まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

かぐや魔王式! 第10式

  • ストーリー

美紀と舞に裏の顔を知られ焦る錦織だったが、弁明の結果、ふたりも輝夜の記憶を取り戻す手伝いをしてくれることに。
輝夜のルーツを探り始めた美紀たちは、ある少女の存在にたどり着く。
一方、錦織と輝夜が付き合っているという噂が校内に流れ始め……。


なんと最終巻。巻を追うごとにどんどん面白くなるシリーズだっただけに、お別れするのが淋しいです。
毎回きちんと笑わせてくれてニヤニヤさせてくれる、貴重なラブコメ作品でした。


記憶喪失閣下が可愛すぎて困る。元の閣下も好きですが、元に戻るのが一瞬惜しく思えてしまうくらいに記憶喪失閣下は可愛い。
素直で無邪気な閣下、たまりませんよねえ。普段のことがあるから余計に感じるのかもしれませんが。
記憶を失っただけで同じ人間なのだし、元の輝夜も根っこの部分ではこんな感じなのかなあなどと考えるとそれはそれで萌えます。
逆に錦織は、この魅力を前にしても全くブレずに、記憶が元に戻るのを純粋に待ち続けているのだから凄い。
恐らく、心からの信奉者でなければこうはいかないでしょう。流石は腹心の部下と言うべきでしょうか。


ここにきて、閣下以外のヒロインもまだまだ可愛さを増量。
六道は安心安定の六道でした。錦織との漫才が本当に楽しい。
容赦なくツッコミ合える関係っていいですよね。今はまだ悪友という雰囲気ですが、少しでも錦織の気持ちが傾いた時点で一気に決まってしまいそうです。
心の距離はある意味輝夜以上に近いと考えられるので、もしかしたら、最終的な勝者は彼女かもしれません。
もっとも六道の場合、錦織にアピールをかけて適当にあしらわれてるくらいが一番似合ってるんですけどね。六道不憫可愛いよ。
六道に並ぶ破壊力だったのは弓削でした。なんてこった。
ここまで来たら性別なんてもうどうでもいいんじゃないかな!
いや、冷静になって考えてみればどうでもいいわけがないんですけど、男だと分かっていてもドキドキしてしまうんだから仕方ないよね。
あいふぉんや美紀もそれぞれ頑張ってました。このふたりはわりと正統派で攻めているのですが、周りが濃すぎて少々印象に残りにくいような……。


あの錦織が建前を捨ててまで輝夜を追ったことを本当に嬉しく思います。それでこそヒーローだ。
自分をさらけ出す誠実さを見せたからこそ、生徒会やクラスの皆の理解を得ることができたのだと信じています。
輝夜のために部下たちみんなで力を合わせる展開には胸が熱くなりました。なぜか唐突にダンジョン攻略風だったのがまた、この作品らしいところですが。
美紀と舞がまた良かったですね。ただ協力するだけじゃなくて仲間になってしまうとは。
ライバルさえも引き入れてしまう魔王のカリスマ性、新世界構築とまでは言わないけれど、結構いいところまで行ってしまいそうでちょっと怖い。
私ですか? もちろん喜んで配下に加わらせていただきます。


最後の最後まで閣下は魔王でした。特別なエンディングがあるのかと期待もしましたが、彼らの場合はこれで良かったのだと思います。
作品自体は終わりましたが、彼らはこれからも少しずつ仲間を増やしたり、関係を変化させたりしながら、学校の片隅で愉快な毎日を送っていくのでしょう。
ラストまで本当に楽しく読ませていただきました。次回作も楽しみにしています。


キスはやっぱり、ラブコメの華。