まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

機巧少女は傷つかない15 Facing"Machine Doll I"

ストーリー
硝子の治療でなんとか一命をとりとめた雷真は、夜会にてロキとの決戦に挑む。
一方で、神性機巧を巡る策謀もまた最終局面を迎えつつあった。
雷真は日本軍に囚われの身となり、いざなぎ当主・土門綺羅は英国王エドマンドと手を結び、学院を強襲する……。



完結まで今回を含めて残り2巻となり、いよいよクライマックス間近。もうどこを切り取っても苦しく、そして熱い展開が繰り広げられました。
メインどころはもちろん、学院の教授陣や悪役サイドに至るまで、色んなキャラクターに活躍の場面があってテンション上がりっぱなしです。
辛い場面や、悲しい出来事も多いのですが、これも全て最後にハッピーエンドを迎えるためと信じたいですね。


ようやくこの時がやってきました。雷真とロキによる夜会準決勝戦。お互いに心から認め合った戦友同士の戦いに胸が踊ります。
雷真もロキも楽しそうに憎まれ口を叩き合いながら戦っていて、もうなんというか、「好敵手」ここに極まれりって感じですね! やだ、シャルが興奮しちゃう!
しかし、そんな爽快な戦いはここまで。夜会直後に乱入してきた日本軍、エドマンド王、そして土門綺羅率いるいざなぎ一門。彼らの凶悪な野望と圧倒的なまでの力に、学院はまたもや窮地に立たされます。
こんな肝心なときに雷真はまたも動けず、結局他の人々が頑張ることになるわけですが……。まあ主人公ですからね。活躍の機会は最後までとっておくということで。
ロキやシャルといった面々も力を出せずにいる中、ここにきて格好良かったのが、ラザフォードを初めとする学院の教授陣!
特に血も涙もない男だと思われていたラザフォードの思わぬ熱い部分がたくさん見られました。これ以上ない危機を迎えながらもエドマンドに対峙する姿は、十九世紀最強の男の名に恥じない威厳に満ちていたと思います。
それから、ラザフォードの盟友・パーシヴァル教授もね……うおおお、あんたがMVPだよ……!


前回雷真を刺して、完全にいざなぎ一門の側に回ったと思われた日輪。もちろん、彼女なりに雷真のことを思ってのことではあったのですが……まったく、修羅の道を選んだものです。正直個人的には、彼女は擁護しがたいのですが、こんな状況でも雷真も夜々もシャルも彼女を信頼して助け出そうとしていて、本当にいい仲間たちです。
しかしその仲間は今、ほとんどが戦えない状況に陥ってしまっているし、学院の戦力ももはや風前の灯。文句なしに過去最大級のピンチでしょう。
残るはやはり雷真と、そしてマグナスがどう出るかということ。仲間たちは、あの人やあの人はまだ戦うことができるのか……そもそも、まだ生きているのか……。
力を得るために雷真が交わした契約の内容といい、赤羽と土門の因縁といい、何やら不安材料だらけではありますが、泣いても笑っても次で最後。
マグナスとの、そしてエドマンドとの戦いがどのような結末を迎えるのか、雪月花のように雷真を信じて、最終巻を待つことにしたいと思います。


夜々かわいいよ夜々! って言うのも次で最後……(さみしい)。