まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『俺を好きなのはお前だけかよ(7)』感想

俺を好きなのはお前だけかよ(7) (電撃文庫)

俺を好きなのはお前だけかよ(7) (電撃文庫)

ストーリー
キミは、女の子のおっぱいを触ったことはあるかい? 俺は、ある。しかも、二人――。そして、おっぱいタッチしたその子たちの彼氏でもあるのだ。ようやく来たぜ。人生の最高潮ってやつが。ん? パンジー、ひまわり、コスモス、あすなろの四人からの『告白』への返事はどうしたって? おっぱいタッチしたサザンカとチェリーとの二股恋愛。それが答えだ。……釈明は本編でやらせてくれ!

いやー今回も面白かった! ヒロインと急接近→なぜかピンチに→どんでん返しで解決、ってワンパターンっちゃそうなんですが、毎回こうも高いレベルでやられると、悔しいけれども読んじゃいますよね。
今回のヒロインはサザンカとチェリー。チェリーもいいけど、やっぱりなんといってもサザンカでしょ! ちょっと可愛すぎて困っちゃうでしょ!
助っ人として起用された思わぬ人物には、不意を打たれました。まったく、平然とこういうことをやってくるんだからさ……。


ストーカーからチェリーを守るため、彼女の「ド変態彼氏」になることになったジョーロ。
ストーカーからサザンカを守るため、彼女の「ド変態彼氏」になることになったジョーロ。
ド変態彼氏ってなんやねん。
まあ、余計な接頭語がついていようが、チェリーもサザンカもいずれ劣らぬ美少女であり、そんな彼女たちの彼氏役というのは紛れもない役得なんでしょう。普通なら。
しかしジョーロは既に4人の美少女から告白を受けている状態。その4人を放り出して他の女の子のために働いちゃうとか、ジョーロさんさいてー。もげろ。
それにしてもサザンカは可愛いなあ! 最終的にパンジーと肩を並べるのはサザンカかもしれないね!
ずっと胸に秘めていた思いを全力で表に出してジョーロとのデートを楽しむサザンカさん、ちょっと破壊力高すぎてニヤニヤが止まりません。


2つのストーカー事件の影響で、ジョーロの周囲の日常までが脅かされてしまう事態。
そんな中で我らが主人公が打ち出したのは、またずいぶんと思い切った作戦でした。いやはや、まさかこいつがここで出てくるとはね。
ジョーロとこの人物の関係、結構好きです。なんだかんだでね。284ページと302ページの対比とかめっちゃいいよね。
それから、めっちゃモブ的な働きを裏でしっかりとこなすたんぽぽさんホント最高。この無駄なスペックの高さ。たぶんヒロインにはなれないけど、お前がナンバーワンだ。


ベンチ擬人化はさすがに頭おかしいな?(褒めてる)

【実写映画『氷菓』感想】原作ファン的には結構よかったよ、という話

hyouka-movie.jp
 実写映画『氷菓』観てきました。漫画やアニメが実写化されるとすぐに叩かれる昨今の風潮がそもそも個人的には大嫌いなのですが(そもそも氷菓は小説原作だし/『氷菓』実写化がアニメと全然違う!→ちょっと待って!原作は小説だよ - Togetterまとめ)、えるたそが京アニの作画と違いすぎるからクソとかほざいちゃう人を黙らせるにはちゃんと観て正しい“ヒョウカ”を伝えるしかないわけです。で、観ました。第一印象でもすでになかなかいい出来だと思ったのですが、原作やアニメとも比べたくなったので原作を読み返して、ついでに漫画版とアニメも見て、もう一度劇場へ足を運びました。以下、ざっくりと感想を書いていきますが、ネタバレアリアリなので未見or未読の方はこの先は読まず、ぜひ映画館へ。





――以下ネタバレアリ――
●キャラクター
折木奉太郎(演:山崎賢人:見た目はかなりホータローのイメージに近い。初見では「ちょっと声低すぎ、ボソボソすぎない?」と感じたが観てるうちにこんなもんかと思うようになった。思考に入るときの演出が面白い。「ホータローはこんなことしない!」と一部で話題の“摩耶花つきとばし”の件は、一度思考に入ったら周りが見えなくなるというキャラ付けだと思ってあまり気にならなかった。
千反田える(演:広瀬アリス:千反田のイメージからするとちょっと洋風すぎる顔立ちかなという印象。髪が少し茶色がかっているのも気になるが許容範囲か。目が大きくて目立つのは原作準拠。気になりますの際にホータローの腕をつかんで離さないのは原作にない行動だが、アニメのような目の演出は実写では不可能なのでそのかわりかな。ちなみに千反田も図書室でホータローをつきとばしてたけど、それについては同上。あと細かいことを言えば、千反田家の中の歩き方がちょっとお嬢様っぽくなかったのが惜しい。でも他の面はおおよそ許容範囲。しっとりとした喋り方がよかった。
福部里志(演:岡山天音:高校1年生の設定にしてはちょっと老け顔かなあ。でも演技はいい。里志の胡散臭さが存分に出ている。アニメでも大概だったけれど実写だとより胡散臭いなこの似非粋人は。「ホータロー、わかったね?」がどうやら決め台詞になってるらしいけど、これもキャラ付けの一環か。
伊原摩耶花(演:小島藤子:か、かわいい。かわいくない? 僕の好みってだけですか? いかにも女子っぽい鼻にかかった感じの話し方も好き。「おーれーきー?」がたまらん。気付いたら摩耶花を目で追ってる自分がいてアレ。千反田家からの帰り道で摩耶花の出番が増えていたのは、『氷菓』だけだとどうしても彼女の印象が薄くなってしまうからかも。「憧れてんじゃないの? 薔薇色に」の笑顔もかわいかったです(ただのファン)。
糸魚川養子(演:斉藤由貴:実写化でたぶん一番印象が変わった人物。しかし斉藤由貴さんの演技が抜群にいい。予告の通り「鍵を握る女」感がすごい出てる。


●ストーリー
 だいたいの流れは原作に沿ってました。あと、古典部部室が「地学講義室」ではなく「地学準備室」であったり、千反田に入部届を提出するシーンがあったりと、原作ではなくアニメ準拠の設定も多かったですね。小説/アニメと大きく変わった印象があるのは、
①文集を地学準備室内で発見すること(遠垣内先輩の謎解きカット)
②関谷純の六月斗争でのエピソードの追加(糸魚川先生についてのちょっとした謎解き追加)
③関谷純の失踪タイミングが「千反田を泣かせた次の日」となっていたこと

というところでしょうか。
 ①に関しては単純に尺の問題かな。もしかしたら未成年の喫煙描写が問題になったかもしれないけれど、アニメでもやったもんなあ。遠垣内先輩を追いつめるホータローの鬼畜っぷりが好きなんで、これはちょっと惜しかったです。
 ②は今回の実写映画の中で一番大胆な翻案かも。確かに原作では、関谷純が運動の名目上のリーダーにさせられたことについての明確な理由付けがされていなかったので、むしろより納得のできる流れになっていたと思います。そして糸魚川先生まさかのヒロイン化(笑)。
 ③もまた印象的な変更点でしたね。関谷純の失踪の理由は、原作では強くは述べられず、読者の想像に任されていた部分が大きかった。しかし今回の実写映画では、千反田に古典部の話をした翌日の失踪ということで「たぶんそういうことなんだろう」というところまで語られている。これを語りすぎと捉えるかどうかは個々人の趣味によるでしょうが、映画として見るのなら、私としてはこれくらい丁寧にやってちょうどいいのではないかと思いました。


●総合
 キャラ付けのために登場人物の決め台詞や特徴的な言動を増やした点、そしてストーリーに新解釈を入れて関谷純についてより詳しく描こうとした点、このあたりを見るに、実写化において重要視されたのは「わかりやすさ」と「説得力」ではないかなと思います。ミステリー小説では必ずしも多く語ることがよいとは限らないけれど、今回は実写映画ですし、ミステリー好きではない客層も観るだろうし、文字媒体よりも多く語らねばならないというのはむしろ必然かなと。
 実際、わかりやすさという点ではかなりいい線行っていたんじゃないかと思います。特に千反田家での古典部会議などは、アニメよりもかなりスムーズに頭に入ってきました。あの場面は文書資料を扱う関係でかなり映像化しにくい部分だと思うんですが、原作とアニメでは摩耶花が提出した「団結と祝砲」を里志が持ってきたという設定にする*1など細かい変更を加えて、観客にもわかるように上手いこと説明できていたように思います。まあその一方で、謎解きのランクはだいぶ下がってしまいましたが……。しかし元々映像でちゃんとミステリーをやろうという方が無茶というもので(実際、アニメのこの場面はどうも上手くない)、この辺がちょうどいい落とし所かなと思います。個人的には文句なしに拍手できました。
 関谷純の失踪の理由が示唆された上で、ベナレスの話を持ち出してくるのはまた上手いことやったなと感心。映画冒頭が映画ラストにつながる、綺麗な構成になっていましたね。
 全体としては、原作至上主義(もしくはアニメ版至上主義)の人は文句をつけるかもしれないけれど、これはこれで別のものとして観ることができる人なら素直に楽しめる映画になっているんじゃないかと思います。少なくとも、一般的原作ファンの私は大いに楽しめました。特に関谷純に関する新たな解釈はとても楽しく見せてもらいました。キービジュアルや予告だけ見て忌避しちゃっている方も、騙されたと思って観に行ってみてはどうかと思います。少なくとも、原作が好きなら観て損はないんじゃないかなあ。


以下、雑感を箇条書きで
・折木姉の手紙の字がめっちゃ丸文字でかわいい(笑)
・地学準備室が4階(原作/アニメ)から3階に変更になったのはロケ地の問題か
・図書室カウンター上に綾波レイのフィギュアがあるのがなんかリアル
・関谷純の名字、原作とアニメでは「せきたに」なのに実写では「せきや」に変更。関谷祭→カンヤ祭への変化をスムーズにするため?
・「カンヤ祭では模擬店禁止」を知っていたのが千反田(原作)から里志(実写)にすることで、千反田が過去の自分の発言に反論される矛盾を解消
・千反田家の会議の時点でホータローがカンヤ祭=関谷祭だと気付く→ホータローの推理力の高さアピール?
・やっぱり摩耶花かわいいわ……(やっぱりただのファンじゃないか)(『クドリャフカの順番』のコスプレが見たいです)

*1:他、摩耶花の資料にはっきり「教師」と書いてある、学校史に「火災」のことが書いてあるなど

『処刑タロット』感想

ストーリー
クリア率98%のVR脱出ゲームを、ただひとり“真のバッドエンド”で迎えた高校生の鳴海恭平。その腕前をゲームの制作者である片桐渚に見込まれた鳴海は、死のリスクがあるという裏の脱出ゲーム「サドンデス」に招待される。鳴海はある人物を探し続けていた――デスゲームに身を晒し続ける“死にたがり”のクラスメイト・梨々花。しかしゲームの中で再会を果たした彼女は、「処刑タロット」と呼ばれるカードの呪いに囚われていた! 梨々花を救うためには、危険なゲームをクリアし、すべての「処刑タロット」を集めるしかない。だがゲームには、他にも様々な事情でカードを手にした少女たちが参加していて……!?

土橋真二郎先生の新作はタロットをモチーフにした脱出デスゲームもの。
まあいつもの調子ではあるんですけど、ゲームにいまいち統一感がなくて全然別の話を読んでるようだったのが、ちょっともったいないかなと思いました。
それぞれの話はよかったです。特に2つ目「異世界RPG」のあっさりした結末は好みですね。


今回のテーマは脱出ゲームということで、無人島からの脱出、VR世界のRPGからの脱出、樹海のダンジョンからの脱出が描かれました。お話として好みなのはRPG、ゲーム的に一番面白かったのは樹海ですかね。
RPGは、ゲームの仕組み自体は大したことないんだけれど、やることをやったらサクッと世界からいなくなっちゃう主人公たちのリアリストぶりがいい。まあ後味は悪いんですが、ゲームはゲームだしね。
樹海は、なんとなく一番いつもの土橋作品らしいかなと。カードを集めてアイテムを得る中でトレードという概念が生まれ、人間関係が変化していく。エロもあれば残酷な罰ゲームもある。発想の転換によって脱出方法がわかる展開もよかったですね。


キャラクター陣は、まあ主人公の恭平は脇においといて、ヒロイン・梨々花に性別不明の後輩・渚、ストイックな武力担当・紅と、それぞれ魅力的でした。というか渚は結局、そういうことでいいんですよね?
もちろん私としては、タロットを全て集めて梨々花を守りきり、華々しくカップル成立――の未来を期待していますが、さてどうなりますか。
生徒会の刺客となった美玖もかなり好きなんで、何かの間違いでそっちに行くのも可ですよ!


イラストは植田亮さん。毎度ながら惚れぼれするイラストです。
見てくださいよこの表紙。瞳に吸い込まれそう。


あとがきの魔王様の微笑ましさ。