六花の勇者 6

六花の勇者 6 (ダッシュエックス文庫)

ストーリー
＜運命＞の神殿で分裂した六花の勇者たちに迫るテグネウの本隊。
アドレットを中心に作戦を練る六花たちだが、限られた戦力で厳しい状況を打破するため、リスクの高い作戦を取らざるを得ない。
一方、テグネウは「愛」の力を利用した心理的な揺さぶりを仕掛けてきて……。


「七人目」の真実とテグネウの計略、これまでの全てが集結して大きな戦いに決着をつける凄まじい1冊。見事と言うほかありません。
テグネウにいいように踊らされる勇者たちの姿はどうも情けなくて、でも同時に人間くさくて、嫌いにはなれない。
しかしこの結末は、ここに至る流れが流れだっただけに、色々と切なすぎる……。


「黒の徒花」に関する意見の食い違いから、ハンス・チャモの2人と別れることになった六花たち。
残るメンバーの中心となったのはやっぱりアドレット。彼の作戦を元に、少ない戦力ながらテグネウを倒そうと決死の戦いを挑むわけですが……。ああっ、何を書いてもネタバレになりそうで怖い！
ともかく、全ての鍵を握るのは、アドレットとフレミーです。
フレミーを愛し、守ることを誓ったアドレットが、どのようにそれを実現しようとするか。
主人公でありながら、全く信用できないキャラクターになったアドレットの揺れ動く心情から目が離せませんでした。


あまりにも遠大に仕組まれていたテグネウの罠。
どこまでも緻密なようでいて、肝心のところを「愛の力」に任せるっていうんだから、大したものです。
悪趣味極まりないテグネウの計略に、身体のみならず精神的にもやられてしまう某勇者。
何もかも絶望的に思われたところで、針の穴を通すような奇跡がいくつも重なり、テグネウを追い詰めていく展開が熱かったです。
それにしてもハンスは格好いいですね。ずっと頼りになる奴ではありましたが、今回はとびっきりでした。他の勇者たちから狙われながら3人分くらい働いてる……。
さて、お話は一区切りついた形ですが、魔神を倒すまではまだこれから。
そろそろラストも近いのでしょうか。今回のラストはあまりに切なくて胸が痛いので、早く続きが読みたいです。


イチジクは結構好きなんだけど、しばらくは食べたくないな……。