まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

いでおろーぐ!

ストーリー
クリスマス・イヴの渋谷で、雑踏に向かって恋愛放棄の演説をする少女を目撃した非リア充の高校生・高砂
彼女の正体は、同じクラスの目立たない少女、領家薫だった。
領家の演説に同調した高砂は、彼女が議長を務める“反恋愛主義青年同盟部”の活動に参加することになり……。



第21回電撃小説大賞<銀賞>受賞作品。
リア充な主人公が、「反恋愛」主義を掲げて活動するヒロインに感化されて世の中の恋愛至上主義に魂の叫びをぶつけるアンチ・ラブコメディ。
面白かったです! 素晴らしい熱量を持った作品でした。最初こそ荒唐無稽に思えたヒロインの主張に、いつの間にか迎合してしまっている自分がいて驚きました。
予想を裏切る物語展開と、ちょっとした一文のギャグのキレにセンスを感じますね。


この作品の魅力はなんといってもメインヒロイン・領家にあると思います。
クリスマスの渋谷の中心で反恋愛なるめちゃくちゃ痛々しい演説をぶちかます女の子。
言ってることは正直大半が理解できないんですが、その言葉には彼女の強い意思や人を動かそうとするエネルギーが満ちていて、思わず「そうだそうだ!」と盛り上がりたくなってしまうから不思議。これがカリスマというやつか。
内容こそ全力で後ろ向きではありますが、これだけ一生懸命に打ち込めるのなら、それもまたひとつの青春の形。高砂と一緒につい応援したくなってしまいます。


しかしまあ、男子と女子が一緒に活動するとなったら、結局立ちふさがってくるのが恋愛問題というもの。
アンチラブコメを標榜しつつもラブコメせざるを得ない……。矛盾した状況にやきもきしつつも、やっぱりニヤニヤしちゃう! だって領家が可愛いんだもの! 神名さんもエロいんだもの!
でもそこで素直な展開だけでは終わらないのが、この作品のキモにして、本当に面白いところです。
この結末は……なんでしょうね、「なんでだよ!」って気持ちもなくはないんですが、それ以上にすっごくスカッとしたんですよね。
結局のところ、最後まできっちり筋を通してくれたところに感動してしまったのでした。いやはや、おみそれしました……。
次巻以降の反恋愛(略)部の活動と、ふたりの関係の変化に大いなる期待を持ちつつ、続きを待ちたいと思います。


イラストは憂姫はぐれさん。インパクトのある表紙イラストですね。特に胸部が。
ぜひ神名さんも表紙に! 胸部のインパクト強めで!


しかし読めば読むほどリア充どもへのヘイトが溜まっていくなコレ。