イラストはゆきさんさん。戦いの場面もしっかり描いてくれていて良かったですね。
美月ちゃんの胸、ちょっと中三とは思えないな……。


アニメも見れたら見ます(フラグ)。