まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

月虹戦記アリエル ――七色の瞳を持つ王女

ストーリー
強国が小国を従属国とし、互いに睨みをきかせあう乱世“五公十六王国時代”。
弱小国フルミネンセ王国の第五王女アリエルは鷹として羽ばたくのを諦め、爪を隠して生きていた。
ところが同盟国の策謀によって王国の滅亡が間近に迫り……。



安心と信頼のブランド、舞阪洸先生の新作戦記ファンタジー!
小国の第五王女が、2つの大国から押しつぶされそうな祖国から、数少ない手勢だけを連れて脱出するまでのお話でした。
まだ大規模な戦いは起こっていませんが、頼りになる部下を連れた彼女が、これからどのようにその才能を披露してくれるのか、早くも期待感に溢れています。


今作のヒロイン兼主人公は、小国フルミネンセの第五王女・アリエル。
13歳という幼さで、類まれな知能と賢明さを兼ね備えた才女……でありながらも、王女として生きるため既に人生を諦めた女の子です。
そんな彼女が、姉のリリエルと湖畔の別邸へ出かけている間に、フルミネンセを挟む2つの大国が同時侵攻!
アリエルは信頼できる手勢だけを連れて逃亡することを選び、リリエルは堂々と捕まって王女らしく生きることを選びました。
このふたりは、何から何まで対照的で楽しい姉妹ですね。アリエルだけが賢く、リリエルはちょっと抜けているのかなとも思えますが、姉は姉で自分の信念に従って行動しているだけなので、一概にそうとも言えないのが面白い。


アリエルに付き従っているのは、アリエルの乳兄妹にして槍の達人のスゼーテル、多数の暗器を隠し持つ腕利きの侍女・ミモーネ、高い戦闘力を誇る料理人・ハリウィック、謎のシノビ・カオルゥといった、個性のありすぎる面々。
わりと真面目なスゼーテルはともかく、ミモーネやハリウィックは、いつも空とぼけていてなかなか本心を見せないところに強者のオーラを感じます。まあ、やりとりはギャグそのものなんですが……。
中でも、ミモーネのキャラクターは特に好きですね。戦闘メイドは永遠のロマンですし、早く彼女の活躍が見たいところです。それから、リリエルの部下ながらアリエルについてくることになったスゼーテルの妹・セイザリアも気になるキャラでした。
祖国を失ったものの、王女の枷を外されて、遂にその才能を発揮する機会を得たアリエル。スゼーテルたちと共に、これから彼女がどのようにして羽ばたいていくのか、楽しみで仕方ありません。
生き別れとなった姉・リリエルとも、思わぬ形で顔を合わせることになりそうですね。とにかく先が長そうなストーリーですから、順調に続いていってもらいたい!


イラストはフルーツパンチさん。アリエルがとても愛らしくて魅力的でした。
もっとミモーネを! お願いします!


解説の白鳥士郎先生、ガチの舞阪ファンだ……!