まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『業焔の大魔導士 ~まだファイアーボールしか使えない魔法使いだけど異世界最強~』感想

ストーリー
異世界転生の際に最強の魔法使いとなることを望んだ少年ユアン。だが、実際に彼が得た才能は、あらゆる魔法を使いこなす魔法使い――ではなく、ファイアーボールしか使えないものだった! そんな彼がふとしたことから、故郷の田舎を出て王都の魔法学園に通うことになる。だが、学園長エステラによれば、どうやら彼のファイアーボールはまだ限界を見せていないらしい。そして彼はやがて、ファイアーボールひとつで魔王さえ軽々と倒すような圧倒的な才能を示して、クラスメイトの王女セシリアたちを虜にしていき……!? 「――今のは禁忌魔法ではない。ファイアーボールだ」ファイアーボールしか使えない少年の無双譚がここに幕を開ける!

第6回講談社ラノベチャレンジカップ<優秀賞>受賞作品。
最強の魔法使いを願って異世界転生したら、ファイアーボールしか使えなかった! でもそのファイアーボールがどんな魔法よりも最強だった!
魔法バトルというよりはもはや主人公がファイアーボールを打つまでの出落ちみたいな感覚で、笑わせてもらいました。
どこぞの大魔王を彷彿とさせる決め台詞も絶妙にダサカッコ良くてGood!


異世界転生して16年、片田舎で育った主人公ユアンが使える魔法はなぜかファイアーボールだけで、いつまで経っても次の魔法を覚えない。
そんな彼の目の前にドラゴン現る! とりあえずファイアーボール! ドカン! ドラゴン消滅! 完!
凄い出落ちっぷりである。そして以後のバトルもほとんどコレなのである。
いくらユアンが、どうしよー相手の魔法使いめっちゃ色々な上級魔法使えるよー勝てないよーと悩んでいても、一発ファイアーボールをかましてみればそれで終わり。実に分かりやすくていい。
だから、魔法バトルが盛り上がるかというと、まあぶっちゃけあんまり。魔王ですら雑魚キャラ扱いなのだから当然ですけど。
たぶんこの物語の本質はギャグなんです。「強そうな奴登場 → 勝てないかも → ファイアーボール → 勝っちゃったよ」というショートコントの詰め合わせなんです。


王女様セシリアは正統派ヒロインという感じでよかったですね。少々チョロすぎるのも含めて正統派ってもんですよ! 王女様はチョロくてナンボなんだよ!
他、アテナとコーデリアという2人のヒロインが登場。アテナはわりとしっかりドラマが描かれましたけど、正直コーデリアの見せ場がどこにあったのか分からない……。見た目はかなり可愛いだけにそこは残念でした。
正直これ以上強敵の出しようがないんじゃ? とは思うし、一発ネタ感は否めないし、続刊が出るのかどうか分かりませんが、もし出るのならぜひコーデリアに日の目を見せてあげてもらいたいなと! スライムに襲われるだけじゃいくらなんでも可哀想でしょ!(笑)


イラストはあゆま紗由さん。特にモノクロページのヒロイン陣が魅力的に描かれていてよかったですね。
しかしカラー口絵のこのチョイスは「編集/庄司智」って感じだ(笑)。


で、外伝『エステラ様のだいぼうけん』はいつ出るんですか? わくわく!

『終末の魔女ですけどお兄ちゃんに二回も恋をするのはおかしいですか?』感想

ストーリー
「大きくなったら、私をお嫁さんにしてね、昴お兄ちゃん」昴は人類最強の歩兵としてかつて従軍していたが、いろいろあって今はふつうの男子高校生。ある日、四女・紅葉が魔力が枯渇して禁断症状――【欲情】が出た状態で昴のもとへ降ってきた。魔力の供給方法は、供給源の昴との肌と肌での肉体接触…というか、撫でたり揉んだり摘まんだりすることで…。あの日交わした妹との“約束”を果たすため、人類の敵と己の理性に力の限り立ち向かう! 限界ぎりぎりエロティックアクション! 第5回集英社ライトノベル新人賞《特別賞》受賞作!!

第5回集英社ライトノベル新人賞<特別賞>受賞作品。
人類の敵『界獣』との壮絶な戦いが繰り広げられる世界で、記憶を喪失した義妹(魔女)を守りながらの逃避行。
妹たちとは違って魔法を使えるわけでもないのに、さくっと「元人類最強の歩兵」とか言われてるハイスペックお兄ちゃんに笑った。そら妹もベタ惚れってもんですわ。
「DX文庫史上最大のエロス」とかいう煽りのわりにはエロ控えめで、むしろ結構なシリアス寄りだったような。もっとエロマシマシでもいいんですよ!


人間を食らう界獣と、それに対抗できる数少ない人類の「兵器」たる魔女。
かつて七人の義妹たちと『魔族』として共に戦い、戦場を退いた少年・昴は、生き別れとなった四番目の義妹・紅葉と再会。しかし彼女は軍から脱走してきており、しかも記憶を失っていた!
というわけでメインヒロインの紅葉ちゃん。義妹でありながら昴と結婚の約束を交わしている上に魔女で記憶喪失中という要素盛々最強ヒロインなんですが、ここまで来るとむしろ妹の要素いるか!? と思わず突っ込んでしまいます(笑)。まあ作者のペンネームからして、妹に並々ならぬこだわりがあるのは間違いないですね。
魔力が枯渇したら補給のためにお兄ちゃんと肌を合わせなければならない、というのも、ベタながら王道の設定です。粘膜接触が一番魔力効率がいいんだよね、わかるわかる。でも、せっかくのエロ設定のわりに、少々オマケ感が強かったかも。物語全体がわりと重めの内容ですから、そこんとこバランスが難しいのは理解しますけど。


軍の機関から追われる昴と紅葉。てっきり界獣との戦いがクライマックスなのだと思っていたけれど、今回のふたりの敵はむしろ人間でした。
いやー、この悪役は邪悪ですね! 腸煮えくり返りそうなほどに邪悪でした。いやマジでふざけんな……。
妹たちを害する者に対抗するのは、兄と妹の絆。そして愛。それは魔法の源。
紅葉だけではなく、他の妹たちの力も借りながら、長年彼女たちを虐げてきた悪へ反撃する。カタルシスがあってよかったです。
どうやら次巻もあるようですが、どんな展開になるのやら。まだ登場していない他の妹たちが気になるので、ぜひ出てきてもらいたいですね。あとエロシーンもね。


イラストは呉マサヒロさん。この表紙のブラウス、何がどうなったらこの形状になるのか(驚愕)。
よきおっぱいでした。


敬語ヒロインスキーなので、それだけが惜しい!

『戦闘員、派遣します!』感想

戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

戦闘員、派遣します! (角川スニーカー文庫)

ストーリー
世界征服を目前にし、更なる侵略地への先兵として派遣された戦闘員六号の行動に『秘密結社キサラギ』の幹部達は頭を悩ませていた。侵略先の神事の言葉を『おちんち○祭』と変更するなど、数々のクズ発言。さらには自らの評価が低いと主張、賃上げを要求する始末。しかし、人類と思しき種族が今まさに魔王軍を名乗る同業者に滅ぼされると伝えられ――。「世界に悪の組織は2つもいらねぇんだよ!」現代兵器を駆使し、新世界進撃がはじまる!!

悪の戦闘員、ファンタジーな地球外惑星に飛ばされて侵略侵略ぅ!
クズで小物でお調子者な主人公が、金に汚い女騎士やキメラの美少女、邪神の大司教、そして毒舌アンドロイドな相棒とともに魔王軍と戦う。
SFもファンタジーも、ギャグもバトルも盛々で楽しい1冊でした。一癖も二癖もあるヒロイン陣が魅力。


地球はもう征服間近だから、今度は宇宙に進出しちゃえ! とお気軽なノリで地球外惑星に飛ばされた主人公・戦闘員六号。
ワープ装置がちゃんと作動するかは運任せ、ついてきてくれるのはアンドロイドが1名と、なかなかの重要任務のはずなのにこの扱い。これが社会の縮図、下っ端の悲哀ってやつか……。
しかしこの高性能アンドロイドことアリスちゃん、いいキャラしてますね! ショットガンぶっ放す美少女アンドロイドってだけで興奮しますが、口を開けば毒舌ダメ出しのオンパレード、ツッコミもボケもできて仕事も有能とか、なんだよホントに高性能じゃないか!
ヒロインではなく、あくまで相棒という立ち位置がまたいいですね。六号との凸凹コンビで悪逆非道の限りを尽くしてもらいたい。


六号たちが飛ばされたのは剣も魔法も騎士も魔族もあるよっ! なファンタジー惑星。
元々の任務は拠点の確保と調査だったはずが、いつの間にか王女様に見初められて魔王軍と戦うことになってるんだからファンタジーフィルターって怖い。ファンタジー世界では誰しもが勇者候補なんだって僕しってる。
六号とアリスの小隊メンバーとして集められたのは、良く言えば個性豊か、悪く言えば問題だらけの厄介者たち。
まあスノウとロゼはいいとして、グリムとか戦闘中ほとんど寝てるって何事なの。でも窮地に立たされた時にはこういう人こそが一番強いって僕しってる。しがらみだの差別だので不当な扱いを受けている連中が活躍する姿を見るのはいいもんです。
六号もね、何せ悪の戦闘員なもんですからとても主人公とは思えない戦いぶりと逃げの精神を見せつつも、大事なところで悪になりきれないあたり、いい主人公ぶりでした。
魔王軍との戦いももちろんですが、ギャグ満載の日常回とかも面白そうなので読んでみたいですね。今後の展開に期待しています。


イラストはカカオ・ランタンさん。アリスちゃんがダントツで可愛い。あとはロゼ。別にロリコンというわけではない。
でも終盤のあの場面でのスノウにはさすがにグッとくるものがありました。


ほとんど出番のないアスタロトが実は一番可愛い説。