まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

やがて魔劔のアリスベル

ストーリー
高校に入学するため引っ越してきた静刃は、入学式前日の夜、空中で戦う現実離れした少女たちの姿を目撃する。
翌日目を覚まし、自分が見たものは夢だと思い込む静刃だが、新入生の中に見覚えのある少女を発見してしまう。
静刃が入学した居鳳高は、異能の少年少女を集め、秘密裡に隔離教育する高校だったのだ……。



赤松中学先生が電撃文庫から新作を出すということで、一も二もなく飛びつきました。
ジャンルは“モーレツ”バトルアクションラブコメですね。前作の世界とリンクしているらしく、登場するワードにもどこかで聞いたことのあるものがちらほら。
特徴は地の文でしょうか。視点が次々に変わっていく一人称になっています。
視点に応じて文体も変わるので新鮮だし、ヒロインたちの心情も分かってお得感がありますね。
ごく普通の高校生がなんでフリントロック・サーベルの知識を持っているんだよとか、いきなり義理の義理の妹とか言われたらもう少し疑惑を抱くんじゃないかしらとか、初っ端から突っ込みどころは数あれど、ここぞという場面のノリとテンションは相変わらずで、楽しく読めました。


立花・氷焔・アリスベル。魔女狩り魔女。黒髪ツインテール
黛美々。魔法少女。金髪ツインテール
京菱キリコ。先端科学の申し子。銀髪ツインテール
……なんですか。突如ツインテールに目覚めたんでしょうか。赤松先生。いえ、とてもいいことだと思いますよ!
ヒロインである彼女たちは、それぞれ別の異能の持ち主であり、違った武器や武装で、バラエティ豊かなバトルを演出してくれます。
アリスベルの武器は、金属の刃でできたフラフープみたいな環劔。表紙イラストをご覧あれ。
かなり珍しい武器であるだけに、彼女の戦い方は、かなりトリッキーな感じになっていました。いや、そんなことをいったら全員トリッキーなんですけどね。いつか映像で見てみたいアクションではあります。
一応魔女らしいんですけど、必殺技の名前は「荷電粒子砲(メビウス)」ですし、字面から感じるイメージとしては、どちらかというと科学寄りのような気も。
静刃が目覚めることになる異能も、同じく魔法とか超能力のたぐいなんだろうなとは思いつつ、やっぱり科学っぽい、デジタルな匂いがしますね。
肝心のラブコメ方面ですが、メインヒロインはアリスベルということで間違いないかと思います。
アリスベルに取りついている(?)獏のおかげで、静刃の鈍感さに理由付けがされているのは上手いですね。まあ、じれったいことに変わりはないんですけど……。
アリスベルの初心な初恋も見ていてニヤニヤさせられるし、ビビのツンデレまっしぐらなアプローチも私好みでした。キリコは……これからですかね。
えっ、祈ですか? ハハハ(そっと目をそらす)。


物語はまだ始まったばかり。あちこちで巡らされているらしい陰謀が、これからどう繋がってくるのか気になるところです。
赤松作品にしてはだいぶのんびりした印象でしたが、キャラ紹介も終わったことですし、ここからはテンポよく進んでくれると嬉しいですね。
とりあえず、静刃とアリスベルの関係に少しでも進展があることを期待しておきましょう。


イラストは閏月戈さん。どうしてMFで出さなかったのか不思議なくらいの取り合わせですね。このバサバサまつげが結構好きなんですよねえ。
ビジュアル的にはアリスベル、ビビ、キリコの3者とも、甲乙つけがたい可愛らしさだと思います。


今のところのつながりは、藍幇、先端科学兵装、そしてあの人の言葉くらいですか。後々キャラクターが顔を見せることもあるかもしれませんね。