まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

楽園島からの脱出Ⅱ

ストーリー
女子だけが持つ機器「ブリッツ」の効力をいち早く理解し、ゲームの主導権を握った沖田。
だが、ゲーム攻略のためにペアを軽視する彼の行動は他の女子との軋轢を招いていた。
状況は一転、女子たちによって不利な状況へと追い込まれた沖田だったが……。



2巻で完結。もっと続いてほしかったような気もするけれど、風呂敷が広がり過ぎないうちに綺麗にまとめてくれたと思います。
前巻でとりあえず沖田が実権を握ったわけですが、何やら不穏な予言(?)もあったし、このままでは終わらないよなあと恐々読み進めたら、案の定。
沖田のやり方は、確かにあまり気持ちのよいものではなかったといはいえ、こうも一気に没落してしまうと、やはり同情してしまいますね。
いやね、この作品の女子は全体的に怖すぎるんですよ!
パッと見では“武器”である女子を男子が所有しているようでいて、その実、男子を選んでいるのは常に女子の方なんですね。
駒として使えると思われているうちはそれでいいのだけれど、こいつはダメだと思われたらもうそれで終わってしまうわけです。えぐい。えぐすぎる。沖田に代わって祭り上げられた鈴木がもはや哀れに見えてきます。


沖田が表舞台から退場し、訪れた平和。そしてパラダイス。
うわあ、楽園島ってこういうことですか。素晴らしく悪趣味ですねえ!
まあ、当人が幸せならそれでいいんでしょうけど、個人的にはあんまりご一緒したくない状況であります。
意志の弱い男子と女子がはびこる中、沖田のペアだった女子たち、とうに梨央と未来の気丈さが実に心強い。
周りから嘲られ、羞恥を感じながらも、沖田を信じて耐え続ける彼女たちはとても格好良かったです。
天国に酔っている周囲には、その格好良さが伝わっていないというのがなんとももったいないんですけどね。


男など使い捨ての道具に過ぎなかったのだよ! とばかりに、女と女の争いが勃発しました。 怖いよ……近づきたくないよ……。
結局ヒロインとして残ったのは、梨央、未来、香緒里、そして花穂でしょうか。最終的にはあの娘が持っていった形になりましたけど、メインヒロインを決めるには、まだちょっと気が早いですかね。
個人的には香緒里に一票入れたいところですが、未来はともかく、梨央と花穂は放っておいたらどうなるか分からない危うさがあるからなあ。ううん、悩みどころですね。
謎解きは、正直言って「はあ、そうですか」という感じでした。どちらかといえばミステリーよりもヒューマンドラマの方が中心ですから、こんなもんでいいのかなとも思います。伏線等々忘れている部分も多いので、初めから読んだらまた違うのかもしれません。
いやしかし面白かった。次の作品も楽しみです。


島から帰った後のクラスではイヤーな空気が立ち込めているんだろうな……。