まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

四百二十連敗ガール3

四百二十連敗ガール3 (ファミ通文庫)

四百二十連敗ガール3 (ファミ通文庫)

ストーリー
デレ園最大のイベント『シンデレラグランプリ』に向け、自分磨きに勤しむ女子生徒達。
もちろんテンションMAXのハルだったが、一方の毒空木はまるで興味ナシの様子。
しかし、ひょんなことから優勝候補筆頭の椿さんとハルを巡って争うことになり……。



遂にこの子のターンがやってきた!
今回のヒロインは、入学式でのハルの因縁の相手にして学年トップの才女・椿さん。
作中最強ともいえるヒロインを相手取った毒空木の真っ向勝負は、たいへんに熱かったです。


我らが毒空木の愛らしさは今回も全力全開でした。なんというかね、ただ萌える台詞を言ってくれるとか、そういうことだけじゃないんですよね。
やっぱり毒空木の最大の魅力は、一途に恋をしていることなんです。女子がみんなシンデレラグランプリに夢中になっている中で、そんなもの歯牙にもかけずに自分の恋を追いかけるのが実に彼女らしくて、特別な女の子なんだなあと改めて思わされました。
椿さんはどこから見ても隙のない完璧な美少女で、周囲からの人望も厚くて、もはや敵なし状態。一方毒空木の味方はハルと時宗さんとゆずり先輩の3人くらいで、はっきり言って学年全体がアウェーのようなもの。
でもこんな状況でも、毒空木はハルのためになら、「諦める」なんて選択肢さえなくまっしぐらに頑張れるのです。ダメなところも多いけれど、最高に格好良いヒロインだと思います。
それにしても生徒たちの毒空木に対する扱いがちょっとひどすぎる。こんなにいい子なのに、なんでそう表面的な部分しか見てあげられないのか!
椿さん本人はたぶん相当優しくていい人だし、本来ならメインヒロインの好敵手にでもなるべきキャラだろうに、周囲の扱いに毒空木と差がありすぎて、今回は完全に悪役状態でした。そう思うと、わりと損な役回りだったかもしれません。
毒空木がなんだかんだで活躍できるのは予想できましたが、期待以上の奮闘を見せてくれたのが時宗さんでしたね。
いやはや、初登場のときはこれほどわけのわからんキャラもいないと思ったものですけど、いつの間にやら魅力たっぷりのヒロインになっていましたよね。……ゆずり先輩はあんまし変わっていませんが、まああの人はあれでいいんです。少なくともパイナップルはなくなりました。


毒空木と付き合うのを避けるために、デレ園全告ツアーに参加していたハル。
でも、自分のために毎回これほど頑張ってくれる女の子を間近で見ていたら、そりゃもう、行き着く先は分かりきっているというもので。
それでも意地があるのか、なかなかデレを見せてくれないハルだけに、ラストシーンのニヤニヤは素晴らしかったです。ああもう、なんで毒空木はこんなに可愛いんだろうなあ!
四百二十連敗まではまだまだ先が長いけれど、ハルが全員に振られるのが先か、毒空木に参ってしまうのが先か、楽しく見守っていきたいですね。次巻も待ち遠しいです。


ビジュアル審査でのハルの働きには素直に称賛の拍手を送りたい。分かってらっしゃる。