まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

魔弾の王と戦姫5

ストーリー
ペルシュ城砦に駐屯し、きたる決戦の準備をすすめる“銀の流星軍”。
一方、五頭の竜を従えたテナルディエ軍は北上し、ガヌロンの本拠地アルテシウムへ向かう。
遂に切り開かれる戦端のなか、戦姫両名は快進撃を続けるが……。



表紙のイラストは今までどおりなのに本文イラストの絵柄がガラリと変わっていて「あれ?」と思ったのですが、今回の本文イラストは漫画版の作画の方が描いていたんですね。
やっぱり多少の違和感は否めないけれど、事情があるなら仕方ない。戦闘シーンなどは迫力があってよかったと思います。


第1部完結巻ということで、遂にテナルディエ公爵軍との全面対決へ。
ティグルが挙兵してどれくらいだったでしょうか? 半年? 1年? たいして長い時間は経っていないかと思いますが、吹けば飛ぶような地方の貧乏貴族だったティグルが、今や2万の軍勢を率いる大軍の総大将ですよ。
しかも国を牛耳る大公爵の片割れと真っ向勝負をしようとしているっていうんですから、思えば遠くへ来てしまったものです。
もちろんエレンやミラを初めとしたジスタートの助けがあったとはいえ、短期間でここまでのし上がってしまえるということは、元から彼にはそれだけの能力が備わっていたということなんでしょうねえ。
しかし、この期に及んでアルサスを守るということ以外全く頭にないというあたり、ほんとに出世のできない性格なんだなあと思います。もちろん、そこがいいところなんですけどね。


エレンとリュドミラ様の共闘が熱い。テナルディエ軍が頼みにしている竜を、憎まれ口を叩き合いながらなぎ倒していく姿に惚れぼれします。
普段はあれだけ仲が悪いのに、戦いではしっかり力を合わせているところがたまりません。
ちょっと油断しているとお互いを心配し合う様子を見せたり、もっと単純に命を助け合ったり、本当はお前ら仲良しなんだろと思ってしまうような描写が意外なほどに豊富で、知らずニヤニヤさせられますね。
なんといっても、天下の戦姫がふたりも戦線に揃っているわけで、そりゃ兵士たちのやる気も上がるだろうというもの。正直負ける気がいたしません。
いや、ふたりだけで何万の大軍に勝てるはずはないし、ティグルやリムの指揮、各騎士団の頑張りなどが大切な要素なんだということも分かってはいるのですが、そう思えてしまうんだからしょうがない。
まったく、ティグルさんったらどうやって戦姫をふたりもたらし込んだのかしら! 優れた将に一番必要なものとは、優れた人材を手に入れる力と運なのかもしれません。あのテナルディエでさえも、その点には苦心していたようですしね。


最後はティグルらしく決めてくれ、彼の最初の戦いの日々は幕を下ろしました。
次からはまたお話がガラリと変わるようですが、黒幕の暗躍が終わったわけではないし、“黒い弓”のこともあるしで、ティグルの戦いはまだまだ続くようですね。
個人的には、リュドミラ様の出番をしっかり確保していただきたいものですが……さて、どうなることやら。
新キャラでありながらあまり本編に関わってこなかった戦姫・ヴァレンティナの動向や、未だ姿を見せない残りふたりの戦姫のことも気になりますね。次の巻も楽しみです。


だからリムリアーシャではなくリムアリーシャだと何度言ったら……。