まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と赤の王国

ストーリー
間近に迫った神聖祭に向け、砂糖菓子作りに余念のない、銀砂糖師アンと仲間たち。
ところがその矢先、優秀な職人のひとりであるオーランドが妖精ラファルに襲われ、傷を負ってしまう。
その上、アン自身も彼に人質に取られ、シャルと共にさらわれることに……。



3巻にわたって続いたペイジ工房・神聖祭編もクライマックスへ。
キースやジョナスたちをはじめ、登場人物勢揃いという感じで、にぎやかで楽しいです。
何度も不運に遭って、もう駄目かもしれないと諦めかけても、職人の誇りを持って、めげずに立て直していったアンとペイジ工房の面々。
そんな彼女たちを見て、ことばを投げかけられて、本当にやりたいことを見出したキースやジョナス。
そして、鬱屈した思いや反発からようやく解き放たれて、自分らしく生きることができるようになったブリジットが素敵でした。
邪魔や意地悪やその他、色々やってしまったこともあるけれど、やっぱりブリジットはいい子だったんだなあ。
泣き顔が可愛くてなかなかにそそられるものが。しかしオーランドですか。ほう……ニヤニヤ。
みんな本当に頑張りました。今回の砂糖菓子は、今まで出てきた中でも特にきらきらと輝いているのではないかと思います。


ラファルにさらわれ、シャルの生い立ちの秘密を明かされて、アンとシャルの気持ちにも変化が。
ただ一緒にいるだけで良かったのだけれど、ふたりは次第にその先を見つめ始めます。
人間と妖精が寄り添い愛しあったとして、本当に幸せになれるのか。
相手のことが好きだからこそ、そのことが気になってしまって、どうしても前に進めない。
アンもシャルも、優しくて素直だから、ラファルのことばにとらわれてしまうんでしょうね。
せめて、お互いの気持ちだけでも確かめ合うことができればいいんだろうけれど。怖がりだからなあ。


とある決断を迫られるアン。銀砂糖師としての将来だけではなくて、それ以外のことも決めてしまいそうな、大きな決断になりそうです。
アンとシャルの、淡くて甘酸っぱい恋は、一体どこへ向かっていくのでしょうか。
また、アンとシャルは、人間と妖精の関係を変えていくことができるのでしょうか。
シャルの立場が、これからどのように働いていくのか、気になるところです。
もちろん、アンが銀砂糖師として次にどんな成長を見せてくれるのかということも、楽しみですね。


この砂糖菓子はぜひともイラストで見たかったけれど、まあ難しいか。