まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。2』感想

ストーリー
ヤケ酒の帰り道に、家出JK・沙優を拾ったサラリーマンの吉田。そのまま始まった微妙な距離感の同居生活にも慣れてきた頃、沙優から“お願い”を切り出される。「バイトをさせてください」「いいぞ」「いいぞって! ……え、いいの?」 遠慮ばかりだった沙優が「自分のやりたいこと」を教えてくれた。それだけのことがなんだか嬉しい吉田。そんななか、元片想い相手である後藤さんに、なぜか2人きりの夕食に誘われて――「吉田君のお家に行きたいって言ってるんだけど」サラリーマンと女子高生の日常ラブコメディ第2巻。

家出JK、アルバイトをはじめるの巻(まき)。いやー、今回も性癖とハートの繊細な部分を綺麗にぶち抜いてくれやがりましたね。
沙優が少しずつお願いをしてくれるようになったり、沙優に吉田以外の人々との関係が生まれたりで、ほっこりと温かい気持ちにさせてくれたと思ったら。
沙優の過去からの厄介極まりない来訪者が大いに心を乱してくれましたわ……ほんと、思うがままに読者の胸をかき回してくれるぜ、この作品はよぉ……。


近所のコンビニでアルバイトを始めた沙優。たったそれだけのことなのに、なんだか嬉しくなってきてしまいます。
バイト先で一緒になった同い年のギャルと友達になったりして。吉田の家まで遊びに来るようにもなって。
なんだか沙優が、どんどん年相応の、普通の女子高生らしい女子高生になってきている感じで。そのことがとてもとても嬉しいし、それを自分の子のことのように喜ぶ吉田の姿がまた微笑ましい。なんなんですかね、吉田と沙優の関係性って、ほんと最高ですよね。たまらんよね。
あさみもめちゃくちゃイイ奴でね。良かったよお。お前になら沙優を安心して預けられるぜ……(父目線)。
そしてもう一つ、重要な出会いがありました。後藤さん、マジで悪い女だった! くぅー、男心を弄びやがってからに!!
いやあ後藤さんもね、魅力的な人ではあるんですけどね。でも沙優に対しての大人ぶり方とかそういうのを見ていると、やっぱりお邪魔虫に思えてしまう僕がいる。もっとも沙優にとっては彼女も素敵な大人だし、大切なことを伝えてくれていたとも思うんですが。
後藤さんと出会ったことで、沙優の気持ちがこれからどう揺れ動いていくのかは大いに楽しみなところです。


一歩社会に出たことによって、いい出会いもあれば、当然悪い出会いが訪れることもある。
沙優の「過去の男」の一人である矢口は、もうなんというか、直球にクソ野郎でした。っていうかゴミクズでした。ちくしょう! なんで僕は本のページをすり抜けてこいつを直接殴りに行けないんだ!
これが、沙優が過去に置いてきたもの。残してきてしまったもの。彼女がそういうことをしてきたことは知っているけれど、こうしてその当事者が現れるとまた生々しさが違うな……。
でも、沙優はもうその頃の沙優とは違うんです。一度間違ってしまったからって、また同じことをしなきゃならないなんてことは、当然ありえない。
今の沙優には未来があって、守ってくれる人たちがいる。吉田、やっぱかっけえなあ。このメッセージだけ読んで走り出せるのは、かっこいいわ。本当に沙優のことが大切なんだなあ。
いつまで一緒にいられるのか。お互いに未来を見据えられるようになったからこそ、そういう問題も出てきているけれど。吉田と沙優のことが大好きな一読者としては、この温かくて優しい日常が、1日でも長く続いてくれることを望まずにはいられないのです。


今回の三島はちょっといい女だった(対比的に)。