まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

放課後の魔術師(7) スマイル・ウィズ・ユー

  • ストーリー

《島》に送られた安芸を救うため潜入した遙。しかし安芸は記憶喪失になっていた。
イドに与えられた10日という制限時間以内に記憶を取り戻そうと奮闘する。
一方外では、あの少女がイドに接触していた……!


ようやく最後まで読み終えました。最終巻。
2〜6巻の感想をすっ飛ばしてしまいましたがご容赦ください。連続で同一作品の感想を書けるほどの文章力はありませんので……。


一言でいうと、非常に面白かったです!
特に6巻から7巻にかけての流れは素晴らしかった。目が回るような展開に次ぐ展開。手に汗を握りっぱなしでした。
特徴である、どんどん視点を変えて行く話の進め方がとても上手く作用していたと思います。
7巻の終盤に至ってはいったい何回どんでん返しがあるのか分からないほどで、最終巻にふさわしい盛り上がりを見せてくれました。


まず語るべきは仄香。誰がなんと言おうと仄香。
6巻の最終章では手が震えましたよ……。ここにきて姿を見せてくれるとは。
7巻での彼女の活躍は凄まじかったです。今までもいざという時の切り札として活躍していましたが、実際にストーリーの真ん中で暴れまわる仄香は最高に輝いていました。
イドとの漫才のような掛け合いはとても楽しい。この2人の会話部分では笑いっぱなしでした。面白いよこのコンビ!
ストーリー自体がシリアス多めな分、ちょっとした息抜きになっていていいですね。
仄香と遙との絆も素敵でした。お互いがいれば絶対に大丈夫、そう思わせてくれる何かが満ちていました。


遙と安芸にはニヤニヤさせられっぱなし。あの朴念仁人類代表の安芸がねえ…全くねえ……。
記憶喪失は色々なメディアでわりとよく描かれるテーマですが、やはり心に染みます。誰かに忘れられるというのはとても悲しい。
しかし、それを乗り越えた時の喜びは言葉にできないほど*1大きい。
陳腐な言葉ではありますが、愛に勝てるものなどない。そんなメッセージがずきんと突き刺さりました。


これでこの物語は一旦幕を閉じます。
遙と安芸、イドと伊代、斎条とナツメ、香音、ベル、仄香……と、その後が気になって仕方ない面々がそろっていますが、みなそれぞれ自分の人生を懸命に生きていくのでしょう。願わくばその人生が幸せであるように。


素晴らしい物語に出会えて良かった。作者である土屋先生、イラストのふゆのさん、この作品に出会う機会をくださった方々に感謝を。
次回作も楽しみに待っています。

*1:ボキャブラリー貧困とお笑い下さい