まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

“六条” ヒカルが地球にいたころ……(9)

ストーリー
帆夏と葵の告白に返事ができないまま、夕雨と再会した是光。
朗らかな夕雨にドキドキしつつも、揺らぐ自分の心に戸惑うことに。
そんな時、学園にまたもや不穏なメールが飛び交いはじめ……。



物語も終盤に差し掛かり、交錯している恋愛方面を大きく進展させるときがやってきました。
それぞれの事件解決のため、さんざんヒロインたちを振り回してきた是光ですが、今回は逆に振り回されまくっていた印象です。
今までの是光のヒーローっぷりを逆手に取るような展開はさすがの巧さで、唸らされました。


是光の初恋の人・夕雨がついに帰還。なんと2巻以来、7冊ぶりの登場なのにも関わらず、他のどの女の子たちとくらべても全く見劣りしない圧倒的ヒロイン力。凄い。
早速の修羅場モードでも、葵や帆夏を初めとしたヒロイン陣はわりと焦っている様子でしたが、夕雨には余裕が感じられましたね。一度恋を制しただけはあるということですか。まあ月夜子先輩もそうなんですけど、あの人はまた少し特殊かな。
ともあれ、お別れのときの約束通り、すっかりにこやかになった夕雨の姿に胸がほうっと温かくなりました。幸せそうで本当によかった。
それから、もうひとり忘れてはならないのは、我らが朝ちゃんのことです。
一応流れに乗ってはみたけれど、なんかもう完全にタイミングを逃しちゃってるし、しかもあとからまた悪い癖を出しちゃっていて、「ああ、もう何やってるのさ!」って感じですが、そんな朝ちゃんが可愛くて仕方ない!
周囲の帝門勢がことごとく朝ちゃん推しなのにも笑ってしまいました。朝ちゃんはみんなから愛されているんだね! ひいき目なしに見ても、是光の隣に一番お似合いなのは朝ちゃんのような気がするので、もっと頑張ってもらいたいところなんですが……。


ヒロインたちの間に蔓延する、悪意に満ちたメール。
みんなそれぞれの思惑の中に何かを隠していて、是光は何も分からないままに空回り。みんなを救おうとするあまりひとり追い詰められて、どんどん刺々しくなっていく是光の姿が痛々しい。
一回り強くなった葵の姿にも、嬉しさと寂しさの両方を感じます。守らせてもらえないヒーローというものは、予想以上に切ないですね。
そんな守りたがりの是光が、一番守りたかった人は。
さてさて、今回はこのような結果になりましたが、果たしてこれで決まりなのか、そうでないのかは、最終巻での他のヒロインに対する返事で明らかになりそうですね。
最後にとんでもない爆弾も落とされましたし、いよいよクライマックスが楽しみです。


エピローグのあいつがやたら可愛く見えて混乱したんですが、いや、色々まずすぎるし、気の迷いに違いない……そう思っておこう……。