まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『クラスメイトが使い魔になりまして』感想

クラスメイトが使い魔になりまして (ガガガ文庫)

ストーリー
クラスの美少女を侍らせてみたい。誰もが一度くらいは考えるんじゃなかろうか。でもまあ、正直オススメしない。落ちこぼれ魔術師の俺、芦屋想太には藤原千影という使い魔がいる。彼女は魔術師の名門出身で、ついでに誰もが憧れる学年一の美少女だ。え、羨ましい? まじか、じゃあ譲ってやるよ。まず、こいつはご主人様に求める理想が高い。負けん気が強く、中々反抗的で、絶望的に貧乳だ。それでもいいならぜひ引き取って……あ、うそ! 許して、藤原さ―――
この物語は主従関係からはじまる、ふたりの恋(?)のヒストリー……らしい。

第13回小学館ライトノベル大賞<ガガガ賞>&<審査員特別賞>受賞作品。
平凡な魔術師候補生の主人公が、とある事故をきっかけに学年一の美少女優等生を使い魔にしてしまう魔法学園バトルラブコメ
ヒロインが使い魔になって同居生活が始まったり、肌と肌を重ねあわせて魔力補給をしたり、今どき珍しいくらいベタベタな要素を詰め込んでいてとてもよろしい!! ラブコメかくあるべし!!
主人公に隠された秘密について丁寧な伏線が張られていたりと、ストーリー上でも細やかな仕事がなされていたと思います。


魔術師としては平凡な才能しか持たない主人公・想太になぜかよく絡んでくる学年一の才媛・千影。
そんな千影が進級試験の召喚術でまさかのミス。召喚した魔人と融合した状態で想太の使い魔になってしまう!
いやーいいですね。使い魔契約からはじまるラブコメディ。これぞ! という感じがしますよね。
かなり気が強くて男たちの高嶺の花、なのに想太に対しては妙に距離感が近い、そんな千影が可愛い。千影に対して女の魅力を感じないとか余計な口をきいた主人公(アホ)に、意地になって抱きついて魔力供給をしてきたりとか。雰囲気に呑まれた想太もついついそういう感じになっちゃったりとか。やだ、ニヤニヤしちゃう……。
基本お互いにツンなんだけれど、心の底では憎からず思いあっているのが伝わってきて、よい。風流ですわ。


千影が抑えていた魔人ソフィア。そんな彼女が千影の身体を乗っ取り暴走をはじめる!
この無茶苦茶で傍若無人なヒロイン。これはこれでアリかなーとも思ったし、てっきり千影とソフィアの二重人格ラブコメ的な展開になっていくのだろうと思っていたのですが、ソフィアを打倒する方向で進んでいくとはね。彼女も彼女で、結構可哀想な立場だと思うんですが……。
他にもサキュバスを使役する天然小動物系ヒロインとか、頼りになる先輩であり主人公と過去の因縁がありそうな生徒会長ヒロインとかも登場してきますが、個人的にはやっぱり千影がダントツの推し!
ソフィアとの戦いでの最後のひと押しといい、エピローグでの名前呼びイベントといい、最後までしっかりベタ&王道に決めてくれておじさん感泣ですよ。ありがとう、ラブコメの神様ありがとう。
主人公の過去と千影や会長との関わりなど気になる謎もあるし、何より少し距離が縮まった想太と千影の今後が楽しみ! 次巻も読みます。


イラストはなたーしゃさん。吊り目赤面ヒロインいいわー。
なぜあの眼鏡(神アイテム)をかけた状態で千影を見たイラストがないのか。甚だ遺憾である。


あらすじの最後の行、どう見ても某伝説的「使い魔」ラブコメのオマージュですよね。この編集、デキるな……。