まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

世界の終わりの世界録 6:終焉の精霊

ストーリー
冥界に突如現れた沈黙機関の手により、終焉の島へ向かうために必要な悪魔法印を奪われてしまったレンたち「再来の騎士」。
追い詰められたレンたちは、ある秘策に望みを託して結界突破に挑む。
時を同じく、王立七十二階位特務騎士団と沈黙機関も終焉の島を目指して集結しようとしていた……。



終焉の島での三勢力の激突、世界録に秘められた世界の秘密、そして“世界の終わり”。まさに激動、物語の大きなターニングポイントとなる巻でした。
かつて英勇が戦った島で相見えるのは、三百年前の因縁の敵と、そして新たに人間が生み出した欲の権化。
終盤の怒涛の展開には目が回ってしまって……ああ、続きが気になって仕方ない。


沈黙機関に奪われた悪魔法印の代わりとして力を発揮してくれたのは、魔王城の家政婦長にして氷の将魔・ルル。
前回の初登場時から魅力的なキャラだと思っていたのですが、まさかこんな過去がありながら家政婦長をやっていたなんて! ちょっと格好良すぎです。
終焉の島へ旅立つレンたちをそっと見守る彼女が、まさかの相手と肩を並べていたのにはグッときました。このふたりの間にも、長い歴史があったんだろうなあ……。素敵だなあ。
竜帝カルラの協力もあったし、高位存在たちの後押しをフルに受けて、満を持しての終焉の島への上陸となりましたが……待ち受けていたのは、沈黙機関、そしてエルメキア・ダスクとの過酷な戦いでした。
沈黙機関の圧倒的な力の前に為す術もないかと思いきや、意外な健闘を見せたのがエルメキア・ダスクと、彼らの従える虚構精霊。
三百年の間に力を貯め続けた人間が、ついに超高位存在と正面から戦える力を手に入れた……ともいえるけれど、とにかく傲慢で自らの欲のためだけに動くような騎士たちの姿を見ていると、なんとなく嫌な気分になってきます。そもそも虚構精霊というやつが、他に比べて圧倒的に美しくないしね!


戦いの中で一歩抜け出し、遂に世界録を目にしたレン。
沈黙機関が竜と天使と悪魔を排除しようとする理由、そしてエルラインが終焉戦争で戦った理由。物語の大きな謎がいくつも明かされました。
エルラインの遺志を継いだレンが、懸命に沈黙機関と対話を試みようとするのだけれど、全く理解してくれようとしない……戦うしかないのかと思わされるすれ違いが切ないです。ミスティとは、少しだけ話し合えるかもしれないと思ったのですけどね……。
さらには、かつてエルラインと死闘を繰り広げた最強の敵までが登場! でもどんなに強大な敵であっても一歩も引かない、かつての英勇の姿を彷彿とさせるレンと、彼の周りを固める三美姫、この「再来の騎士」ならば、きっと何かをやり遂げてくれる……。
まさか最終巻なのかというくらいにクライマックス感の高まる中、しかしここで、まさかさらなる大事件が巻き起ころうとは!
さて、やっと作品のタイトルの意味が分かりましたね。ここからがレンの本当の冒険の始まりです。一度は膝をついた偽英勇が、どのように世界を救っていくのか。続きがどうなるのか全く読めませんが、楽しみに待ちたいですね。


最後の挿絵はお前なのかよ!