まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

煉獄姫 二幕

煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)

煉獄姫 ニ幕 (電撃文庫)

  • ストーリー

瑩国の商いを操る総合商社『レキュリィの宴』に呼び出されたフォグ。
その本部の屋敷で、フォグは謎に包まれた素性を持つ『レキュリィの宴』の長と出会う。
その頃、アルトの住まう地下牢に侵入者が現れ……。


フォグの妹さん「たち」が大活躍の第2巻。少人数で都市を大混乱に陥れる暗躍っぷりが凄いです。
彼女の心の奥底にあるものは、人間への憎しみでしょうか。それとも、人間ではない自分への憎しみでしょうか。
私には想像することしかできないけれど、誰を恨めばいいのか分からず、また恨んでもどうしようもないというのは、本当に苦しいことなのだろうと思います。
一方、アルトにとってもまた辛いことになりました。
一時とはいえ、大切な友人だった女の子。その女の子が目の前で殺されたことだけでも、十分すぎるほど悲しいのに。
愛する相手を、自分で、それも何度も何度も、手にかけねばならなくなった彼女の胸の痛みは、どれほどのものでしょうか。
「敵」である少女を殺し続けて、それでもまだ敵同士のままだけれど、アルトがこぼした思いが、少しでも少女に届いてくれたらと思います。


新たに重要な人物がちらほらと登場しました。
少しだけ姿を見せたレキュリィ。いかにも裏で陰謀を巡らせていそうな妖しい少女です。
また、その執事のカルブルックは、その老いた見た目とは裏腹に卓越した戦闘能力を持ち、あのフォグをさえ圧倒します。
やっぱり強い老人というのは格好良いものですね。一気に好きなキャラになりました。
そして謎の煉術師・ユヴィオール。
ありとあらゆる場所に顔を出し、全てを巻き込んでいった張本人ですが、何がしたいのかがほとんどつかめません。
もしかして彼こそがラスボスなのか? 次巻も目が離せないキャラですね。


イパーシ=テテスとトリエラ=メーヴ。
淡い初恋は、あまりに切なく、陰惨な結末を迎えました。
何が間違っていたのでしょう。探しても探しても、答えは見つからない。
壊れた者は消えない罪を犯し、そして、ああ、また1人。
どこまでも救いのないこの2人の物語は、ここからどのような展開を見せていくのか。
恐ろしいけれど、その先を見ずにはいられません。


殺しの描写がまた、生々しいのだよなあ。『いばら』はひどかった。イラストも含めて。
しばらくは薔薇を見たくないな。