まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

穢れ聖者のエク・セ・レスタ2

ストーリー
武勲を重ね、順調にフィガロ魔皇国内での皇位継承序列を上げたエトラ。
しかしその矢先、序列上位の王子たちによる皇帝オルドネスへのクーデターが巻き起こる。
王子たちに付くか、オルドネスに付くか、決断を迫られるエトラとシリュウだが……。



キザな王子と腹黒皇女が織り成す、血と野望にまみれた復讐ストーリー第2弾。
面白かった! 前回がめちゃくちゃ好みだっただけに、高まる期待に応えてくれるだろうかと勝手にハラハラしていたのですけれども、見事にハードルを越えてきてくれました!
1巻でどん底から這い上がったシリュウとエトラですが、力を得た先で待っているのはより強い力を持った敵皇子たち。
数少ない友人や、かつての敵の力なども借りながら、顔では笑い裏では舌打ち、ギリギリの謀略を繰り広げるふたりの姿に、手に汗握りました。


物語当初に最下位だったエトラの序列は、なんと早くも第九位。一気にずいぶん高くまで上ってしまったものです。もっとも、第五位のディーヴァを倒したのだから、これくらいが自然なのかもしれませんけど。
そしてそのディーヴァは、なんとエトラの新たな手駒として再登場。相変わらず悪辣な性格をしてますが、なんといっても「神代の詩」持ちの元第五皇女ですから、戦力としては申し分なし。油断はできないとはいえ、以前の敵が味方になる展開は、やはり熱いですよね!
今回ディーヴァはシリュウと行動を共にすることが多かったのですが、さすがは元主従といいますか、このふたりもいいコンビネーションを見せてくれました。考えてみればシリュウも相当嫌な奴であることは確かですし、相性がいいのは当然なのかもしれません。
しかしいざ味方になってみると、なかなかどうして、ディーヴァにも一本筋の通ったところがあって好感が持てますね。実際にいたら関わり合いたくはないですけど……。


第二皇子と第四皇子が起こしたクーデターに対し、終結した一桁台の皇子皇女たち。
リュウとエトラの最終的な目的はもちろん皇国を滅ぼすことですが、そのためには皇帝と上位の皇子たちと、両方を倒さなければなりません。
皇帝と皇子が剣を交わす今、シリュウはどちらの側に付くのか。そして彼と離れ離れになってしまったエトラはどちらの勢力を選ぶのか。
お互いに相手が自分と同じ選択をすると信じているのに、なぜかすれ違ってゆく両者。読者をも騙す巧みなストーリー展開に、なんともドキドキさせられました。
ラストバトルは神代の詩を持つ皇子皇女が一堂に会する輅機大戦。
一度は離れたものの、シリュウとエトラの間の確かな絆を感じさせる戦いとなりました。そして遂にエトラが覚醒を果たしたところで、迫力の見開きイラストが。燃える。


予想していたよりもだいぶ早い展開となった今回のお話。残る敵の数を考えると、もしかしたら物語は既に佳境に差し掛かっているのかもしれませんね。
エピローグで思わぬ姿を見せてくれた彼が次の敵となるのか、はたまた皇帝オルドネスが先か。
リュウとエトラの復讐劇がどんな結末へと突き進んでいくのか、心配しつつも、楽しみに次巻を待ちたいと思います。


リュウさんのキザがどんどん極まってゆくのを感じる……!