まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

はたらく魔王さま!3

はたらく魔王さま! (3) (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (3) (電撃文庫)

ストーリー
ある日突然、魔王たちの住むアパートの庭に、異世界からのゲートが開く。
そこから現れた小さな少女は、なぜか魔王を“パパ”、勇者を“ママ”と呼んだ。
混乱しながらも、とりあえずアパートで少女を預かることにする魔王だったが……。



魔王と勇者の間に、赤ちゃんができました。えっ。
いつかこんな日が来るかもしれないとは思っていたけれど、色々順序を吹っ飛ばしすぎではありませんか。
流石はファンタジー世界の住人。やることがその辺のカップルとは一味違うなあ!


突然現れて真奥たちを混沌の渦に巻き込んだ女の子、アラス・ラムスちゃん。
可愛い! とにかく可愛い! 実年齢は分からないけれど、人間に当てはめると2〜3歳くらいでしょうか。
舌っ足らずなことばで純粋な意思表明をしてくるところがもうたまらなく可愛らしいです。
一同が、魔王陣営vs勇者陣営の確執とか、そんなふたりへの嫉妬とか、そういうのをとりあえず流して、ついつい愛でてしまうのも仕方ない。
あの恵美でさえ、自分をママと呼んで抱きついてくるアラス・ラムスにでれんでれん。
いつも真奥にきつく当たってばかりで、よりによってその真奥と自分の子供である(と当人が言っている)アラス・ラムスにほとほと困りながらも、その笑顔の前では頬を緩ませてしまう。ああ、赤ん坊は強し。
パパ・真奥はさらにその上を行く可愛がりっぷりで、既に本当の親子なんじゃないかというくらいに溺愛。
でも恵美と真奥の間では、相変わらず悪口の叩き合いで……もう、夫婦げんかは子供の成長に良くないと思いますよ!
とはいえ、なんだかんだで悪くない雰囲気になることも多いし、子はかすがいということで、このままくっついてくれちゃっても個人的には全然構わないのですが。芦屋は猛反対するんでしょうけど。


一方、魔王に恋してしまった因果な少女・千穂は、子連れの夫婦にしか見えない真奥たちに嫉妬の嵐。
それでも、子育てに関してまるで頼りにならない一同を見かねて、進んでアラス・ラムスの世話を始めるあたり、彼女の根っからの優しさが表れています。
いやほんと、このファンタジックなパーティーのみなさん、千穂がいなかったら何も成り立たなくなるんじゃないかというくらい、この一介の女子高生に頼りまくってますよね。大悪魔たる芦屋が下へも置かぬ接待ぶりを見せるのも納得。
彼女の一途な恋はいつか実を結ぶのでしょうか。気持ちは伝わっているから、あとは真奥がどうするかということなんですが、種族や世界の違いもあるし、簡単には行かないんだろうなあ。


相変わらずといいますか、日常生活からのいきなりのバトルに大いなる違和感。
何度目のツッコミになるか分からないけれど言わせてください。庶民的すぎて戦闘が似合わない魔王と勇者っておかしいだろ。
でも、「子を守る親」としての真奥と恵美は、珍しくちょっと格好良く見えました。ちょっとだけですけどね。
今回の敵によって、大きな謎がひとつ投下されました。これからの展開に大きく関わってくるのではないかと思います。
まあ、ファンタジーパートがどうなるにせよ、日常パートはそんなに変わることなく続いてくれることでしょう。だって庶民だから。素晴らしい安心感。
地味に進展しつつある(?)芦屋と梨香の今後も気になります。次巻も楽しみ。


応援している漆原の活躍があって嬉しい。自分からは何ひとつ頑張ってないけどな!