まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『31番目のお妃様』感想

31番目のお妃様 6【電子特典付き】 (ビーズログ文庫)

ストーリー
辺境領主の妹フェリアに降ってきたのは、マクロン王の31番目のお妃様(候補)に選ばれたという話!
……って3カ月に一度しか王のお越しがない『貧乏くじ』のお妃様かーい!!
「まぁどうでもいいわ」と畑を耕し始めたフェリアだったが、初対面でマクロンと恋に落ち、『31番目』なことが最大の障壁になって!?
規格外妃の爽快&痛快! 成り上がり邁進劇!!

王の妃候補として後宮に呼ばれた辺境領主の妹が、女官長や他の妃たちの妨害を受けつつも自由気ままに後宮暮らしを送り、王と恋に落ちてゆくシンデレラストーリー。
主人公フェリアの竹を割ったような性格が見ていてとても気持ちいい! 周囲のいかにも~な嫌がらせや陰口を気にもとめずに我が道を行く彼女の姿に惚れ込んでしまいました。
31番目の妃候補という立場だからこその、なかなか想い人と会えないじれったさもニヤニヤできて良かったです。


フェリアは辺境に住み、畑仕事をしたり魔獣退治をしたりして日々を過ごす22歳。領主の妹といえど貴族らしい生活とは全く無縁な田舎のお嬢様が、何を間違ったか31番目のお妃候補に! ところがこの31番目というのが問題で、1番目から順に位付けされた候補の中の最下位にして、王様と会えるのは3ヶ月に1回というみそっかすのような立場なのでした。
住むべき邸はろくに掃除もされず、食事や荷物も用意されず、後宮を司る女官長にも侮られ、他の妃候補からも田舎者と揶揄され……。でもそんな扱いもなんのその、そもそも王妃の位になんか微塵も興味のないフェリアは、邸の周囲を耕して畑を作り、料理をし、服を縫い、悠々自適の暮らしを始めるのです。
フェリアは一本芯の通ったまっすぐなヒロインで、ネチネチした女官長の嫌味を真っ向から受け止めて鼻で笑ってみせるなど、身分による差別や偏見をものともしない姿が実に格好いい。次に何をしてくれるのか見ていて飽きないし、スカッとするし、好感の持てる主人公ですね。


そんなフェリアと3ヶ月越しに出会う王マクロン。てっきり、マクロンの方が一方的にフェリアにぞっこんになる流れかと思いきや、ちょっと見つめ合っただけでお互いに恋に落ちてしまうお二人さん。そっちかー、そっちのパターンで来たかー!
速攻で内心の妃が決定してしまったマクロンだけれど、妃の確定はまだまだ先ということもあり、他の妃たちや支援者たちに気づかれないよう、密やかに想いを紡ぐ両者の姿が微笑ましくていいですね。
まあ正直なところ、フェリア激推しの一読者としてはね? そんな簡単にフェリアを妃にできるなんて思わないでよね? って感じなんですけど。なんか全てがフェリアの圧勝すぎて、マクロンにはもったいなく感じてきてしまうので、王様の方も格好いいところを見せてもらいたいですね。フェリアを妃に迎えるまでの道のりは長そうだし。
あと、2番目の候補にしてフェリアの協力者となるキュリー様が素敵でした。何かと問題だらけの妃候補たちの中で、これぞ真の令嬢という矜持があって魅力的です。彼女の活躍にも期待ですね。


イラストは山下ナナオさん。お転婆ご令嬢といえばこの方! というイメージが僕の中でありますね!(参考文献
ビジュアルでいえばマクロンよりもビンズ推しです。