まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

東京レイヴンズEX3 memories in nest

ストーリー
特待生としてやってきた鈴鹿に夏目の秘密を知られ、すっかりパシリと化してしまった春虎と夏目。
鈴鹿の支配から逃れられる貴重な休日にも、彼女からの非情な連絡が入ってくる。
春虎と夏目は、鈴鹿の目が届かないところまで逃げようと決意するが……。



陰陽塾時代のコメディ短編4本と、書き下ろしの中編1本を収録した短編集。
鈴鹿と出会った頃のエピソードとか、もう遥か昔のことのように思えてきますね……。夏目の色んな顔が見られるので短編は好きなんだけれど、シリアスまっしぐらな本編との温度差が激しすぎる!
書き下ろしの過去編では、青年時代の夜光&飛車丸と角行鬼の出会いが描かれていて、興味深い内容でした。


「渋谷ランナウェイ」は、春虎と夏目が支配者となった鈴鹿から逃げて渋谷を走り回るお話。
夏目が女だということを周囲に隠していた頃が、もはや懐かしい。鈴鹿の影に必要以上におびえて逃げ惑う春虎たちが笑えます。結局これで休日を丸一日潰しているんだから、どこかで冷静になれなかったもんかなとも思いますが……。鈴鹿様が楽しそうで何よりです!
「夏目忍法帖」は、夏目がソーシャルゲームにのめり込んでしまうお話。
もうなんというか、春虎が夏目に登録を勧めた時点で「あ、まずい」って思ったんですが、案の定でしたね……。夏目がハマってしまった理由が、友達が少ないからっていうのがまたなんとも物悲しい。
禁じていた課金に踏み込んだ瞬間の夏目は、完全にダメな人でした。こういうユルいところが、また魅力なんですけど。


今回の書き下ろしは、角行鬼が夜光の式神になったきっかけを描いた過去編です。
安倍晴明が残した鬼の片腕と、その持ち主たる伝説の鬼。千年生きてあまりに強大になった彼が、なぜ夜光の式神になることに決めたのか。夜光・飛車丸・角行鬼の中で、角だけが明らかに異色だったので、ずっと気になっていたのですが、その謎が解けてよかったです。
若い頃の夜光が登場してきたのってたぶん初めてですよね。意外と普通の若者らしい感じで好感が持てました。飛車丸は全然変わってないな……。
この時代のエピソードも面白かったので、また読んでみたいです。角行鬼による飛車丸の特訓風景とか、楽しそうじゃないですか。
もちろん、本編の方はもっと楽しみです。早く続きが読みたくて仕方ありません。待ち遠しい!


コン「たち」のダンスはぜひアニメで見たい。