まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫』感想

アサシンズプライド10 暗殺教師と水鏡双姫 (ファンタジア文庫)

ストーリー
聖フリーデスウィーデの運営に理事長が着任。様変わりした全寮制の学院生活でメリダはクーファと離れ離れになってしまう。抗うメリダは、徐々にエリーゼと望まない対立状態になり!? そのころクーファはレイボルト財団の社長クローバーを調査していた。公爵家令嬢を利用して貴族階級を揺るがそうと目論む彼を止める唯一の方法、白夜騎兵団からクーファへと下った無慈悲な任務とは――『エリーゼ=アンジェルを、始末せよ』教師としての立場か、白夜騎兵団への忠誠か、あるいはメリダの命か。苦慮の末、クーファが選んだ決断。それは……。無能才女と暗殺教師に、全てを捨て去るときが訪れる――。

TVアニメ化も控えて絶好調の今作。10巻目となる今回はストーリーの大きな転機を迎えました。
学院の方針転換によりメリダはクーファと引き離され、そのクーファは上司からエリーゼの暗殺を命じられ、なかなかストレスの溜まる展開。
そんな中、常にメリダエリーゼの味方で居続けようとするクーファの孤独なヒーローぶりに燃えました。相変わらず格好いい主人公だぜ。


ブラマンジェ学院長の後釜として学院の責任者となったベラヘーディアは、ガチガチの「純血思想」に凝り固まった貴族至上主義の理事長。
唯一のパラディンたるエリーゼだけをあからさまに依怙贔屓し、他の生徒たちには貴族子女としての生活を徹底管理し、戦いの訓練などもってのほか! という極端な教育方針により、聖フリーデスウィーデは居心地の悪い監獄のような学院へ変貌を遂げてしまう……。
お上の勝手な都合で学院での教育や生活を強制される中、目を付けられることも厭わず堂々とした態度のメリダがとても頼もしい。
あの頃の小さなメリダお嬢様だったらきっとただ泣き寝入りするだけだったろうに、頼りのクーファも隣にいないこんな状況であっても、しっかりと自分の足で立っている感じがして成長したなあとしみじみ思います。
偉い人たちの理不尽な指導に対してレジスタンス的に活動する生徒たちという構図、熱いよね。こういうの大好きなんですわ……。


貴族に対して世論が厳しくなる中、「暗殺者」クーファに下された任務はエリーゼの暗殺。ようやくメリダの暗殺依頼がなくなったというのに、今度はそっちか!
大切なお嬢さまの友人を暗殺するわけにはいかない。かといって指令を無下にもできない。板挟みに合いながらも、あくまで暗殺以外の方法を探そうとするクーファに安心しました。
いや、彼はやっぱり裏世界の住人だし、今回は直属の上司からの命令だったし、さすがに迷ったりしてしまうんじゃないかと思ったのだけれど、まったくそんなことはなくて。裏の暗殺者としての自分以上に、メリダの家庭教師としての自分が大切になりつつあるのでしょうね。窮地ではあるけれど、なんだかほっこりしちゃうね。
エリーゼの命を救い、そしてメリダとともに学院を脱出させるための大勝負。その過程でえっちなイベントをしっかり挟んでいるあたりがクーファさんマジクーファさんという感じだけれども、決めるところはきっちり決めてくれるからやっぱり格好いいんだよなあ。
また新たな1ページへと進んだ感のあるストーリー。次巻の展開が楽しみで仕方ない。


エイミーさんったら素敵すぎ。