まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二週目突入!』感想

中ボスさんレベル99、最強の部下たちとともに二周目突入! (角川スニーカー文庫)

ストーリー
最低ランクの小規模ダンジョンを、わずか1年で中堅冒険者パーティですら退ける大迷宮へと作り替えた中ボス・“千手”のナルゴア。しかし魔王を倒した最強クラスの勇者一行が襲来、愛すべき従業員たちを守るため、ひとり勇者に挑み敗れ――どういうわけか文明の衰退した100年後の世界に、しかも人間として転生する! 召喚術師の少年となり、あまたの魔法を操る“千手”と、いまや伝説級となった部下たちを召喚したナルゴアは、魔王軍再建のため、各地のダンジョンを改革していく!
「勇者の生まれ変わりなんかじゃない――俺は、中ボスさんだ」
中間管理職と頼れる部下たちの、壮快リビルドファンタジー

有能な中ボスながら勇者パーティに敗れた主人公が人間の少年に転生、かつての部下たちとともに再出発を目指すダンジョン運営ファンタジー
かつて主人公が面倒を見た部下の魔物たちが、100年の間に大きく成長を遂げて今度は主人公の力になってくれる展開が熱くていいですね。
あとアルラウネちゃんがかわいいのとアルラウネちゃんの詠唱がかっこいい。とにかくアルラウネちゃんがいい。


ずさんな管理で荒れ果てていた小規模ダンジョン「しじまの洞窟」を、着任から1年で立派な大迷宮へと押し上げた凄腕の中ボス・ナルゴア。
しかし彼は、突如やってきた勇者パーティと対峙して敗れ、100年後の人間の少年として転生してしまう!
10歳まで泣き虫少年として育ちながら、前世の記憶に目覚めた途端に森の魔物に説教かましていく少年ナルゴアの変貌ぶりにニヤリ。オウルベアもオールドボアも魔物ながらいいキャラしとるわ。
何より、100年前にダンジョンとともに残してきたかつての部下たちとの再会が胸アツ。
えーなに、アルラウネちゃんったらナルゴアのこと好きすぎじゃない? 素直じゃないのに気持ち丸わかりなアルラウネたそ……。これもうバージンロードまっしぐらじゃない?


少年の身体ながら、かつての力の一部と、なにより卓越したダンジョン運営能力は健在。
かつての古巣のごとく、残念ダンジョンに工夫を凝らしてハイレベル冒険者を追いやったり、因果にも同時期に転生した勇者との不利すぎる決戦に挑んだり。
自分の力だけではなく、仲間たち皆の力を結集して敵に挑んでいく中ボスならではの戦い方が楽しいです。
バトルシーンもわりとコメディタッチなのも読みやすくて好み。部下たちとの合流を果たしたナルゴアがこれからどんな中ボス道を歩んでいくのか、続きに期待。


イラストは天瀬晴之さん。ゴブリン亭で飲み明かす幹部3人のイラストがお気に入りです。ほっこり。
コミカライズも担当されるとのことでそちらも楽しみですね。


地味に一番やべぇやつ、きゅーちゃんだなこれ。

『賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 ~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~』感想

賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 ~愛弟子サヨナのわくわく冒険ランド~ (電撃文庫)

ストーリー
「ところでコレ、ホントに出版するの?」
編集長の鋭い眼光とその言葉に、担当編集の命は風前の灯火であった。
本作は『賢者にして勇者である最強の称号《賢勇者》を持つ男が、弟子(おっとり巨乳美少女)とともに社会の裏に隠れた悪を断罪する』という“ザ・今時のライトノベル作品”としてスタートした。だが作家からあがってきた原稿は、全裸のイケメン(賢勇者)をはじめ、筆舌に尽くしがたい変態仲間たちが織りなすナンセンスギャグギガ盛りの――いわば「なぜか堂々としている社会悪」的な何かであったのだ(ついでにヒロインの胸も削られていた)。
「だ、出版(だ)します! 面白いですから!」
超言い訳っぽい担当の言葉は真実か!?  答えは――今、あなたの手の中にある。

これはひどい(それしか言えない)
「なんだかやべぇ新作が電撃から出るらしいぞ」そんな雰囲気が、すっかりラノベに対するアンテナが低くなってしまった僕のタイムラインからも読み取れるほどにTwitterがざわついていたので読んでみました。
物語の中身がまるで見えない「外し」系のあらすじってやつ、まあ嫌いじゃないんですけど、「ふぅん? そういう方向性で来るんだ? でもこんだけ吹っかけてくるってことは当然それだけのモノが読めるんでしょうね?(威圧)」って感じで斜に構えてしまって、どうしてもハードルが高くなってしまいがちなんですが……。
安心してくれ。コレは僕の想定を超えるアホギャグだった。そら編集者もマトモにあらすじ書けんわな(納得)。


魔物ひしめく森の奥深く、人里離れた奥地に住まう「賢勇者」シコルスキと、彼の唯一無二の弟子サヨナ。
これはそんな二人が、賢勇者の力を求めて日に日にやってくる一風変わった客人の頼みを聞いていくお助け日常ファンタジー(ただし登場人物が全員ド変態の)である!
……それなりにハイファンタジーっぽい雰囲気を出してきたのが出だし2ページしかなかったぞ。どうなってんのマジで。あとなんで誰かしら(主に男が)脱いでんの。
変人と奇人と変態ひしめく中に唯一人存在するツッコミ役サヨナが救いすぎる。これサヨナが弟子入りする前はどんなカオス世界だったんだ。ただボケればいいってもんじゃないんですよ!
ギャグのセンスはかなり高い……んじゃないかな。うん。たぶん。いや正直この本のギャグでめっちゃ笑ったー! とか言うのすごい恥ずかしいんですけど、実際笑っちゃったから仕方ないわ。ほんっっとにしょうもないんだけど。そのしょうもなさが最高。これは乾いた毎日に疲れ切った現代人へのポーションとなれる存在かもしれないゾ(適当)。


中身について触れようと思うと大半シモネタかセクハラか著作権にひっかかってしまいそうなのだが、とりあえずサヨナはかわいい。胸部が切ないところもかわいい。というかこのヒロイン、ヒロインなのに貧の乳をいじられすぎである。もはやほぼ全キャラにいじられているどころか、いじられすぎて自分でもいじっちゃってる。不憫。そこがかわいい。
個人的に好きなのは第四話。いやほんとこれ大丈夫なの? 快○天の表紙がイラスト上に載ってるライトノベルなんて見たことないんですけど? 作中では伏せ字すらなくて作者の気概を感じた。まあそういうお話である。
好きなサヨナのツッコミでいうと第五話より「死のラノベ破壊ウイルスですよ!!」ですかね。遊○王が好きなんだな(作者が)ってことはなんとなく伝わったよ。
そしてKADOKAWAの扱いだけはガチでアレすぎて凄い。作者も編集も一体なにと戦っているの? その勇気と覚悟と元気と本気、もうちょっと他に使い所があったんじゃない?
続きが出るのか出ないのか、出たところで別に読まなくてもいい感は凄いんだけれども、でもきっと読むんだろうな。そう、僕もまた、乾いた毎日に疲れ切った一人の大人だから……。


イラストはかれいさん。この本、イラストだけが癒やし的なところがあります。サヨナはかわいいなあ。
表紙の差分になっている扉絵のひどさに今気付いて鼻水でた。


なぜだか知らないが電撃文庫編集部の住所を覚えてしまったなあ。なぜだか知らないが。

『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』感想

幼なじみが絶対に負けないラブコメ (電撃文庫)

ストーリー
幼なじみの志田黒羽は俺のことが好きらしい。家は隣で見た目はロリ可愛。陽キャでクラスの人気者、かつ中身は世話焼きお姉系と文句なしの最強である。
……でも俺には、初恋の美少女で学園のアイドル、芥見賞受賞の現役女子高生作家、可知白草がいる! 普通に考えたら俺には無理めな白草だけど、下校途中、俺にだけ笑顔で会話してくれるんだぜ! これもう完全に脈アリでしょ!
ところが白草に彼氏ができたと聞き、俺の人生は急転直下。死にたい。というかなんで俺じゃないんだ!? 俺の初恋だったのに……。失意に沈む俺に黒羽が囁く――そんなに辛いなら、復讐しよう? 最高の復讐をしてあげようよ――と。

初恋×復讐×幼なじみ
片思いしていた少女に彼氏ができたらしい! 初恋が破れた恨みを晴らすため、自分に好意を持ってくれている幼なじみとともに少女への復讐の計画を練っていく、リベンジ学園ラブコメディ。
うおおおお面白かったあ!!!!! ヒロインが恋愛に協力してくれるラブコメは結構あるけれど、その目的が恋愛の成就でなく恋が破れたことへの復讐っていうのが逆に青春らしくていい!
一度主人公に振られていながら、健気にも主人公の復讐のサポートをしていく……ようにみえて、その実腹黒な内側を隠し持っている幼なじみヒロインが魅力的すぎるんじゃー!


幼なじみ・黒羽から告白され、「好きな人がいる」と断った主人公の末晴。その片思いの相手・白草といい雰囲気になっていることを自覚した末晴は、文化祭でいざ告白を! と目論むのだけれど、その矢先に白草に彼氏ができたという衝撃の事実を知る。
落ち込む末晴に黒羽の悪魔の囁きが。末晴をキープしていたのだろう白草に復讐すべく、黒羽とともに計画を練っていくことに……。
やー、いいですね。黒羽。白草もいいんですが、やっぱり今作の最大の魅力は黒羽という超弩級ヒロインにあるのではないかと思います。
ずっと主人公と一緒にいた幼なじみで、誰からも愛される明るい小動物系キャラで、実は腹黒な部分もあって、何より主人公のことを好きだと公言している彼女に、思うがまま振り回される展開がとにかく楽しい。
復讐の方法として付き合っているフリを持ちかけてきたりとか、黒羽の内心を思うと胸がきゅーんとしてしまう! 自分もドギマギしているくせに背伸びして末晴をからかってきたり、そのくせいざ攻められるとやっぱり照れてだめだったり、もう可愛さが天元突破しちゃってどこまで行っちゃうのって感じ。こりゃ最強だわ。


一方、文化祭が近づく中で復讐の相手である白草との間にもドラマが。彼氏がいるのにもかかわらず、なぜか末晴に思わせぶりな態度を取ってくる白草。これは相当な悪女ですわ……というわけではなく、彼女には彼女なりの理由があって。
えーなに、この子もめっちゃ切ないじゃん……。こうなってくると応援してあげたくなってくるじゃん……。
末晴を想いながら白草への復讐に手を貸す黒羽も、とある理由で末晴に近づいていた白草も。このままだと誰も幸せになれなさそうで、どうしてこんなにねじれちゃったのという感じで、心が苦しい。
黒羽と白草。あまりに素敵な二人のヒロインの間で揺れ動く末晴。運命の文化祭当日、運命の選択を下す!
…………………………そしてこのオチである。
最っ高。ほんと最高としか言いようがないね。まさかこうなるとは思わなかった! 気持ちよすぎて笑っちゃいました。
結果、とんでもない修羅場空間が生まれたような気もしますが、ラブコメとしてはここからがまた本番。今後の展開が楽しみすぎる。続きが待ち遠しいです。


イラストはしぐれういさん。この表紙力、ちょっと半端なくないですか。
でもやっぱりお気に入りはP.266の一枚ですね! 守りたい、この笑顔(笑)。


「幼なじみが絶対に負けない」ってそういう意味かー!! そりゃ、絶対に負けんわな!!