まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『学園王国の没落王と12人の生徒会長 乙女座ヴァージンロード』感想

学園王国の没落王と12人の生徒会長 乙女座ヴァージンロード (ファンタジア文庫)

ストーリー
人類の脅威によって、大人たちが宇宙へと逃げ出した世界。 取り残された少年少女が築きあげた国――『学園王国』には、12人の美少女たちが最高権力者として君臨している。
「せんぱい、あたし星徒会のお仕事がんばりますから!」「頑張らなくていいぞ。むしろサボれ」「!?」――かつて最強の魔剣をふるい、学園王国を救いながらも、理不尽に星徒会を追放された異端児ゼファー・アゾット。彼が呼び戻された理由は、未熟な生徒会長ニアの教育係だった!? 星徒会に託されたのは世界の命運。少年少女が輝かしい未来を掴むため戦う、学園王道ヒロイックファンタジー

未成年の少年少女だけで成り立っている「学園王国」を舞台に、空から飛来する宇宙怪獣「メガテリオン」との戦いを描く近未来バトルアクション。
大人のいない学園国家、美人ばかり揃った12人の生徒会長たち、魔剣を用いた宇宙怪獣との戦いと、「ちょっと要素盛りすぎでは!?」と思ってしまうくらいに色々ぶちこんだ一大エンタメ作品。作者のやりたい放題感が伝わってきて良いですね。
学園の嫌われ者のようでいて、実は全生徒会長からモテモテな主人公を巡るラブコメディとしても楽しく読めました。


大人が存在せず、20歳未満の少年少女だけで全てが運営されている超巨大学園にして独立王国……その名も「学園王国」。
主人公のゼファーは、かつて「星徒会」に所属していたものの追放処分に遭い、闇のブローカーとして活躍する問題児。そして学園王国を各分野で統括する12人の生徒会長がヒロインなのです。
12人のヒロインと聞いて、巨大学園ハーレムラブコメ? それとも一種の国家運営もの? とか色々予想しつつ読んでいったら、なんと宇宙怪獣との戦いが始まったので驚きました。えっとちょっと待って理解が追いつかないんだけど(笑)。
作者が面白いと思う色んな要素を一息にぶち込んで力技でまとめました! というような設定で、でも実際に面白く仕上がっているから困る。大したバランス感覚だ……。


メインヒロイン的な立場にいるのが、史上最年少で「星賜剣」に選ばれ生徒会長となった中等部二年生の13歳・「乙女座」のニア。策謀渦巻く星徒会においてはまだまだ未熟、右も左も分からない天然さんであり、またメガテリオンに対抗する戦力としても成長途中の女の子。
そんなニアの教育役としてゼファーが抜擢されたことで、小さなつぼみがその才能を花開かせてゆく……今作はそんなニアの成長物語でもあります。未熟な少女が想いの力を剣に乗せて飛躍していく姿は純粋に熱くて応援したくなりますね。
恋愛方面で言うならば、12人の生徒会長の中でニアだけがゼファーに対してわりとフラットなので(残りは表に出さないだけで全員惚れている)、特別感があって逆にいいですね。得てしてこういうヒロインが最後に主人公をかっさらっていったりするんですよね!
今回登場した中では「水瓶座」や「双子座」がなかなかヒロイン力高めでしたが、個人的に一押しなのは「蠍座」のコルピー。普段高飛車なんだけれど主人公にはやたら弱くてすぐ赤面してしまうお嬢様で、わりとドンピシャで好みのタイプでした。我ながら分かりやすいな。
悪ぶっているようで実は覇王の気質を秘めた主人公と、12人のそれぞれ魅力的なヒロインたち。このメンバーが学園王国の独立のためこれからどう動いていくのか、そしてどんなラブコメ的波乱が待ち受けているのか、今後の展開から目が離せません。


イラストは甘味みきひろさん。1巻の時点でヒロイン6名のキャラクターデザイン、しかも全員甲乙つけがたい可愛さで素晴らしい。
お気に入りの1枚は「水瓶座」の「アイスクリームの味」の場面。この表情はえろい……。


「人工呼吸はキスに含まれるか」に対するコルピーの返答が模範解答すぎる。