まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『オタギャルの相原さんは誰にでも優しい』感想

オタギャルの相原さんは誰にでも優しい (MF文庫J)

オタギャルの相原さんは誰にでも優しい (MF文庫J)

ストーリー
「オッケー! じゃ、あたしがカノジョになったげる!」相原璃子はオタクでギャルで巨乳で水泳部のリア充である! なんかノリと勢いで僕(リアルに興味のないクソオタク)のカノジョ(仮)になってくれやがった相原さんマジ天使! 一緒にいれば楽しいけれど、現実の僕らはギャルとオタクの単なる仲良しオタ友コンビだ。ラブコメ展開に用はない! 「あたしら『青春オタク同盟』! オタク同士で楽しく青春しようぜ!」二人でアニメ見て! ゲームして! サメ映画も見て! オタクに優しい本屋でオタデート! 今日も明日も明後日も、居心地の良いこの時間が続くんだと――夢を見ていた、僕だけが。

ギャルでオタクな女の子と明るく楽しくカレシカノジョごっこ! ハイテンションでノリノリなオタクカップル(仮)のとにかく楽しい日常を描いた学園ラブコメディ。
うおおおおめっっっちゃ良かった! オタギャルな相原さんとの気の置けない(仮)な関係も最高に楽しいのだけれど、主人公に思わぬ想いが芽生えてしまってからの展開がまた最高の最高で思う存分キュンキュンニヤニヤさせてもらいました。これぞ僕が求めるラブコメじゃ! This is Love-Comedy なのじゃー!


はいはい出ましたギャルヒロイン。しかもオタク属性持ちですってよ。「どうせオタクはこういうギャルに距離感近くぐいぐい来られるのが好きなんでしょ」とか思ってるんだろ!! はいその通りです!!!
ということで今作のヒロイン相原さん。ただのモブオタクだった主人公・アキラにいきなりガンガン絡んできては、オタクトークするわ間接ちゅーするわ連絡先交換するわ、挙げ句の果てにはカノジョ(仮)に立候補してくるわでやりたい放題。
別にそこに恋愛感情があるわけではなく、かなーり距離の近い友人ぐらいの感覚なんだけれど、相手のボケに容赦なくツッコミ入れたり軽口叩きあったりするこの関係は素直に羨ましい。話の合うオタクの女友達っていいよね……それが巨乳美少女でギャルだったりしたら最高だよね……つまりそういうことです。
っていうか普通にイチャイチャしてるし。「カレシー、膝枕してー」「カノジョー、了解っすカノジョー」だけで平然と膝枕できる関係最高じゃない? その辺のカップルより全然カレシカノジョやってるやんけ。でもあくまで(仮)、あくまで友達。そんなんアリかよ。あーもームズムズする!!


そんな毎日を送っていたら、そりゃもうね、男の子としてはね。口ではどれだけ「そんな気はない」みたく言ってても、そういう気持ちは出てきちゃうもんでしょ。こればっかりは仕方ないでしょ。
で、そういう時にカノジョ(仮)の方から自分の好みドンピシャリの美少女を紹介されちゃったらどうなるかという話なのですよ!
いやまたこの子がえらい可愛いんですわ。ちょっと強気で小柄な黒髪美少女。これはこれでオタクのハートを鷲掴みーみたいなヒロインで、実際アキラもかなりデレデレしていたし、これはどっちに転ぶのかなとハラハラさせられましたわ……。
「誰にでも優しい」相原さんへの想いの行方を描く第五話。完璧でした。めっちゃ胸にくる告白シーンだった……。好き。ほんと好き。たまらない。
1巻だけでも素晴らしい作品なんですが、こうなってくるとぜひ2巻も、と期待したくなってしまいますね。続き読ませてくれええええええ!


イラストはあゆま紗由さん。おっぱいがいっぱい! おっぱいがいっぱいです!
あ、パンツもあります(ごちそうさまです)。


エイミー、いい女だなあ。

『タタの魔法使い』感想

タタの魔法使い (電撃文庫)

タタの魔法使い (電撃文庫)

ストーリー
2015年7月22日12時20分。弘橋高校1年A組の教室に異世界の魔法使いを名乗る謎の女性、タタが突如出現した。後に童話になぞらえ「ハメルンの笛吹事件」と呼ばれるようになった公立高校消失事件の発端である。「私は、この学校にいる全ての人の願いを叶えることにしました」魔法使いの宣言により、中学校の卒業文集に書かれた全校生徒の「将来の夢」が全て実現。あらゆる願いが叶った世界――しかしそれは、やがて犠牲者200名超を出すことになるサバイバルの幕開けだった。第24回電撃小説大賞にて《大賞》を受賞した、迫真の異世界ドキュメント。

引き続きの今年の新人賞を読もうキャンペーン。楽しいので皆さんもぜひやりましょう。
第24回電撃小説大賞<大賞>受賞作品。なんと元ラノベブロガーの先輩・うーぱーさんが作家デビューされた作品でもあります。読者から作者への華麗なる転生……!
謎の魔法使いによって丸ごと異世界に飛ばされた学校の生徒たちが多大なる犠牲を払いつつも地球へ戻るために奮戦するサバイバルアクション。
かなり特殊な文章形式をとっているため初めは読みにくくて仕方なかったのですが、慣れてくるとその文章が不思議とクセになってくるんですなあ。


タタと名乗る魔法使いが突如現れて学校の生徒全員の願いを叶えた結果、校舎ごと異世界へ飛ばされてしまった弘橋高校の面々。しかしそれは決して、明るく楽しい異世界転移などではなかった。
初日の惨劇。森に潜むモンスターによって次々に奪われていく命。友人が、先生が、先輩が、為す術もなく犠牲になっていく。
いやー、いきなりのこの展開は、正直かなりキツかったです。スプラッタもバイオレンスもあまり得意ではないのですよ……。
もう次にどんなひどいことが起きるのかひーひー言いながら読んでたんですが、生徒たちがそれぞれの願いを利用して異世界の探索を始めてからは、だんだんとワクワク感も出てきてぐっとお話に引き込まれていきました。
しかしこの文章はね! さすがに慣れるまで時間がかかりました。過去にあった事件のことをノンフィクションで書いた実録本、という体で書かれているので、語り口が淡々としているんですよね。ところどころで生還者へのインタビューが挟まれているのにも混乱させられました。
ただ、一歩引いた目線で大事件を描いているのが逆に怖さを引き立てていたりもしていて、面白い試みだとは思います。


最強クラスの魔法使いとなった主人公の青木をはじめ、登場人物それぞれが願いの力によって、軍人になったり癒やしの力を手に入れたり言語が堪能になったり変身ヒーローになったりしています。それぞれの特殊能力が合わさることによって新たな道が拓けたりするところに面白みがありますね。
派手な願いもあれば地味な願いもある。到底人に言えないような願いもある。絶対に捨てたくない願いだってある。
そういった願いの数々を用いて、ようやくたどり着いた目的地。そこでタタの魔法使いが提示した地球に戻るための条件というのが、またエグいんだこれ。どこまでも性格悪いな!
まあ青木と池田のロマンスなどもありましたが、そんな程度のニヤニヤでは到底打ち消せないくらいにエグみの残る読後感でございました。「最後の犠牲」辛すぎでしょ……。
なんと続刊が控えているということで、読みたいような読みたくないような、いややっぱり読みたい(怖いもの見たさ)!


イラストは佐藤ショウジさん。漫画家さんだけあって印象的な表情のイラストが多かったです。
でもひとつだけ言わせてくれ! ニチアサ変身ヒロインにパンチラはありえないんだ!


ネネのヒントはどこかに出ているのかなあ。

『魔王を倒した俺に待っていたのは、世話好きなヨメとのイチャイチャ錬金生活だった。』感想

ストーリー
かつて魔王を倒した勇者イザヤは、魔王から受け継いでしまった膨大な魔力を隠しひとり暮らしていた。ある日、錬金術師の少女ヨーメリア(ヨメ)を助けたイザヤは、膨大な魔力に気づいたヨメに同居をせがまれる。魔力の少ないヨメにイザヤの魔力を分けて欲しいというのだが、魔力を渡す唯一の方法はスキンシップを繰り返すというもので……!? 「じゃ、手握るぞ」「あ、もう、イザヤさんっていつも突然なんですから」照れ臭く、恥ずかしく、でも嬉しい日々が始まり――。いちゃラブが強くする、ふたりのスイート錬金生活!!

うぉっしゃーかじいたかし先生の新作じゃーお前を待っていたんじゃー!
ということで今作。魔王を倒した元勇者と錬金術師の少女(ヨメ)がイチャイチャ同居生活を送るまったりファンタジーブコメディ。もはやタイトルが全てといってもいいね!
魔力を渡すためには触れ合わなきゃいけないという、まあベタもベタベタなラブコメ設定ですが、そういうベタが欲しいときだってあるんですよ!


魔王を倒したもののその魔力をそのまま受け継いでしまったために国を追われ、遥か異国の森の中でひっそりと孤独に暮らす元勇者イザヤ。主食はそのへんの草。
そんな彼と偶然出会った錬金術師の少女ヨーメリアは、イザヤのあまりの生活能力のなさに驚き、彼の家に入り浸ってお世話焼きをするように。ヒロインの名前がヨーメリアだから呼び名が「ヨメ」……ってタイトルはそういう意味かい!
ヨメさんったら、まあいきなり甲斐甲斐しいこと。毎日森の小屋にやってきてはお掃除したりお料理を持ってきたり、それどころか会って数日なのに自分の家に連れ込んでご馳走しようとするし、もはやどのタイミングでデレたのかさえ分からないくらいです。
第1話の終わりでは仕事上のパートナーという理屈をつけつつも既に一緒に暮らすことが決まっているし、これもう事実上の夫婦なのでは。なんてノンストレスなラブコメなの……(最高)。


とはいえ、仕事相手から先に関係を進めるためには、やっぱりそれなりのきっかけが必要になってくるわけで。
役人のエリカさんや、錬金術師のライバル・マリーといった他の女性陣がイザヤに接近してくることに焦り、彼女たちよりもよりたくさんのスキンシップを求めてくるヨメがまあ可愛くて仕方ない。そりゃあこれだけストレートにヤキモチを焼かれたらね、イザヤがどんな朴念仁でもね、そういう感じにならざるをえないってもんですよ。
ヨメのイチャイチャ錬金術とマリーのソロ錬金術の対決も面白かったですね。思わずマリーを応援しちゃいそうになったもんね。なんじゃこいつら、王様の門前でまで堂々とイチャつきよってからに。幸せそうで何よりです。
これだけやってもまだ恋人未満という末恐ろしさ。このイチャイチャニヤニヤをまだまだ見続けたいのでぜひ続刊を願いたい。楽しみにしています。


イラストはふーみさん。アカン、表紙のヨメが可愛い……。
ヨメとマリーの対照的なデザインが良いですね。


初めてなのに2分とか……なんというイチャイチャエリート……。