まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『メイデーア転生物語1 この世界で一番悪い魔女』感想

メイデーア転生物語 1 この世界で一番悪い魔女 (富士見L文庫)

ストーリー
魔法の息づく世界“メイデーア”。辺境貴族の令嬢マキアは、騎士の少年トールとともに、魔法を学ぶ日々を過ごし、強い絆を育んできた。ところがトールが異世界から来た〈救世主の少女〉の守護者に選ばれたことで、二人は引き離されてしまう。トールの不在に動揺するマキア。だが王都の魔法学校に行けば、再びトールに会う機会がある。彼に抱いた想いの正体を知るため、マキアは最高峰の魔法学校を目指す! これは〈世界で一番悪い魔女〉の末裔マキアが、自身の想いを伝えるための、長い物語のはじまり。

極悪の魔女の末裔として生まれ変わった魔法使いの少女が、引き離された最愛の従者の影を追って魔法学校へと入学する転生ファンタジー
面白かった! 料理や生き物や伝承、そして何より魔法学校! ……といった細やかな部分に魔法世界の広がりを感じさせてくれる描写がいっぱいで、魔法を描くファンタジーはこうでなくては! と思わせてくれました。
一方、三角関係の少年少女が全員殺害されるシーンから始まるなどストーリー的には結構重めな部分もあって、今後の展開が大いに心配……。


主人公のマキアはかつて世界の災いとして名を馳せた〈紅の魔女〉の末裔。しかしそんな生まれを嘆くでもなく、明るく純粋に育った貴族令嬢です。
彼女はとても魅力的な主人公ですね。決断力と行動力があって、周囲の噂や陰口なんか気にもしないで、「極悪の魔女の家系なのだから」といっそ開き直って自らの道を歩くふてぶてしさが素敵。
幼馴染であり想い人・トールとのすれ違う恋模様にはやきもきさせられるけれど、どうにもならない運命にどうあっても抗ってやろうという気概を感じて、そんなところも好ましい。格好良くも可愛らしいヒロインだと思います。
そんな彼女が入学することになる魔法学校! 自分だけの精霊を召喚したり魔法薬学の実習に行ったり、やっぱり魔法学校ものはこうやってちゃんと授業の内容を描いてくれると嬉しいんだ!
授業だけでなく、マキアが持っている魔法のバスケットとか、実家に伝わる魔法の料理のレシピとか、ちょっと不思議な生き物たちだったりとか、そういった細かい描写がとても素晴らしくて、ファンタジーとしての質の高さを感じます。


王都で遂にトールとの再会を果たすマキア……だけれど、彼は異世界からやってきた救世主の少女・アイリの守護者になっていた……。
転生前と転生後でアイリだけがなぜか元の姿のまま、というかなり特殊な三角関係状態になっていて、今後の展開が本気で分からない。
恋愛模様だけでなく、救世主が立ち向かうことになる世界の危機や、前世での殺人者の謎のことなどもあり、結構先行き不安な感じに。
ラストシーンもまさかの爆弾投下だったし、いやーこれは早く2巻を読まないと! 個人的にはもっともっと魔法学校編をやってほしいのですが、どうなるかな。


スミルダちゃん結構好きなんですけど再登場あります?