まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

神様のメモ帳7

神様のメモ帳〈7〉 (電撃文庫)

神様のメモ帳〈7〉 (電撃文庫)

  • ストーリー

クリスマスも近づくある日、事務所にやってきた依頼者は、売り出し中のアイドル歌手・夏月ユイだった。
改装工事が迫るホームレス公園で、失踪した父親そっくりのホームレスを見かけたのだという。
その公園のホームレスたちは、近頃エアガンで武装したホームレス狩り集団に狙われているらしく……。


少佐メイン回。ガチガチのミリタリーマニア話かと思ったらいきなりアイドルが出てきて驚きました。
いや、もちろんミリタリーマニアも登場するんですけどね。
出だしの部分で某公式海賊本の短編の一部やドラマCDのネタを引っ張ってきていて、こういうところに無駄を出さないのがいかにも「らしい」なあと思いました。


依頼人のユイさんがとても可愛らしい。流石は現役アイドルといったところですか。
あのナルミが思わず容姿を褒めているのだから相当のものです。
アイドルとは思えないほど気が弱く、あがり症なところがあるのですが、自分だけしか知らないアイドルの姿、という感じで実によろしい。
そしてそんなアイドルの心でさえもがっちりと掴んでしまうナルミさんは流石の天然ジゴロ。こ、この恥知らず!
妙に親密な様子のふたりにやきもきするアリスが非常に可愛かったです。まさかここにきてメオを超える強敵が現れようとは。
真っ赤になって怒るアリスに、さらっと特級の口説き文句を放ってのけるナルミさんが罪作りすぎてもうね。自分では口説いてるつもりじゃないっていうのがまたどうしようもないですね。本当にヒモになればいいよ。


事件は、これまでの中でもトップクラスに重苦しい展開を見せました。
毎度毎度のことだけれど、このニートたちは妙にプライドばかり高くって、誰かに助けを求めたり、大きな声で叫んだりすることができない。
依頼がなければ動けないアリスはもちろん、今回は少佐が、独りで何もかもを進めようと奔走していました。その姿は彼らしくもあり、今までに見せなかった顔でもあります。
信念と矜持でがんじがらめになった彼らの中で、自分の思いのまま、悩みながらも走りまわることができるのはニートではないナルミだけ。
八方ふさがりでどうしようもない状態に置かれても、失敗を繰り返しながら前に進もうとするナルミの行動力は、時に1本の道筋を照らし出してくれます。
そしてそれこそが、探偵助手であり作家であるナルミの本領であるのです。
四代目のナルミ評はまさにそれを表していると思います。やっぱりこの人もナルミのことが大好きなんだな!


冬ということもあって、ストーリーを通してクリスマスソングが印象深くはたらいていましたね。
メロディはきらびやかで、でもどこかに切なさの入り混じるクリスマスソングは、今回のお話にぴったりだったと思うのですがどうでしょうか。
最後のユイさんのインタビューはなかなか胸にくるものがありました。
これが彼女にとって幸せな結末だったのかどうかは分からないけれど、彼女の思いが曲となってたくさんの人を幸せにするのなら、それはそれで良かったのではないかと思います。


遂にアニメの放映が始まって、ますます勢いに乗りつつある今作品。
テツ先輩、四代目、ヒロさん、少佐と順番に語られてきましたが、そろそろアリスの番が来てしまいそうですね。
もしくはその前にナルミか彩夏の話が入るのかもしれないけれど。
とりあえず次巻は短篇集のようです。楽しみ。


Twitterのアリス公式アカウントがアリスそのものであまりに素晴らしいのでぜひご覧あれ。数日前から毎日夜につぶやいています。