まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

女子モテな妹と受難な俺(6)

女子モテな妹と受難な俺〈6〉 (ガガガ文庫)

女子モテな妹と受難な俺〈6〉 (ガガガ文庫)

ストーリー
兄っちラブラブのはずの今日子に最近避けられムードなのが気になる明日太。
その上、凛世とのキスも頭から離れず、もやもやした日々を送っていた。
心配してくれる高野と比叡に、妹のことを相談してみる明日太だったが……。



明日太視点+4人の各ヒロイン視点で5本のお話が入った短編集。
普段の明日太視点(=超朴念仁視点)では分からなかったヒロインたちの本音が見えて、胸がときめきました。
それぞれ別のお話ではあるんですけど、微妙に相互でリンクしているのがまた面白いですね。
しかしなんだ、今日子と凜世はともかく、小麦と緋影までこんな具合とは……。やはり時代は僧職系男子。ちょっと般若心経唱えてくる。


小麦視点は二話目。明日太と凛世をくっつけるために画策したら見事に自分が釣られちゃったお話。
今日子のことしか頭にないことが明らかすぎてもはやヒロインかどうか怪しい部分があった小麦ですが、本気を出せばしっかり可愛くなれるんだと分かって少し感動してしまいました。こむぎゅう。
優しいだけでモテるのはイケメン主人公の特権だよなと思ってきたけれど、しかしやっぱり、明日太の優しさはまた特殊ですよね。これならモテてもしょうがないと思わされる優しさ。文字通り仏のようなというか、なんというか。これはなかなか真似できませんわ。
緋影視点の三話目は、明日太と緋影が今日子の部屋でふたりきりになってしまうお話。
出だしのルビ遊びには笑いました。全部これで通してくれても良かったんですよ。いや読みにくいか。
緋影も、多少明日太とのイベントもあったとはいえ、小麦と同じく今日子まっしぐら脳の持ち主。こんな風に明日太と接する中で緊張したり、照れたりする姿はとても新鮮でしたね。サラリと犯罪を犯してるけれど今更すぎて何も言えない。
四話目はすっかりメインヒロインの風格を漂わせている凛世視点。5巻での行為の裏にあった謎が明かされる重要なエピソードになっています。
いや、やっぱり可愛いですよ! 凛世が最強ですよ! これを読んで改めてそう確信しました。
他のヒロインと違って明日太が好きだとしっかり自覚しているからこそ、自分から身を引こうとしてしまう凛世の健気さが切ない。
明日太はとにかく誤解と勘違いの固まりのような人間ですから、かなりの強敵ですが、凛世らしく思いっきりぶつかってもらいたいなあと思います。


今日子視点の五話目は、少しざわめく今日子の内側を描くと同時に、今後の展開を匂わせるようなお話になっていましたね。
今日子は明日太の妹ですから、「兄っち大好き」だけではどうしようもできないことがたくさんあります。
いつも明るい今日子だけれど、本当に引き返せない変化が訪れたとき、彼女は何を思うのか。そのあたりが、これからのお話のポイントになってきそうですね。
いよいよ物語も佳境に入ってきましたが、この5人の、特に明日太と今日子と凜世の関係が、どう動いていくのか気になるところです。次巻も楽しみ。


人魚姫の解釈がちょっと好き。