まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

マンガの神様

マンガの神様 (電撃文庫)

マンガの神様 (電撃文庫)

ストーリー
現役高校生にして天才新人漫画家として活動中の左右田伊織。
編集長の意向で読み切りばかり描かされてきた伊織は、なんとか連載を勝ち取るべく漫画に没頭する日々を送っていた。
そんなある日、憧れの人気漫画家・杜若王子郎との対談の機会を得た伊織だったが……。



第21回電撃小説大賞<銀賞>受賞作品。
高校生にして天才漫画家な主人公が、「マンガの神様」の存在を信じる少女との出会いを通して成長をしていくマンガ創作×学園青春ストーリー。
とても読みやすくて、新人賞なのにたいへんな安定感のある作品でした。面白かったです。
自分のやり方に絶対の自信を持つ主人公が、順風満帆に見えつつも実は壁にぶち当たっていたところを、周囲の人々の力で突き破っていく展開が実に爽快でした。


主人公・伊織は読み切り作品では絶大な人気を誇る新人漫画家。
面白いマンガとはどういうマンガなのかを細かく研究し、読者のニーズに合わせてひとつのお話を構築していくセンスはまさに天才。
とっても自信家でもあるんだけれど、マンガに関してはとても真摯だし、新作を描いては妹に見せて反応をうかがうところとか、案外憎めないところもあって結構好きな主人公でしたね。
そしてこの妹ちゃんがいい! どっかの偉い批評家みたいな感想ではなくて、普通の一読者として彼女が見せてくれる素直な反応、その無邪気さが、伊織の創作活動の一助になっていることは疑いもありません。
なんていうか、めちゃくちゃいいお客さんじゃないですか。私もこういう読者でありたいと思います。


自分には「マンガの神様」がついていると自称するメインヒロイン・楪葉。
現代学園ものにしちゃわりとトンデモ設定ではあるものの、この設定のおかげで色々なイベントが自然に起こせるのは便利ですね。なんだかんだでストーリーにも大きく関わってきましたし。
楪葉自身も天才漫画家なんですが、伊織との創作論の違いが面白かったです。天才どうし、譲れないところがあるということなんでしょう。
こうやってぶつかり合いながら、お互いに高め合っていくだろうふたりの今後に、大いに期待しています。
もちろん恋愛方面もね! 楪葉と萌黄、今のところはなかなか甲乙付けがたい……。


イラストはTivさん。大好きなイラストレーターさんです。
女の子がふわふわしていて可愛いんですよねえ。


とりあえず【スタプリ】が読んでみたくて仕方ないわけだが……。