まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

一年十組の奮闘 〜クラスメイトの清浄院さんが九組に奪われたので僕たちはクラス闘争を決意しました〜

ストーリー
学生のすべてが何らかの“能力”を有する特別な学校、私立天命学園。
「人をなごませる程度の能力」を持つ花咲皆人は、今日も一年十組の仲間たちと、バカバカしくも楽しい日々を過ごしていた。
ところがある日、“吹きだまり”の九組生徒に委員長の荒浪が怪我をさせられて……。



ながっ。サブタイトルながっ。しかも軽くストーリー中盤のネタバレになってる! 分かりやすいからいいか!
十文字青先生の新作。「グンゾウ物」を目指した(?)ということで、とにかくキャラの数が多かったです。
1年10組は総勢12名なんですが、そのキャラたち全員がそれぞれ動くので、状況を理解するのがなかなか大変。
会話文もどうしても分かりにくくなりがちですしね。各キャラのアクが強いので、よく読めば誰が言った台詞なのかは分かるんですけど、やっぱりさらりとは読めません。
1巻丸ごとかけてキャラ見せ回だったのかなあ、などとも思いつつ、だめだめな10組の生徒たちがちっちゃな能力を合わせて、大きな敵とどうにか戦っていくのは王道的でよかったです。


キャラは多すぎて全員分紹介はできませんけれど、こうやって見渡すとどこか「惜しい」キャラが多いですね。
ビジュアルだけ見れば「可愛いロリキャラ」や「双子美人」で終えられるのに、どこか残念な部分を与えることでそうさせないあたりに、作者のこだわりとマニアックさが伺えます。
主人公は皆人ですが、主人公らしい活躍をしていたかといえば、ううん、微妙……?
“人をなごませる”能力がまた絶妙に微妙なもので、日常のいざこざを止めるにはよさそうだけれど、闘争では使いどころが難しそうですよね。
とはいえ、みんなが皆人に一目置いているからこそ、クラスでまとまることができたのでしょうし、あまり目立たなくても、リーダーとしては一番適しているキャラなのかもしれません。
ヒロインのマリカの能力はなんと“この世の誰よりも美しい”こと。また大きく出てきたな! イラストレーターさん泣かせですね!
世界で一番美しいだけあって、ヒロインとしてのオーラは格別。なんといっても、今回のストーリーの主軸は彼女を9組から助けることですからね。古今東西、姫は助けられてナンボの職業なのです。
とはいえ、彼女自身の見せ場がたくさんあったかといえば、やっぱり少し首を傾げる。
他のキャラに比べれば、一番おいしいところを持って行ってるのは確かなんですけどね。
やっぱりキャラが多い分、キャラごとに掘り下げていくにはページが足らなかったのではないかと思います。きっとまた巻を追うにつれて、少しずつ掘り下げられていくのではないでしょうか。
今のところ、気になるキャラはくびれ、幻次、司、映、幸子あたりですかね。特に幻次はまったく奥が見えないので、何か秘密を隠し持っていそうな予感がします。それから、幸子はずっとバンソーコーでいいと思います。はい。


今回でなんとなくキャラが把握できたので、これからは本格的にストーリーが進んでいくのかな。
たぶん、また新たな闘争が巻き起こるのだろうと思いますが、そこここに垣間見える小さな恋の発展にも期待したいところです。
本命はやっぱりマリカ、対抗くびれ(対抗できそうにないけれど)、大穴に司というところですか。幸子はきっと違う。なんか違う。


イラストはしらびさん。キャラが多くて大変だったのではないでしょうか。この世の誰よりも美しいヒロインまでいるしね!
司(ミニバージョン)の上目遣いイラストが破壊力抜群でした。胸元に目が吸い寄せられるな!


もしかしてこの罵倒がやりたくて「清浄院」なんていう苗字にしたのでは……?