まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ようこそ実力至上主義の教室へ11』感想

ようこそ実力至上主義の教室へ11 (MF文庫J)

ストーリー
初めて出た退学者の衝撃冷めやらぬ中、1年最後の特別試験『選抜種目試験』がついに告知された。内容は総合力が問われるもので各クラスは筆記試験、将棋、トランプ、野球等、勝てると思う種目を10種選抜。本番では1クラスを相手に、ランダムに選択された7種の種目で争うというものだ。また各クラスには1名司令塔が存在し、勝てば特別な報酬が得られるが負ければ退学となるらしい。綾小路は自ら司令塔に立候補。そして坂柳が望んだ通り、AクラスとCクラスとの試験対決が決定する。「だが私は楽しみになったぞ綾小路。これでやっと、おまえの実力を見られるんだからな」綾小路VS坂柳の激戦必至の一騎打ち始まる!

遂にやってきたAクラスとの真っ向勝負。しかも綾小路はクラスの司令塔として坂柳と一騎打ち。これが盛り上がらないわけがないでしょう。
もちろん実力を全て見せるわけにはいかないとはいえ、その一端でも垣間見せることができて、やっぱりちょっと気分がいい。
まあ、ラストにそれを覆すくらい胸クソ悪いオチが待ち受けていたわけですが……。


1年生最後の特別試験はクラス対抗の総合バトル。種目決めや選手の選定など、クラス全体で戦略を立てる必要があって(見ているぶんには)とても楽しい。
とはいえCクラスの場合、それ以前に対処しなければならない問題が山積みだったりもして。
特に、前回の試験の後を引きずって気力を完全に失ってしまった平田の存在が大きい。いつも明るくクラスの中心だった彼の変貌ぶりには驚きました。クラスのみんなが平田のことを避けていく中、何度も何度もめげずに声をかけつづけるみーちゃんの健気さに救われました。いい子やなあ。あと高円寺は相変わらず行動が意味不明だな。


綾小路を司令塔としたCクラス。坂柳を司令塔としたAクラス。
お互いがお互いの得意種目をぶつけ合う正面衝突。うむ、熱いね! 個人的には、それぞれの種目をもう少しじっくり見たかったかなとも思いますが、
最後の種目はチェス。綾小路の薫陶を受けた堀北と、Aクラスの実力者橋本の……そして二人の対局を引き継いで、綾小路と坂柳の直接対決。
相手の実力を認めあった両者の本気の戦いに燃える。坂柳はラスボスだと勝手に思っていたけれど、こうして見ると実はライバルという方がしっくりくるようにも思えます。
とても素晴らしいバトルだった。それだけに……このオチは残念に過ぎる。坂柳の言葉を借りるなら「非常に不愉快」です。
いやあ、何かと理不尽なことが多くても、試験自体はあくまでフェアに行っているからこそ楽しさが生まれるのに、いくらなんでもこれはないでしょ。
このままでは綾小路の進退どころか、物語の面白みそのものが失われてしまいかねないので、この人物は早急に退場してもらいたいところ。本当に。


特に脈絡もなく差し込まれる軽井沢とのラブコメパート!(もっとやれ)