まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

ソードアート・オンライン9 アリシゼーション・ビギニング

ストーリー
目を覚ますと、キリトは巨木が連なる森の中に入り込んでいた。
自分が現実にいるのか仮想世界にいるのかさえ分からず、手がかりを求めて辺りを彷徨うキリト。
少年・ユージオと出会ったキリトは、彼と話しているうちに、ここが仮想世界だと確信するに至るが……。



新章・アリシゼーション編突入。今までとはだいぶ毛色が違って、ファンタジー要素強めでした。
ゲーム感バリバリのお話ばかりではなく、こんな展開も持ってくることができるのだなと、改めて作品の懐の深さに気付かされますね。
「ビギニング」との副題のとおり、内容としては全編「始まりの物語」といった感じでした。
どうやらこの先結構長いこと続くシリーズのようで、これからの展開にワクワクです。


唐突にファンタジー世界から始まる、長いプロローグ。
おそらくゲームの中なのだろうけれど、なぜかキリトは完璧に世界の住人になりきってしまっていて、ゲームをプレイしているという様子ではない。
首をかしげながらも読み進めていくと、この少し不思議な世界での、少年キリトとユージオ、そしてアリスの幼なじみ3人組が繰り広げる日常と冒険に、心が踊るのを感じました。
大きな展開があったところで、またもや唐突に場面は変わり、プロローグその2。現実世界へ。
てっきりまた事故か何かに巻き込まれたのだろうと思っていた和人が平然と登場してあれれ、と思ったところでネタバラシ。なるほどそういうことですか。そんなバイトあったらぜひやりたいなあ。
シノンアスナも交えて、ここからしばらく小難しい脳の話が続きます。
どうでもいいっちゃどうでもいい、つまりはアミュスフィアよりも凄いマシンが生まれつつあるってことなんだろ? なんていう風に思いながら読んでいたのですが、いくつか気になる単語が目に飛び込んできてはっとしました。そして思わずニヤリ。


現実世界でも大変なことに! というところで今度はゲーム世界へ。まったく、いいところで話を切り替えてくれるよなあ。あとこのタイミングでカラーイラストを挟んでくるのはずるい。ドキッとするじゃないですか。
仮想世界にいることは分かったものの、なぜ自分がゲーム内にいるのか分からないキリト。
ゲームの中では、プロローグから結構な時間が経過していて、ユージオもキリトのことを覚えていなくて、読者としても謎は深まるばかり。
それでも、あの頃と同じように友人となって、共に斧を振るキリトとユージオの姿に、少しだけ心が温まりました。
キリトは、今までのゲームとは違って、ステータスもスキルも一般人そのもの。いきなり大剣を振り回すようなことはできません。
そんな状況でも、なんだかんだで困難なクエストをクリアしてしまうところが、彼らしいところです。格好良くもあり、少々イラッとくる部分もあり。相変わらずイケメンだなこの野郎め。
あとセルカちゃん可愛い。しばらくは出てこないのかなあ。いつかまた出てきてくれるんでしょうけど、名残惜しいですね。


右も左も分からない状態ながら、とりあえず旅に出たキリトとユージオ。
主人公がふたりいるというこの状況、キリトはもちろんですが、ユージオが、キリトに負けないくらいの剣士に成長してくれるのではないかと、今から楽しみで仕方ありません。
長い道のりになりそうですが、ふたりは果たして、アリスを助けることができるのでしょうか。そしてキリトは、どうやってこの世界の謎に迫っていくのでしょうか。続きが待ち遠しい。


思考の加速は想定内だったけれど、まさかフラクトライトとはねえ……。