まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

瑠璃色にボケた日常3

ストーリー
『獣筋』三家で代々おこなわれてきた、自身の守護霊と戦い再契約を結ぶ儀式「晦式」。
翠の父・之臣の誘いで、孝巳と瑠璃は翠の晦式に立ち会うことに。
ところが儀式の場に突如賊が現れて翠が負傷させられた上、禽踊と牙穿まで奪われてしまい……。



全国3000万の翠ファンの皆さん! お待ちかねの翠のターンでございますよ!
……いやほんと、2巻の表紙がまさか翠ではなく新キャラの柘榴になるだなんて、いったい誰が予想していたでしょうか。結果的に見れば柘榴は素晴らしく魅力溢れるキャラだったのでそれはそれで良かったんですけど、危うく翠に不遇キャラのイメージがついてしまうところでした。
もう遅い? いやそんなことはありません。今回の翠は完璧に主人公してましたとも!
元々翠は、他の誰よりも正統派の主人公っぽいキャラですからね。ちょっと本気を出せばこんなもんです。メインヒロインになれるかどうかはともかくとして。


何もかも自由気ままな瑠璃とは対照的に、家柄や伝統、自らの地位など、多くのものに縛られている翠。
今回はそんな霊導師のトップとしての翠が、お話の中心になりました。
学校では瑠璃と一緒にボケ倒している彼女も、父母や祖父、分家の人間の前では鴫原家当主としての振る舞いを見せます。
瑠璃の飄々とした様も格好良いけれど、翠の組織の上に立つ様も同じくらいに格好良いですね。自分の力に確固たる自信を持っていなければ立つことのできない場所だと思います。
もちろん、ひとたび戦いの場を離れれて孝巳や瑠璃の前に立てば、そこにはいつもの少し天然な彼女の姿。
当主モードとのギャップのせいか、いつもよりもさらに可愛らしさが増していたような気がします。ううむ困った。本当に翠がメインヒロインに見えてきたぞ。
思えば現状、孝巳に対して一番恋愛感情のようなものを覗かせているのは翠なんですよね。個人的には瑠璃も好きなんですけど、果たして彼女に孝巳と相方以外の関係になる気があるのかといえば、ううんと首をひねるところです。もし瑠璃ルートにいくのなら、どこかで大きなイベントをこなす必要がありそう。
あ、柘榴は愛人枠でいいと思います。


最強の獣霊を相手取り、力を存分に発揮する瑠璃と翠、そして柘榴。みんな実に格好良かったです。
シリアスなバトルの最中にもきっちり笑いを入れてきてくれるところは、徹底していて好きなんですよね。いい感じで緊張がほぐれるというか。瑠璃の存在は偉大です。
新登場の月長も、最初こそ嫌味に見えたけれどいいキャラでしたね。彼にはボケの素質を感じます。いやはや、ますますツッコミの需要が増えて大変ですな孝巳さん!
そんな孝巳さんですが、今回のバトルではそれほど見せ場がありませんでした。まあ相手が相手だったこともあるんですけど。彼も一応特訓を続けているようですし、そろそろ何か成長が見られるかもしれませんね。次巻も楽しみです。


カラー口絵や朽縄と一騎打ちする瑠璃など今回も素晴らしすぎるイラストだらけだったけれど、ナンバーワンは孝巳さんの百合妄想の一枚でファイナルアンサー。