まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

紅霞後宮物語 第二幕

紅霞後宮物語 第二幕 (富士見L文庫)

紅霞後宮物語 第二幕 (富士見L文庫)

ストーリー
高貴妃の事件からようやく落ち着きを取り戻した帝国に、新たな火種が飛び込んでくる。
それは先帝がひた隠しにしていた遺児の存在だった。
彼こそが正統な皇帝だと主張する一派に対し、静観を決める文林だったが……。



前巻の事件から1年が経過して、35歳になったメインヒロイン・小玉さん。
今回は先帝の遺児が現れたことで、文林が皇帝の位を譲るか譲らぬかの政争が起こりました。
「夫」の失脚の可能性に特に焦るでもなく、万が一に備えて淡々と逃亡の準備をする小玉が、相変わらず素敵すぎる。


先帝の遺児、発見! もしこれが事実ならば、傍系の現帝・文林に比べて皇位継承権が高いのは明らか、ということで、ある派閥から追求されることに。
本当なら、皇帝や皇后といった立場を守るために必死になるところなんでしょうけど、元々その辺りに執着がないのが文林と小玉の変わり者夫婦です。
まあ、先帝から国を託された文林はそれでも位を守らなければならないんですけれども、そんな制約も特にない小玉の方は、情報が入った時点でせっせと田舎に逃げるための裏工作。いざとなったら夫を背負って逃げられるように体まで鍛えだしちゃう皇后とか、ちょっとカッコ良すぎます……。
このナチュラルなイケメンっぷりが、彼女の一番の魅力ですよね。李真桂があんな不埒なことを考えるのも、まあ分かろうというもの。「お姉さま」呼びはアリだと思います!


思わぬ事実が発覚したことにより、噂の遺児を匿うことになった小玉。うーむ、この包容力よ。
他にも、謀反軍が宮中に押し入ったところにおっとり刀で駆けつけたり、後宮に侵入した賊をくわで撃退したり、この皇后さんったらもうやりたい放題で、楽しかったです。
一方、なかなか上手いこといかないのが夫婦関係。もう結婚してから2年も経っているはずなんですけどね。
文林が小玉を想っているのは確かなんだけれど、小玉もそれを察していて、その上で思いに応える気がないっていうんだから、まったく不憫な皇帝もいたものだよ!
挙句に、ずっと自分を好きでいても無駄だから、他のいい女を探してあげよう! と本気で計画しだすあたり、本当にずれていて頭が痛いです。文林……報われない男よ……。
文林の小玉への扱いにも首を捻るところは多々あるので、お互いさまといえばそうなんですが、もうちょっとこう、夫婦っぽくならないもんですかね。まあ、ふたりが今のままでいいなら、いいんですけど。


清喜、地味になかなかの親不孝である。