まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

2017年イチオシの新作ライトノベル10作

はや気づけば大晦日、ということで毎年恒例のベスト記事書きます。
今年は本当にラノベが読めなかった年で、正直全然納得がいってない! 今年出たラノベ一覧を見ながら書いてるんですけど、あーあれも読んでない、あれも積んでる……としょんぼりしています。不甲斐なし!
ということで母数は少ないけれども、以下に挙げる10作品は間違いなくめっちゃ面白かったので、未読のものがあったらぜひ!
ちなみに順番は発売日順。



『86―エイティシックス―』(電撃文庫

方々で絶賛されている中、今さら紹介するのも気恥ずかしいんですが、やっぱりなんだかんだで今年を代表する新作はコレだと思います。
前線で使い潰されていく少年兵たち。遠方から司令を出すことしか許されない少女指揮官。埋めがたい心の距離が切なく苦しく、ようやく少しつながったかと思いきや、またあっけない別れがやってくる。熱のこもったSF戦場物語でした。空白の2年間を描いた2-3巻も格別の出来。



『キラプリおじさんと幼女先輩』(電撃文庫

電撃大賞作からは1作品だけにしようと思っていたんだけれど、外せなかった。今年の新人賞で一番愛着がある作品はコレかも。
女児向けアーケードゲームを通して描かれる、ツンな幼女先輩との友情。協力プレイの場面の熱量が半端じゃなくて、もはやスポ根ものと言ってもいいくらい。キラプリは実質スポーツ! 3巻がとにかくいいので読んで。そして泣いて。



『読者と主人公と二人のこれから』(電撃文庫

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

これ! これが僕が読みたかった青春学園ストーリーだよ! もう好みにドストライクすぎて完全KOですよ!
とある小説のファンの少年と、その小説のモデルとなった少女が、あまりに不器用に、それでいてじっくりと心を通わせていくじれったい恋愛模様。胸をかきむしりたくなるくらいにキュンキュンする。サイコー。



『美少女作家と目指すミリオンセラアアアアアアアアッ!!』(角川スニーカー文庫

さすがの春日部タケル作品というべきか、ギャグに次ぐギャグの応酬でひたすら笑えるラノベ作家&編集モノ。
天才が花開く1巻もいいんだけど、天才ではない人間が四苦八苦しながら作品を生み出していく2巻の内容が白眉。



『ワキヤくんの主役理論』(MF文庫J

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ワキヤくんの主役理論 (MF文庫J)

ここのところ「ちょっと捻りをきかせた学園ラブコメ」が結構出ていて、ラブコメ大好きマンな僕はホクホクしてるんですが、中でもニヤニヤ度が高いのがコレ。
クラスにバイト先に趣味嗜好まで同じ、なのに生き様だけが真逆。口論ばかりしているけれど傍から見たら熟年夫婦という「喧嘩するほど仲がいい」を地で行く主人公とヒロインから目が離せない。



『真面目系クズくんと、真面目にクズやってるクズちゃん #クズ活』(講談社ラノベ文庫

こちらもちょっと捻った学園ラブコメ。いやー持崎湯葉先生はずっと応援してきたんですけど、過去作の中でもトップクラスに面白かった!
クズな女の子と聖人君子な女の子、両極端なダブルヒロインに挟まれた中途半端な真面目系クズの僕、という構図が楽しくてたまらん。今一番続きを待ってる作品のひとつ。



『幼馴染の山吹さん』(電撃文庫

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

幼馴染の山吹さん (電撃文庫)

上2作品が捻ったラブコメなら、こっちは直球ストレートな青春学園ブコメ
一度疎遠になった(けど実はお互いを想い続けていた)幼馴染と、ミッションという名のもとにイチャイチャイベントをこなしていく……もはや陳腐とさえ言ってもいいくらいにベタまっしぐらなラブコメ。だけどそれがいいんだ! 素晴らしく楽しいんだ!



『図書迷宮』(MF文庫J

図書迷宮 (MF文庫J)

図書迷宮 (MF文庫J)

今年読んだラノベの中では、一番の挑戦作と言っても過言ではない。かもしれない。本が読者に呼びかけてくる二人称小説にして、作中の本と実際の本を連動させることで読者を緊張感に導くメタ小説。
とことん読者を翻弄した挙句に最後には愛の物語へと落とし込まれる俗っぽさがたまらなくいい。



『6番線に春は来る。そして今日、君はいなくなる。』(角川スニーカー文庫

大澤めぐみ先生の文章は本当に喉越しがよくて素晴らしいんだけれど、特に高校生がいい。大澤めぐみの高校生はすっごく高校生してる。何言ってるかわかんないと思うけど読めばわかる。
その辺にいる高校生たちが、あたりまえの楽しかったり苦しかったりする日々を送って、どうでもいい雑談をして、出会って別れる、それだけの話のはずなのに、なぜだかやたらと胸に迫る。傑作。



『僕の知らないラブコメ』(MF文庫J

僕の知らないラブコメ (MF文庫J)

僕の知らないラブコメ (MF文庫J)

嫌なことをスキップする力。それ自体は魅力的なのだけれど、時間をスキップするということがどれだけ切なく恐ろしく、取り返しのつかないことなのかを見事に描きだす直球青春ストーリー。
無気力で逃げ腰で目標ミドリムシだった少年が勇気を振り絞って一歩踏み出す、その姿をぜひ見てもらいたいと思います。



(番外)
『ショートストーリーズ 僕とキミの15センチ』(ファミ通文庫

1作の小説ではないため番外として。アンソロジーってこんなに面白いもんだったっけと知見を新たにしてもらいました。やっぱファミ通文庫はいい作家陣を抱えてるわ……。
あとまあ、なんというか、『“文学少女”』のSSが読めてほんとにほんとに幸せでした。



以上! 今年はブログもほとんどサボっちゃったし、ラノベ読みとしては非常に悔いの残る1年でした! 来年は絶対にもっと読む! とりあえず新人賞コンプじゃー!
よいお年を。