まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔弾の王と戦姫3

ストーリー
テリトアールに陣を進めたティグル軍の前に、ガヌロン公爵の配下、グレアスト伯爵が現れる。
あまりに不躾な恭順命令を拒否したティグルたちは、伯爵率いる軍と一戦を交えることに。
巧みな計略で伯爵軍を退けるが、間を置かずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し……。



次々に戦を仕掛けられるティグル軍、いや、『銀の流星軍』(カッコイイ)。
敵に回すのも大公爵の手勢にブリューヌ王国の公式の騎士団と大物続きで、いよいよ本格的にティグルの戦いが始まったのだと感じさせられます。
自分たちの利益のためだけに虚偽と陰謀をばらまき、ティグルを追い詰めようとする公爵共には本当に腹が立ちます。
グレアストなんぞはどうでもいいのですが、黒騎士ロランは素晴らしい騎士でした。
王が病気に臥せっているのをいいことに、こんなまっすぐな人間を操ってティグルと戦わせ、自分は手勢を温存して悠々としているテナルディエは実に許しがたい。
まあ、ティグルが他国の軍を引き入れていることは事実ですから、ロラン自身に戦うための積極的な理由がなかったとは言い切れませんけれども。
それにしても今回の様子を見ていると、ガヌロンは(テナルディエと比べても)さらに陰険なやり方に出てくるなあという印象がありました。
やり手の貴族といえば聞こえはいいですが、全てを取り仕切る公爵がふたりともこんな具合では、もう本格的に駄目なんじゃないでしょうかこの国。ブリューヌの民のために、ティグルさんが早く力をつけてくれることを祈る他ありません。


ブリューヌ最強を誇る騎士ロランと、戦姫エレン、ソフィー、そしてティグルの戦いは胸の踊るものでした。
まずは軍と軍とのぶつかり合い。川や森を上手く用いた計略、『槍』『三日月』といった陣形など、多数対多数の戦というものを丁寧に描いているのが魅力なんですよね。
マスハス卿やリムはさながら軍師というところですか。兵を手足のように操って戦況をひっくり返す様子にわくわくが止まりません。
それから、一騎当千の将たちの一騎打ち。ロランさんが圧倒的すぎて噴きかけた。なんですかこの人。呂布ですか。
戦姫ふたりと竜具を相手どって尚余裕で戦える彼は、ブリューヌ最強にふさわしい貫禄でした。こんな人が最前線で剣を振るっていれば、そりゃあ兵たちの士気も上がるというものです。オリビエとの信頼関係も素敵ですね。
一方のティグル側ですが、ソフィーさんの戦う姿を見ることができて嬉しかったです。
エレンやリュドミラとはだいぶ違う竜技のようで、攻撃はもちろん、誰かを守ることに力を発揮する戦いっぷりでした。優しく包み込むようなソフィーさんにはぴったりではないでしょうか。


ティグルの弓の秘密も少しずつ明かされ始めたものの、まだまだ謎は残るばかり。
この力は、一体彼をどこへ連れて行くのでしょう。期待半分、不安半分といったところですか。
危機に危機は重なるというもの。頼りの人々の不在の中、ティグルが次の戦いをどう乗り切っていくのか、楽しみです。
今回少なめだったリムの出番がもうちょっと増えてくれると特に嬉しいですね!


作中屈指の萌えキャラ、ルーリックさんのイラストもぜひ見たいなあ……。