まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

はたらく魔王さま!4

はたらく魔王さま! (4) (電撃文庫)

はたらく魔王さま! (4) (電撃文庫)

ストーリー
バイト先のファーストフード店の休業によって職を失った魔王。
さらに住居であるアパートも、ガブリエルとの戦いで壊れた壁を修理するため、一時退去させられてしまう。
失意の魔王たちは、大家・志波の勧めで、彼女の姪が経営するという海の家ではたらくことになるが……。



うん、面白かった! わりと地味だからか、どうも手を出すのを先延ばしにしてしまいがちなのですが、いざ読むとやはり安定して面白いですね。
多少の変化もありつつ、笹塚だけでは多少マンネリを覚えた部分もあったのですが、今度は千葉での海の家経営ということで、気分が変わってまた新たな楽しさが出てきたと思います。
ファンタジー要素も、今までは少しごちゃごちゃしていて流し読みしてしまうことが多かったのだけれど、今回はお話がすっきりしていて分かりやすかったです。


まず目に付くのがアラス・ラムスちゃんの計り知れない愛らしさ。
前巻のときも書いたような気がしますけど、これはしょうがないですね! 赤ちゃんへの愛は人間も悪魔も関係ないのだなあと、しみじみ感じました。
舌っ足らずなことばを必死になってしゃべるアラス・ラムスはもう、眺めているだけで頬がゆるんで落ちそうです。
あの漆原でさえ世話をしたくなってしまうアラス・ラムスこそ実は最強なのではないでしょうか!
ヒロイン陣では、ちーちゃんがいつも以上に頑張っていましたね。
真奥のどこにそこまでの魅力があるのか、さて、大いに疑問ではありますが、ここまでまっしぐらなちーちゃんを見ていると、種族を超えた恋愛でもつい応援したくなってしまいます。
遂に魔王軍に入るとまで言い出しちゃってビビる。正気ですか女子高生。恋する女の子は強いんだなあ。
恵美もそれなりのデレ(?)を見せているのですが、ちーちゃんにはさすがに押され気味。個人的には恵美エンドも期待しているんですけど、どうなることやら。


廃業寸前、既にただのボロ家と化している海の家をたった1日でなんとか形にしてみせる真奥の手腕が凄まじい。あんた魔王より経営者のが向いてるんじゃないの。
限られた予算と時間、労働力の中で、工夫を凝らして客を呼び込める内装を作り上げていくのは、大変そうだけれどとても楽しそうでした。みんなで何かを作るって楽しいですよね。たとえ仇敵同士と一緒に作業するとしてもね。
そういえば、真奥たちと恵美たちが一緒にはたらくのは今回が初めてだったかもしれません。常にいがみ合っているように見えるけれど、一時的に協力できるくらいには、お互いに近寄っていたんだということですよね。
漆原も立派にはたらいていたのには、少しばかりじんときてしまいました。そうそう、君はやればできる子なんだよな!


また例のごとく、異界からの敵がやってくるのだろうと思っていたら、少しばかりこれまでとは違う展開に。とりあえず銚子すげえ。ほんと何者なんだよ。
戦いの中での勇者の気持ちの変化がかなり大きかったですね。数で圧倒されながら、殺さずに浜を守り続ける勇者が格好良すぎて惚れる。
魔王一味の凄さが垣間見えたのもよかった。やっぱりこいつら大物だったんだなあ。そしてルシフェルは魔王軍でもこういう扱いだったんだなあ……。
さて、とりあえず大きな戦いをひとつくぐり抜けた一行ですが、異世界の混乱はまだ続くようですね。
異世界での出来事が、次はどんな波乱を人間世界に持ち込むのでしょうか。魔王と勇者の関係はどう変わってゆくのでしょうか。次巻も楽しみです。


真奥と恵美とアラス・ラムスが揃うとどう見ても普通の家族だよな、これ。