まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

気ままで可愛い病弱彼女の構いかた

ストーリー
高校に入学した直後、「病夜宮係」なる謎の係に任命された甘口廿日。
言われるままに放課後の保健室へやってきた廿日は、保健室登校の美少女・病夜宮美闇と出会う。
生徒たちの悩みを解決することで出席の代わりとしているという彼女の活動に協力することになる廿日だが……。



第28回ファンタジア大賞<審査員特別賞>受賞作品。
保健室登校の少女と、彼女のお世話係になった少年が、学園のお悩み解決に励む学園ミステリー風ラブコメディ。
ミステリーといいつつも謎解き自体は大したことないんですが、お悩みにまつわるキャラクターたちが実に魅力的でよかったです。
お互いのことが気になりつつもそれを表に出さない主人公とヒロインの関係性もGOOD。


体が弱く、保健室登校をしている美少女・病夜宮美闇(やみやみや・みやみ。凄い名前だ)のお世話役「病夜宮係」に任じられた少年・甘口廿日。
足の筋力がないので移動時は杖か車椅子、紫外線に弱いので日の当たる場所にはほとんど出ず、ついたあだ名は吸血鬼。そんな彼女と一緒に、学園の生徒たちのお悩み解決をしていくことになるのです……。
なんといっても、登場人物、特にヒロイン陣がそれぞれ個性的かつ魅力的! 美闇はもちろん、廿日の幼なじみの白水泊&泉姉妹も面白いキャラクターでした。
廿日もベタ惚れの泊さんは、物静かだけれど本を異様に愛好する上級生。本のこと以外だとだいぶぼんやりしてるというか、何を考えているのかわからないぽわぽわ感がいい。
そんな泊さんももちろん可愛いのですが、むしろ泊さん大好きを常々公言している廿日に対して、微妙な顔つきをみせる美闇にニヤニヤしてしまいます。
妹の泉は姉とは打って変わって元気ハツラツドジっ子娘。気のいい性格が全面に出ていて気持ちいいキャラクターですね。
廿日とは気のおけない間柄という感じで、お互いのことを深く理解している様子のふたりに対すて、なんともいえない反応をみせる美闇に(以下略)。


今回解決していくのは、毎日借りられる図書室の本、保健室から消えた人体模型、いきなり休職した先生、の3本の謎。
上にも書いたように、「ミステリー」はあくまで風味付けくらいのもので、むしろそのお悩み解決に奔走するふたりと周囲の人々の姿そのものがメインかなと思います。
美闇は今作のタイトル通り、気ままで可愛い! お悩み解決のために廿日を振り回すわりに、意外と自分には自信がなくてちょこちょこ弱気な部分を見せるあたりにグッときます。
また、廿日と美闇の会話はなかなかユニーク。廿日のモノローグになっている地の文を平然と読んで返答してくるし、ちょこちょこ変なギャグやネタを挟んでくるし、読んでいて飽きません。波長が合うのかなんなのか……。とにかくお似合いのコンビだと思います。
表では泊さん大好きを明言しつつ、実は美闇のことが気になって仕方のない廿日。同じように廿日のことを意識しまくっている美闇。
どちらかが踏み出せばすぐにくっつきそうだけれどそうはならない、このふたりのじれったい恋愛模様をもっともっと見ていたいですね! 続刊の展開に期待です。


イラストはMACCOさん。可愛らしさと透明感が同居した素敵な絵柄ですね。
泊さんのキャラデザが特に好きです。口絵の破壊力すごい。某部位が。


泊さんの髪型チェンジイラストがもっともっと見たいぞ! あと眼鏡!