まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

愚者のジャンクション -side friendship-

ストーリー
夏休み明け、超進学校の壁に書かれた“エーミール”からの復讐声明。
その後、飼育部に所属するひとりの女生徒が遺体となって発見される。
『名探偵』である十文字は惨殺された後輩のため、犯人=エーミールの正体を探っていくのだが……。



耳目口司先生の新作。後輩を殺された『名探偵』の少年が、犯人に復讐するため調査していく狂気の青春復讐サスペンス。
いやー期待通りに狂ってましたね! 名探偵である主人公が自然に狂っていく様が、いや最初から狂っていたのかもしれませんが、実におぞましくてゾクゾクしちゃいます。
どのキャラクターもそれぞれ何かがおかしくて、不気味なんだけれど、それぞれに独自の信念を持っている点で魅力的でもあります。迫力のある作品でした。


飼育部に所属する主人公・十文字。なぜか『名探偵』を演じる少年。
彼は9月1日、エーミールと名乗る人物からの犯行声明に触れ、そして9月6日、後輩の少女の遺体を目にします。
「飼育部の友情は絶対」というルールでつながる飼育部は、誰も彼もが歪な集団。部長の翡翠も、十文字の助手の佐藤も、新谷も、一見みんな普通に見えて全員どこかおかしい。
それは別に飼育部だけではなくて、学校に6人しかいない『特進科』の天才たちや、学園を統べる教頭など、ここは普通ではない人々だらけです。
転校生の白丁花は、この異常な学園内にあってユニークな立ち位置のキャラクターですね。ある意味一番フラットな視点の持ち主といえる彼女によって、学園や飼育部の異常が次々に明らかにされていった部分があります。まあ彼女自身も、到底普通とは言えない人物ではあるのですが……。
そんな普通じゃない学園で起きる殺人事件は、当然普通じゃなく展開していきます。
十文字が調査を進めながらも、誰が何を知り、どんな思惑で行動しているのか、全く予想のつかないまま時間だけが過ぎていく気持ちの悪さがたまりません。


調査の中で、次第に『悪党』としての名前が上がっていく『特進科』の面々。そしてやっぱり怪しい飼育部部長・翡翠
彼らのうちの誰かがエーミールなのか。それとも全く別の人物なのか。
終盤はもはや名探偵自身がおかしくなってしまっていて、謎だらけで何も分からなくなってしまい、ただただ彼の狂気が不気味です。
次巻ではまた別の視点からこの事件が描かれるようですが、この不可解な1ヶ月でいったい何が起こっていたのか、なぜこの復讐劇が起こってしまったのか、誰かが謎を解き明かしてくれるのでしょうか。楽しみでなりません。


イラストはまごまごさん。可愛さと怖さの同居した絵柄は、素晴らしいのひと言ですね。
ラストの1枚は夢に出てきそう。


LINK上の佐藤かわいい。