まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

女の子に夢を見てはいけません!

女の子に夢を見てはいけません! (富士見ファンタジア文庫)

女の子に夢を見てはいけません! (富士見ファンタジア文庫)

ストーリー
幼い頃から姉と妹のセクハラに精神力を削られ、女の子に夢見ることをやめてしまった九条咲也。
彼はある日、クラスメイトの美少女・淡路美月の想い人が、学校の先輩の女子生徒・桜川静理であることを知ってしまう。
美月に脅された咲也は、彼女の恋を成就させるため協力することになるのだが……。



第26回ファンタジア大賞<金賞>受賞作品。
女の子が苦手な主人公と、女の子に恋してしまったヒロインが繰り広げる、凸凹学園ラブコメディ。
協力関係から始まる恋、というのはわりと見かけるテーマですが、いいもんですよね!
憧れの先輩に近づくためにあれこれ計画を立てては思いっきり空回るヒロイン・美月の姿がおかしくも楽しかったです。


主人公の咲也は、弟のことが大好きな姉と兄のことが大好きな妹に挟まれ、愛されつつも束縛され続けた人生を送ってきたために、“女の子に夢を見てはいけない”という真理を得てしまった高校1年生。
まあ傍からだとむしろ楽しそうにも見えるんですが、本人的にはすっかり女の子にトラウマができてしまっているようで。美少女を見ても「ふーん」で終わってしまうのは、ラブコメの主人公としてはちょっと寂しいような気もしてしまいますが……。
一方の美月は、女の先輩を好きになってしまった女の子ということで、これまたかなり特殊な状況にあるヒロインですね。
しかし考えてみれば、相手が美少女だからといって特別に思うことなく接することができる人畜無害な咲也は、美月にはぴったりの相手と言えなくもないかもしれません。
なんとかして桜川先輩に近づこうと、恋愛経験のないふたりで必死に計画しては実行に移していくのですが、いかんせん美月がポンコツすぎました。
これはいけそうだという計画でも、先輩と顔を合わせた瞬間に美月がスパークしてしまって何もできず、逆に咲也の方が先輩と仲良くなってしまう始末。何やってんだ。
その上、明らかに失敗しているのに妙に自信ありげなのが、なんというかとっても残念な子でした。いや、ポジティブシンキングってのはいいことですね。はい。


失敗を繰り返しつつも、それなりに成果を挙げつつあった美月の恋は、一転して思わぬ終結を迎えました。
しかしこうやって振り返ってみると、今回は全体的に美月の恋愛が主体で、咲也の方にはあんまりラブの匂いがしませんでしたね。
今のところは咲也にも美月にも「そのつもり」はないみたいですから、女性不信の咲也がいつ恋をするのか、そして美月がいつ男である咲也に目を向けるのか、ということが目下の焦点になりそうです。
今後の展開はまったく読めませんが、咲也と美月のニヤニヤな場面を強く希望! 続きが楽しみです。


イラストはこうぐちもとさん。髪の毛のふわふわ感が特徴的で可愛いなと思います。
あっけにとられた美月のデフォルメ絵もよかったですね。


桜川先輩、次から完全にネタキャラになりそう……。