まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『アクセル・ワールド22 ―絶焔の太陽神―』感想

ストーリー
黒のレギオン《ネガ・ネビュラス》VS白のレギオン《オシラトリ・ユニヴァース》。無制限フィールドにおける戦いは熾烈を極めた。白のレギオンと《加速研究会》の繋がりを突き止めるべく、全勢力を以てして挑んだ黒のレギオンだったが、結果としては、手がかりを得ることが出来ずハルユキらの敗北に終わる。しかし、一枚のリプレイカードが土壇場で起死回生のプランを生み出す。そして開かれる、第四回《七王会議》。ショコラ・パペッターの録画映像を根拠に、白のレギオンを問い詰める黒雪姫だが、その会議の結果を待つハルユキのもとに、敵であるはずの人物から謎のコンタクトがあり――!? 真相究明に向かう、次世代青春エンタテイメント!!

約1年ぶりの新刊。やー待ってたよ、待ってたともさ! なんてったって前回があんな終わり方だったからね!(わりといつもああいう感じの引きだけれど)
次の七王会議がただで終わるはずはないと思っていましたが、こう出てきましたか、白は。
他の王たち(特に紫)との共闘はレアイベントで興奮しました。でもまた気になる終わり方だ……知ってた。


前回の死闘を乗り越えて手に入れた貴重な証拠。さあこれを持って七王会議に乗り込むんだー!
……って勢いづいたところでしたが、まさかその会議までの(現実世界の)20分間にもう1つエピソードをぶっこんでくるとは、さすが寄り道の天才・川原礫やで……。
しかし他ならぬメタトロン様からのお呼び出しだからもちろん行かざるを得ないよね。当然だよね。
ハルユキさんたら、いつの間にかメタトロン様とのリンクを強化する特訓なんてしていたみたいですけど、まさか現実世界でもコールが鳴るくらいになっていたとは……正直よくやったと言わざるをえない……もう24時間「メタトロンちゃんといっしょ」じゃないですか。
しかも無制限中立フィールドで人型メタトロン様と会えるようにまでなっていて、もうサイコーです。やっぱりメタトロン様こそがメインヒロインだったんだよ!
あとまあ、他の高位ビーイングさんも出てきましたけど、そちらは今後の再登場に期待ということで。


七王会議でしっかりと自分の仕事をやりきったショコ。そして始まる戦い。突然の事態に対してすぐに対応できるネガビュのみなさん、さすが場馴れしている……。
咄嗟にパープル・ソーンさんを掻っさらっていく我らがクロウさんですよ! いやー、今まで紫の王は敵対する側だったので、彼女がネガビュと共闘する姿はテンション上がりました。っていうかソーンさん可愛いよね、可愛くない? なんだか偉そうにしてるけど中の人はせいぜい高校生の女子なんだって思うとなお可愛い。
バトルシーンですが、クロウとレイカーによる狙撃手奇襲はさすがのスピード感で熱かったですね。この飛翔師弟ほんとすき。
そして六王たちですよ。サーベラスの強さにも引きますけど、ブラック・バイスもエグすぎ。というか加速研究会の幹部陣ほんとおかしい。
まさかまさかの事態となりましたが、今度こそ決着をつけてくれるのか……? 次はぜひとも早めに! お願いします!


会議始まって早々に性癖暴露されるレディオさん不憫すぎるでしょ。

『美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!! 2』感想

ストーリー
「あ、あくまで作品の参考ですけど、もし女子高生に告白されたら……どうしますか?」遂に傑作ラブコメを完成させた天花だが、顔が赤い&妙な質問ばかりで様子がおかしい。一方、新作執筆中のひよこは「何かが足りない気がする」とスランプに戻ってしまう。悩める清純の元には、眼鏡でえっちな有名作家(パンツはいてない)や超売れっ子絵師(優しい×可愛い×〆切守る=天使)が現れて、リアルの方がいつのまにかラブコメ状態に!?

新作に向けて着実に歩きだした天花とひよこが担当イラストレーターと出会う、ラノベ編集×作家コメディ第2弾。
いやー今回もよかったです。天才たる天花が天才イラストレーターと出会ってお互いを高めあう一方で、ひよこは一歩一歩前に進みながらあるイラストレーターと運命の出会いを果たす。
天花ももちろん可愛いんだけれど、これはやっぱりひよこを応援したくなっちゃうよねえ。


新作の超傑作ラブコメを書きあげた天花。前代未聞のイラストコンペの結果……選ばれたのは変人でした(知ってた)。
トラブルメーカーで話題の歪凶魔ですが、天才・天花と組んだら爆発力が違います。やっぱり天才には天才、変人には変人をぶつけるべきなんだな! 現実でマネしちゃいけないけどな!
そして天花さんったら、もう清純にベタ惚れじゃないですか。恋を知ったことでラブコメを書けるようになった少女とかベタすぎて笑えんぞちくしょう清純に呪いあれ。


他方、ひよこは清純との度重なる打ち合わせの中で(ボケ倒しつつも)少しずつ少しずつ自分の作品を高めていきます。
ひよこは決して天才ではない。そもそも少し前まで書くことを楽しいとさえ思っていなかった。でもようやくその気持ちを知って、歩きだせた。
ボケ魔神ではあるけれど、ひよこがこの作品に対して向ける情熱は間違いなく本物で、歩いては躓き、歩いては躓きの繰り返しでも、清純と手をつないで立ち止まらずに歩いてゆく。まだまだ発展途上だからこそ心から応援したくなるんですわ。
イラストレーターとの出会い方もまた劇的でしたね。互いに足りないところのあるコンビですけど、それを乗り越えて最高のコンビになることのできる2人だと思います。
そして清純、貴様はまたしてもか。またしてもやらかしたのか。滅びろ。
さて、手のかかり具合の関係上、天花とひよこでは、どうしてもひよこ寄りの心情になってしまうのは仕方ないところかもしれません。しかし天花天花で、何かが起こったときに一気に崩れてしまいそうな危うさがあるんですよね……。
エピローグでの出来事が、そんな悲劇につながらないとよいのですが……っていうかまさかこれでタイトル回収なの!?


ノーパン代ってマジでなんだ。分かんないけど私が出しましょう(キリッとした顔)。

『クズと天使の二周目生活』感想

クズと天使の二周目生活 (ガガガ文庫)

クズと天使の二周目生活 (ガガガ文庫)

ストーリー
俺、雪枝桃也は三十歳の構成作家。先輩作家や知り合いから仕事をもらって食いつないでいる。同期はアイドルと結婚。かつての仕事仲間はそれぞれ栄達を果たすなか、一人まったく売れていない。誰が悪いんだ? 頑張りすぎたあいつらか? 頑張らなかった俺なのか? そんなあるとき、俺は工事現場の落下事故に巻き込まれ命を落とすが、それは天使のミスだった!? 救済措置で過去に戻れる? それなんてチートですか? お笑い芸人、天津向がおくる勝ち組への再起を懸けた人生やり直しコメディ!!

前回は売れない芸人モノを描いた天津向さんですが、今度の主人公は売れない構成作家です。結局売れないのかよ。
本職の知識を存分に活用しているおかげか、ギャグの中にもリアリティがあっていいんですよねー。
基本クズの主人公が、クズなりに、ちょっとだけ前に進んでいく。情熱の感じられる作品でした。


30歳の売れない構成作家・桃也。同期は売れてアイドルと結婚し、若い頃に一緒にラジオを作った仕事仲間もそれぞれの現場で大活躍。
一方自分はというといつまで経っても下働き。同期に媚びへつらって仕事を恵んでもらい、へらへら笑って毎日を過ごす。仕事に対して情熱もなければプライドもなく、日々生まれる後悔をノートにひたすら書き記す。おおう、なんだか本格的に切なくなってきたぞ……。
極めつきは、かつて構成作家として関わったラジオのパーソナリティーにして今は売れっ子声優の萌香からかけられた一言。いや、これはつれーわ。悪意がないのがほんとつらすぎ。やってられんわ。
生活できないくらいに干されてるとかならいっそギャグにもなるかもですけど、そうじゃない。ちょっと仕事はある。でも明らかに「できる奴」に来る仕事じゃない。お笑い芸人として現場を知っているからなのかどうかは分かりませんが、こういう、リアルな「売れてなさ」を描くのが本当に上手いですわ。めちゃくちゃハートに刺さるもん。グサグサくるもん。経験談だったらやだな……。


天使の間違いで命を落としてしまった桃也は、そのまま10年前の若手時代に人生巻き戻し。やったじゃん、未来の知識を用いて丸儲けじゃん! ……なんて、当然そう上手くはいかないんですな。
時間遡行のルール上、未来の誰かの知識を丸パクリすることはできない。当然株や競馬もダメ。じゃあ結局ズルはできないわけで、そしたら真面目にやり直すしかない。まあ『たらればノート』というボーナスがあるとはいえ、結局はやるしかないわけです。
桃也はわりとガチのクズなので、ともすると流されて元の人生の方に寄ってしまいがちですが……。今はまだ売れっ子ではない凛や真琴といった同僚たちに、新人声優の頃の萌香といった「未来の成功者たち」とともに、本気でいいラジオを作るために。過去の間違いを必死で回避しながら、少しずつ彼なりのやり方を見つけていく姿に、クズの中にもくすぶり続けていたクリエイターとしての情熱を垣間見たような気がします。いいね、熱いね。
萌香も凛もそれぞれ可愛くて魅力的なんですが、そのぶん、恋愛禁止というのが今後のネックになってきそうです。次巻が楽しみ。


イラストはうかみさん。表紙のドヤ顔エリィがかわいい。
あと萌香さんの胸部が攻撃力高すぎです。本当に高校生かよ。


猫浦Pはなんだか嫌いになれないが、大河内は爆発しろ。