まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

機巧少女は傷つかない12 Facing "Master's Doll"

ストーリー
日輪の手で一命を取り留めた雷真だが、目覚めた時夜々の命は燃え尽きようとしていた。
いろりと小紫と共に再度硝子に会いに行くため、雷真は硝子のことを調べ始める。
一方、王妃グローリアが新学院長に就任した学院では、ロキが一人反撃の機会をうかがっており……。



前後編の後編。過去最大級にピンチな状態から、何もかもをひっくり返して反撃を決めていくストーリー。
前巻がとにかく我慢の連続だったぶん、とても気持ちよかったです。
特に辛かったのは夜々のことですよ! 夜々がいないとつまらないんだよ! 遅すぎるんだよおバカさん! 愛してるぞこんにゃろう!


夜々は目を覚まさず、頼みの硝子は紅薔薇になり、学院はグローリアに占拠され、フレイは命を落とし……もう救いがないようにさえ見えるひどい状況。
いろりと小紫が雷真の元にやってきたのは、反撃ための一歩といえばそうなのですが、どちらにしても硝子の思惑を知り、説得できなければどうにもなりません。
ということで今回フィーチャーされたのは硝子さんの過去でした。誰よりも謎に包まれた世界最高の人形師の秘密がようやく明かされます。
目的のためなら手段を選ばずに行動する冷徹な人物という印象の強い(特にここ最近は)硝子さんですが、数度にわたりその過去が描かれるにつけ、彼女にも人一倍大きく動く感情があり、人間らしい思いを胸の奥に秘めているのだということが分かってきました。
何よりぐっと来たのは、やはり雪月花姉妹との絆。雷真と夜々との間に流れるものとはまた違う、親子としての愛情には、深く感じ入るものがありました。


雷真が硝子にかかりきりになっているので、学院の解放をするのはロキやシャル、日輪を中心とした仲間たちの役目です。
格好良かったのはやっぱりアリス。父親が奪われた学院をその娘が取り返すとか熱すぎる。前線で戦うロキたちの活躍ももちろん重要ですが、後ろで全てを動かす策略家ぶりがめちゃくちゃクールで大好きです。
あと忘れちゃいけないのがおいしいところをしっかり持っていくグリゼルダ先生ですね! 出番自体はそんなに多くないけれど、決めてほしいところでしっかり決めてくれるあたりがやっぱりヒーロー。イケメンすぎます。
一方雷真と師匠雲雀の戦いですが……こちらはもう語らなくてもいいでしょう。彼女がやってきた時点で全然負ける気がしませんでした。世界最高の自動人形が三人揃っているのですから。


大きな戦いをしのいで、物語はまた夜会の舞台へ。夜会も残る参加者が限られてきましたし、クライマックスが近づいてきたように思います。
待ち受けるのは仲間たちとのバトル。遂にこの時が来たかという感じですが、雷真と夜々がどのような思いで友人たちと戦い、マグナスへの挑戦権を手にしていくのか。大いに楽しみです。
個人的にはソーネチカの頑張りにも期待したいところ。


アニメ円盤の特典小説が魅力的すぎるので悔しいけれどDVD買います。